第3ゲーム
結局ギャグ路線ですね。
ホラー系でも良かったんですけど、やっぱり面白い方が良いかと
数日後。肉体的ダメージと、精神的ダメージも次の日には回復しておりいつも通りの日常を送っていた。
結局、雪穂は真に負けたのを不満に思い特別特訓だとか言ってたけどそれはやめさせた。正直本当に素人の雪穂が本やネットなどで得た知識だけで練習方法を考えても、それは体に悪影響を及ぼすかもしれない。
とりあえず今の所は、俺達が中学の時にやっていた事をやらせているがその内飽きてしまうだろう。
それは今日の放課後に、図書館に行こうと思っているからそこで参考資料を借りて何とかするか
「よしっ、行くわよ!!」
授業の終了を告げるチャイムが鳴った瞬間、真が勢い良く立ち上がる。正直真はバカだ。いや、俺もだけど。あの4人組の中で頭がいいのは、雪穂くらいじゃないかな?
宏は何気に中の上位だし、俺は勉強を見てもらってそこら辺を彷徨っている。だが真はお馬鹿さんなので、上からより下から数えた方が早いのだ。
だから苦痛から解放された彼女はのびのびとしてやがる
「おっし、今日はみんなで行くんだっけ? お~い、雪穂。S浦真さんが集合かけてるぞ~」
「ねぇ、そのS浦真ってどう言う事? ねぇ、宏はもう1度地獄が見たいみたいね」
前言撤回。宏もバカでした。救いようの無い様な、残念なバカ2号なのです
「わりぃ、俺ちょっと図書室寄ってくわ」
「ん? 何か調べるの?」
真と宏は何処かの動物園の中の縄張り争いをしているみたいに荒ぶっているので、代わりに雪穂が聞いてくる。まぁ雪穂の為なんだし、コイツには目的を話しておいてもいいよな?
「お前の練習メニュー考えようと思って。本屋でそういった本も買ったけど、学校の図書室にも無いかなと思ってさ」
「ッ!? そ、そんな事わざわざしてくれなくても――」
「いや、俺達は新しく部活作る為にやってるけど、正直雪穂は関係の無い話だったろ? なのに一緒に練習してくれてさ。ホント感謝してるんだって。で、お前この間真に負けた事悔しがって秘密特訓したいなんて言い出したから力になろうと思って」
「――こうやって活動してるのにも、理由があるんだけどね」
「へっ? どんな理由だよ」
理由? ただ単純に暇だったし、大変そうだからって協力してくれたって言ってたぞ?
何か他に理由があったなんて聞いてないのだが……?
「んーにゃ、なんでもない。んじゃ、あの2人には私から伝えとくからそっちはよろしくねっ! 智幸先生?」
ニヤリと笑いながら、そのまま真と宏の争っている中へと自分も入っていく。俺はその姿を見ながら、そのままカバンを手にして教室を後にする。
早く行かないと、俺だけわけの分からないダッシュをさせられるような結果になるからな
「ん~。とりあえずいい本はあんまりなさそうだなぁ……」
図書室に行ってから20分弱。色々な本漁っては見たものの、これと言って良い本が見つからなかった。ここの図書室、そういった本も結構あるって聞いたから探しては見たんだけど
結局買った本と、俺の考えとかネットで調べてメニューを作るしかないかな。
「んじゃ、早くコートに行くか」
持ってきた本を閉じて、元あった場所へと戻していく。
しっかし意外な事だが、図書室には誰も居ないもんなんだな。司書みたいな人でもいるかと思ったけど、誰も居ないからビックリしたよ
静かな部屋の中に俺1人。結構虚しいものがあるわ
―ピピピピ―
ビクッと肩を浮かせてしまう。あまりに静か過ぎるから、自分の携帯の音だと分かっていても驚いてしまう。
どうせ、真とかから早く来いとか言って来るいつものだろう
できれば最悪の事態を回避したいと願いながら、俺は着信の画面を見る
「うん? 登録されてない番号?」
ディスプレイには真や雪穂、宏の名前は無かった。代わりに表示されるのは090から始まる番号のみだ。もちろんこんな電話番号に見覚えは無い。
そもそも番号交換してない人と電話するなんて、ほとんど無いだろう。
俺は不信に思いつつも、携帯の通話ボタンを押す
「もしもし? 智幸ですけど?」
『私メリーさん、今昇降口に居るの』
――ブチッ
一方的に電話が切られる。メリーさん? 何処かの外国のお方だろうか?
