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プロローグ・Ⅱ
「それが、世界の主の意思。──わたしが死んだら、あの男は必ず動くからね」
「もうすぐ死ぬから……世界を見てこいと?」
どちらかと言えば、翡翠色と表現した方がいい、緑色の髪と双眸をした少女は言う。
「言っただろう、わたしが死ねば、おまえ達であっても、住めなくなると。……これとおまえ達、両方を手に入れなければ、あの男の望みは叶えられない。──散り散りになるこれらを集め、封印を解くといい。散り散りになるのは絶対だ」
「私達の能力を暴走させないための封印なのに、解いて、暴走したらどうするわけ?」
少女の問い掛けに彼は口許に笑みを浮かべた。
「その姿を失いたくないお前たちにとって、限度を超えた暴走はしないだろう。それに、あの男の望みを阻止するために世界の主が許可している」
「メチャクチャね」
呆れたと言わんばかりに肩を竦めて、少女は言う。
「そういう方なのは、お前たちが一番、わかっているだろう」
「まあね」
息を吐いて、少女は答え、窓の外に視線を移す。
空に浮かぶ月の形は──満月。
〝三人〟は無言で、満月を見つめ続けた……。