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運命の危機

その放課後、楓含む1年B組の生徒たちは、寮の建物へ向かった。

全員いっせいにくじを引いて、同じ番号の人とペアになる。

一人がペアになれないところがあるため、その人は楓と一緒のペアとなるルールに変更した。

『せーのーで!』

いっせいにくじを引くと、喜んで抱き合ったり、ハイタッチをする光景が見える。

そして、一人だけ残った生徒がいた。

「あ.......」

「あ.....!」

零が残っていた。

ボーっとしていた楓は、慌ててバックを担いでC班に向かった。


「荷物..重そうだな」

「そ、そうかなぁ~これでも軽くしたんだけど...」

笑顔で、楓の荷物も一緒に担いだ零。

「え?」

「持つよ、見てるとウズウズする」

「?」

ウズウズってどういうことか分からなかったけど、そのまま部屋に入る。

もう一回、家に帰って荷物をとりに行くといって、楓は部屋を出た。

2年A組の教室の前を通ると、誰かに手を引っ張られて、保健室に連れて行かれた。

押し倒されて、楓はビビッて目を閉じた。

ゆっくり開けると、顔の近くに男の先生の顔があった。


「やっぱりそうか....」

「...?」

服的に美術の先生。

「お前、女だろ」

「....!?」

どうしてバレたのだろうと不思議に思っていると、その先生は手を洗いながら、

「いくらなんでも、非常識だ。何のつもりだ」

父の転校記入欄の記入間違いだ、と楓は自分の口で言い返したかった。

その間もなく、先生は楓を責める。

「時間の問題だ、バレる前に退学届けを出すのが、慶雲学園のためだ」

そう言って、保健室を出て行く。


荷物をとりに家から戻ってきた楓。

寮の前を歩いていると、男子の会話が聞こえてきた。

「あの転校生、期待はずれだったな」

「あぁ。女みたいな声だし、身長からすると部活では活躍出来ないだろうな」

誰が話しているのか知りたくなった楓は、恐る恐る

隙間からのぞいてみた。

話していたのは、同じ部屋になった零と寮長の結斗だった。

まさか、同じルームメンバーと寮長に陰口を言われると思ってなかった楓は

精神的に苦しくなった。

とりあえず、部屋に戻り、零が戻ってくるのをひたすら待った。

するとガチャッとドアが開き、零が部屋に入ってきた。

目が合うと、すぐに逸らして、自分の椅子に座る。

状況を読み、楓はずばり聞いてみた。


「あ、あの...」

「?」

「僕のこと..そんな風に思ってたんですね..」

タメ口で話す気にもなれなかった。

「俺は、慶雲の生徒として、今もこれからも..お前を認めない!」

大きな声を出して、部屋を出て行った。

楓の目には大きな涙がたまっている。

大きな声なんか、滅多に出さない零なのだが、そんな声を聞いて

隣の部屋にいた疾風が楓の部屋に入ってきた。

「どうした..?新牧」

「...な、何でもないです。何でも」

そのまま、楓は部屋を出て行った。

変わった行動をとった楓に、疾風は、

「なんだぁ?あれ..」


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

学年につき、第一寮、第二寮とある慶雲学園は、

何を決めるのも、全部寮がチームとなる。

寮長の慶雲式じゃんけんをして、順番を決めたりする。

ちなみに、

第一寮の寮長はプリンス王子と言われるように、いつも白い特別な制服を着用。

また、かなりのナルシストでもある。

名前は、二堂京谷にどうきょうやである。

第一寮は、文化系の部活と運動系の部活が合体しているため、キャラクターの濃い生徒が集まる。


第二寮の寮長は、楓も所属する寮。

寮長は当然、爽江結斗さわえゆうとである。

第二寮は、部活動をしていない生徒で集められており、日本で例えると東京のような存在。

つまり、有名であり、ル・クイーン女子校の中でも特に有名な寮である。


去年まで第三寮まであったのだが、人数の関係上廃止になってしまった。


1年生、2年生、3年生と学年があり、寮はそれぞれの学年につき二寮まであるのだが、

敷地内はかなり大きいため、問題がないのが慶雲とル・クイーンの特徴。

志望率は毎年高く、人数制限をするほどだ。

去年からは、グーンと人数制限数を減らしたのが、第三寮廃止のきっかけでもある。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

午後5時40分ごろ

1年生の食堂に生徒がいっぱい集まっている。

「これ、新メニューだよ♪」

1年の食堂のおばちゃん..ではなくお姉さんはまだ22歳という若さ。

生徒も異性として見ている人も多く、何かと人気のお姉さんなのだ。

「わたしも、女子寮に通ってたんだよ?」

昇がわざわざ、カウンター席に座って、おしゃべり。

ちなみに、そのお姉さんの名前は、星谷朱李ほしやあかりである。

「へぇ~楽しかった?」

「うん、教育大学だったから、あっという間だけどね」

そんな話につられて、いろんな生徒が集まってくる。

時計をみた朱李は、

「ホラホラ!みんな、食べる時間なくなるよー♪」

『はぁ~い♪♪』

お姉さんの真似をするような高々しい声を上げて、席に戻る生徒。

そんな光景を見た楓は、全然空気についていけなく、一人でご飯を食べ始める。


「隣、座っていいか」

「は、はい」

楓の隣にトレイをおいて座った。

顔をちらりと見ると、それは里琉だった。

「.......」

話しかけてこない。

そのため、楓も話しかけない。

しばらく静かになる。

「お前のこと、嫌ってるやつ、多いぜ」

「.....!!」

「少なくとも、俺以外は」

箸を止めて、里琉の方を見る。

「僕、馴染めないんです。クラスの空気に慣れないっていうか..」

「だったら、自分から何かしねぇと、B組に慣れるのは難しいぞ...」

アドバイスをしてくれる里琉。

なんだか、慶雲学園に来て楓は、初めて安心な気分に慣れた気がした。

「ありがとうございます..」

頭をポンと優しくたたくと、トレイをさげて、食堂を出て行った。

みなさん初めまして、空井美保です。

今回の作品は以前に連載してました、男装ガールのジャンルにあたる

小説となります。

男装ガールは、皆様に愛される作品となり、連載終了。

一ヶ月に見てくださる人数は毎日のようにあがっていきました。

今回の作品も、そんな愛される作品となるように書きたいと思います。

そんなことで、これからも空井美保をよろしくお願いします。

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