とりあえず俺にはそんな知り合いは居ない。次に掛かって来た時に、間違いを指摘するか
いや、でも一方的にそんな事言って切ってくるなんておかしいと思わないか……?
―ピピピピ―
再び携帯が鳴る。そこには先ほど表示されたのと同じ、知らない番号。
少し戸惑いつつも、再び通話のボタンを押す。
「あのさ、多分間違い電話だとおも――」
『私メリーさん。今一階の踊り場に居るの』
――ブチッ
わけが分からない。さっきは昇降口に居るって言ってたのに、今度は一階の踊り場ですかい。
そんな実況は要らないのだが、何を伝えたいんだろう?
―ピピピピ―
「だから、さっきから」
『私メリーさん。今二階の踊り場に居るの』
――ブチッ
何かが俺の脳裏をよぎる。そして一つの結論に至った時、背筋に冷たいものが走る。
このメリーとか言うヤツは、今俺の所まで来ようしているのではないか? 昇降口があるのは、高校位までだろう。そして踊り場、一階、二階。徐々に階段を上がっているじゃん
ここは三階だ。そもそもこうやって電話してくるのって、メリーさんの電話とか言うヤツじゃなかったか?
こうやって電話してきて、最後はアナタの後ろに居るのとか言うやつ。最後は死んじゃうんじゃなかったか?
―ピピピピ―
俺は電話のディスプレイを再び見る。
まただ。またこの番号。
俺はとりあえず鳴り響く携帯を持ちながら、図書室のドアに手を掛ける。
――開かないか。とりあえず電話に出てみるか? 近くになったら電話に出なければいいだけだから
「もしもし?」
『私メリーさん。今図書室の前に居るの』
おいおい。アンタは瞬間移動でも出来るのか? あぁ、妖怪とかの類だからそういったのは出来るのか。まぁ取りあえず電話にさえ出なければいいんだから、ここからは持久戦か?
真達には怒られそうだなぁ……。最悪迎えに来てくれればいいんだけど
―ピピピピ―
さて、我慢大会の開始か
―五分後―
さっきからずっと携帯が鳴っている。後ろを振り返っても誰も居ないから、別に被害は無い。
おそらく俺が電話を繋ぐと、そのまま後ろとかに転送してくるんじゃないか? 携帯と言う【実】を媒体として、自らの存在――つまり【虚】を移す
そんな感じか?
―十分後―
さっきからドアの向こう側がうるさい。カタカタとかコンコンやってきている。いや、ドア閉まってるからどう頑張っても開けてあげられないんだけど?
逃げる逃げない以前に、怖いと言う感覚が来ないんだけど? そうか、毎日真の脅威に晒されているからこの位じゃどうと言う事は無いってわけか。
―三十分後―
うおっと、寝てしまって居たわ。いや、何もする事は無いし携帯はなりっぱなしで使えなし……
雪穂の練習メニュー考えてる途中でうとうとしてたらな。
ん? おいおい。何かドアの向こうで何か音がする? とりあえず俺は椅子から立ち上がり、扉の前に立ってみる。扉の向こう側からは、少女がすすり泣く声が聞こえてくる。
そっと手を扉に掛けてみると……さっきまでの固まっていたモノが嘘の様で、直ぐに開いてしまう。
「ふぇ……ひぐっ……うぁん……うぁぁぁああああああああああああんん!!」
俺の顔を見た瞬間、俺の胸へと飛び込んでくる少女。その髪は金色で、瞳は青い
これが噂のメリーさんだと認識するまでに、俺は少し時間がかかったのだった
◇◆◇◆◇
「えっと、お名前は?」
「……メリー」
「本当にあの電話掛けて来るメリーさんなの?」
「うんっ」
とりあえず俺は、泣いているメリーを落ち着かせた後真達の居るコートへと連れて行った。途中でコンビニに寄って、アメを買って与えておいたので泣かなかったけどな。その代わり、最初俺が来た時のみんなの顔は酷かった。
最初は怒って居たが、後ろにメリーが居るのを見ると一瞬で驚いた顔になって、その後俺を殴り飛ばした。雪穂は涙目になりながら「何で犯罪なんて犯すの!? 言ってくれれば、私が……」とか言い出すし、真は状況をしっかり説明するまでずっと無言だった。
宏へとまず状況を説明して、その後2人にも順を追って説明したから今は何とか誤解が解けてるけど
「俺達が知ってるのは、人形のメリーさんなんだけどなぁ……」
「あっ、それは昔の話だと思いますよ? お婆ちゃんかなぁ、それは」
俺の膝の上に乗りながら、メリーは嬉しそうに話す。さっきまで気分が沈んでた様だったけど、自分の祖母の話を出した瞬間嬉しそうな顔をし始めた。
とりあえず俺達よりも少し見た目が幼いだけのはずなんだよなぁ……。
「それに比べて私は……ひっぐ……」
ほらっ、泣き出した。何でだよ!?
とりあえず嬉しそうに話す、不安になる、泣く。この繰り返し
泣きたいのはこっちだよ……。毎度泣かれる度に、微妙な雰囲気になりながら俺を睨みつけてくる仲間達。その視線とメリーの泣き声に板ばさみになりながら、俺はアタフタしてんだからさぁ
「ほ、ほらっメリー。まだ聞きたい事があるから、もう少し頑張ってくれよ」
「ふぇっ……ひっ……が、頑張る。メリー頑張る」
そして立ち直る早さ。コイツキャラクター作ってるんじゃないよなぁ?
「で、どう言う事なのか説明してくれる?」
「う、うんっ!!」
先程買っておいたアメを渡すと再びニコニコ顔に戻り、アメの袋と取って口の中へと放り込む。そしてコホンと咳払いを一つしてから口を開く
「私は確かにメリーです。皆さんはどうやらお婆ちゃんの話を知っているみたいですから、簡単に説明します。私はお婆ちゃんやお母さんにかかった、一種の一族への呪いを解くためにこうしているんです」
「呪い?」
「えぇ、私のお婆ちゃんからなんですけど。知っての通り、メリーと言うのは元は人形の名前で、女の子が引越してしまって置き去りにされた」
そう。メリーさんの電話とはそこから始まる都市伝説の一つだ。置き去りにされた人形のメリーは、置いていった少女の家へと電話をかける。
「私メリーさん。今――にいるの」と言う電話と共に、徐々に少女へと近づいて行く。そして最後には今後ろに居るのと言われ、そのまま少女は……
「あのお話は本当の話と違った箇所があるんです」
「違う場所って何処よ?」
「別に私のお婆ちゃんは、その少女を殺してなんかいませんっ!! ただもう一度遊んで欲しかっただけなんです。でも拒絶されてしまい、お婆ちゃんはその場を去って他の必要としている子の元へと行ったんです。それでもみんな拒絶して、お母さんの時もダメで……。それで私がその呪いを受け継いで、今に至るわけです」
そう告げると、メリーは一呼吸置く。簡単にだが、自分のいきさつを話し終わったんだ。
俺の顔を一度見て、それから他の三人の方へと視線を送る。おそらく彼女は、こんな話を信じては貰えないと思っているのだろう。俺も実際に体験してなかったら、絶対に信じないからな。こんなのは
「呪いねぇ……。具体的にはどんなのなの?」
直球ですねぇ、真さんは。もしかして怒ってます? 俺が連絡無しに遅れたの怒ってますか?
しゃーないじゃんね。携帯の鳴りっ放しで連絡出来なかったんだからさ。でも、真が直球で聞いてくれたおかげで俺も聞きたい事が聞けるしね
「まだ詳しいことは言えません。すみません……うぅっ」
「な、泣かないでね!? 別に責めてるわけじゃないんだから」
慌てふためきながら、必死にメリーをなだめようとする真。そういえば元々コイツ、こういったのを相手にするのは苦手だったよな。雪穂みたいに元気ハツラツみたいな感じの方が喋ってて楽しいとか言ってるし
「まぁいいんじゃないのかなぁ?」
「良いって何がだよ?」
雪穂が突然しゃべり始める。だから何度も言っている様に、皆さん主語を入れて喋ってくださいと。英語で言ったら省略される事もあるSの部分だぞ? あっ、省略される事もあるんだったな
「いやさ、ホントかウソか分かんないけど別に悪い子じゃ無いんでしょ? その子。だったらその子の望みを叶えてあげられるかはわからないけど、せめて少し位手伝ってもいいんじゃないかなぁって」
いや、雪穂。お前は盛大に勘違いしている。悪い子じゃないとか言ってるけど、実際俺は図書室に閉じ込められ携帯が30分も鳴りっぱなしの刑だったんだぞ? 本質は悪い子じゃ無いかも知れないけど、少しは疑いを持って欲しい。今後の為にも
「はぁ……。今日の練習は中止ね」
「いーじゃねぇかよ。練習なんて、それこそいつでも出来る」
宏の言う通りだ。雪穂みたいにすぐに信用しすぎるのはどうかと思うが、今日の練習くらい潰して話を聞いてやった方がいいだろう。それこそ練習なんてここじゃなくても出来るし、今日じゃ無くてもいいんだ。
「んじゃ、とりあえず自己紹介とかからでいいか? 俺は前園宏。バスケ部では、センターやってたんだぜ?」
「私は御庄寺雪穂。最近バスケはじめたばっかりの初心者で~す。ってか、何でバスケで自己紹介してるのよさ?」
「宏が自慢したいからでしょ? 私は三浦真。ポジションはフォワードやってたわ。中学までだけど」
いや皆さん。メリーはバスケ分かるかどうが怪しんだから、そんな自己紹介するなよ。まるでバスケ経験者がここに新入りで来たみたいじゃないかよ
しかしそんな自己紹介でも、メリーは興味津々で聞いていた。彼女にとって友達はおろか、ちゃんと話してくれる人自体が初めてだったのだろう。うれしそうに聞きやがって。
膝に座っているメリーが、ゆっくりと顔を上げ俺の顔を覗き込む
「あっ、アナタは? アナタの名前は?」
顔を赤くしながらも、上を向いて俺の名前を聞いてくる。俺の名前って言ってなかったっけ? 彼女の記憶には残ってないと。
まぁ閉じ込められてたから、そんな事出来るわけなかったか
「相良智幸。コイツらと一緒にバスケやってる。ポジションは一応ポイントガードかな?」
「さがら……ともゆき……うんっ!! 覚えたよ、お兄ちゃん!!」
『お兄ちゃん!?』
俺を含み、メリー以外が全員驚いた顔をする。それもそのはず、何故知り合って間もない女の子(いや、これ以上何を言えばいいか分からないからこう言う)に兄呼ばわりされているか分からないからだ。
一応俺には姉と妹が一人ずついるのだが、こんな呼び方されてねぇ。妹にはなめられっぱなしで、姉は俺をこき使うだけだし
「ん? 一応年が上だと思って……。何か違った?」
「いや、そういうのは血縁関係とかのみ……。いや、でも近くに住む女の子とかでも親しいと……」
「んじゃ、いいよね」
おい、宏。お前のせいでなんか良い雰囲気になってるじゃないか? お前の間違った言動で。俺を閉じ込めてしまった罪滅ぼしか、ただ単純に甘えたいか。おそらく後者だろうけどな。母親達以外と話した事すらなかったんだからな。
まぁ、少し位好きにさせてやるか
「あっ、もしもし警察ですか? えぇ。ロリコンが」
「えっ? そちらの精神科は予約制? しかも今日は満員? 困りましたねぇ……」
「うぉおおおおおおおおいっ!?」
その後、何故か不機嫌となった真と雪穂をなだめるのに小一時間掛かったのは言うまでも無い
メリーさんは一応それなりに年齢を重ねています。いやだなぁ、小学生とか言ってる人は誰だよ?
飛び級制度ですよ、飛び級。日本にだって一億五千六百八十万四千円の借金をした執事さんが居る学校であるでしょ?
それではまた次回、この時間位に