第1ゲーム
最近他の小説書いて無かったのは、この小説の為です。
ある企画の為に書いた小説です。普段のよりはいささかとある描写少な目ですけど、そこは察して下さい
「私メリー、今アナタの後ろに居るの」
こんなフレーズを聞いた事は無いだろうか? 無いのなら、図書館や今ではインターネットなるものが普及しているから調べてみるといい。『メリーさんの電話』と
これを読む前に、メリーさんという存在だけは知って欲しい。なぜならこれから始まる物語は、そんなメリーさんと1人の少年が織り成す何やらが混じった――そんなお話なのだから
「ちょっとっ!! お兄ちゃん時間ッ!! ほらっ、皆待ってるから急いで!!」
おっと、彼女からのお呼び出しだ。そろそろ行かなくてはいけないな。
ん? そんな事を言っているお前は誰だって? 名乗るようなモノじゃないんだけどなぁ……
「急がないとお兄ちゃんが買う事になるよ? 私の――」
あぁ、分かった。分かったから、な?
俺の名前は相良智幸。このメリーと一緒に、物語を動かしていく主人公らしい。別にそんなの望んでないんだけどな
◇◇◇◇
2011年12月10日
この日、ある1つの出来事が学園中を緊張の糸で張り巡らせていた。
それは2週間後に押し迫った、高校生になれば誰もが慌てるイベント。――そう、クリスマスだ。口では興味無い、自分には関係無いと言っていても気のなるお年頃なのだろう。
いや、人事じゃないな。その中の1人に、俺も入ってる。あぁ、そうだよ。クリスマスなんて滅びてしまえ、コノヤロウ。一体何時からキリストの生誕祭が、恋人同士で過ごす日になっちまったんだよ?
日本は何時だってそうだ。何事にも流されやすく、冷めやすい。バレンタインはバレンタインさんの命日なのに、チョコあげて告白するなんて文化みたいになってよぉ。
だから外国から日本教なんて訳の分からない宗教が出来てるとか言われるんだよ
「あ~リア充爆発しねぇかなぁ。それかこの12月をエンドレスしようぜ。今日から1週間を何回も何回も」
「へっ、妬みかよばーか」
机でうなだれている俺の頭に強い衝撃が加わる。一応腕を置いては居たものの、この衝撃はかなりのもの。額が赤くなるだけならいいけど、下手に怪我してないよな?
「ってぇな!! ボールは遠距離武器じゃねぇぞ!! 宏!!」
そう言って頭に当たったボールを投げ返す。
「わりぃ、わりぃ。つい、お前がうな垂れてんのみてよぉ」
ニヤリと笑いながら、投げ返されたボールを拾う。
コイツの名前は前園宏。俺の中学時代からの悪友で、成績は俺より落ちるがバスケの才能は結構あって、中学時代のポジションはセンターだった。これからも分かるようにコイツは結構身長が高い。えっと、前聞いた時は180超えたとか言ってたっけ。
「で、今日もやるだろ? バスケ」
「あぁ」
今度はちゃんと俺が見ているのを見て、チェストパスでボールを渡してくる。そして俺はそれを当たり前の様にキャッチして、そのままカバンを取って教室を出る。
あぁ、これが今の俺達の日常なんだから
「にしても寒いよなぁ。もうすぐ12月だっけか? 雪でも降るんじゃねぇのか、今年」
「本当だったら、今頃俺達ウィンターカップ目指してるはずだったのにな」
学校から駅前のスポーツ用品店まで歩く中、宏が突然そんな事を言い出す。そう、あれは忘れもしない7ヶ月前。俺達が入学してから2週間程たった頃だった
宏からその話を聞いた時、俺は頭の中が真っ白になった。バスケ部が廃部? 正直心当たりはあった。優秀な成績を残せなかった俺達は、普通に進学せざるを得なかった。もちろん有名高校からのスカウトなんてモノ、来るはずも無かったのだ。
そういうわけで俺達が進んだ一ノ瀬高校は、県内の順位なんぞ無いに等しい学校だった。それでも俺達の代で、インターハイを狙おうと思っていた。しかしバスケ部全員、そんなモチベーションでは無かったのだ。特に今年で終わりの3年生の意識が低すぎた。練習には来ないわ練習の邪魔はするわ散々だった。そして1つの事件が起こる。
本来バスケ部が使っているのはコートの4分の1で、他に女バスと男女のバレー部が合同で使っている。そこに3年の先輩達は制服のまま進入、勝手気ままにゲームをし始めた。もちろんそこを使っていたバレー部やバスケ部の人間が注意しに行った。そうすると何故か逆ギレした3年が注意した生徒に暴行、そして怪我を負わせてしまった。
これだけならまだバスケ部は1~2週間の謹慎で済んだかもしれない。しかし3年生は止めに来た先生達にも暴行を振るい、警備員からましてや警察まで来る大事件となってしまった。捕まった3年生は学力的にも低く、どの道大学へと進学は絶たれていたのでむしゃくしゃしていたらしい。だがそれは個人の意見であり、やった人間は紛いなりにも『男子バスケ部』の人間だ。
骨折した生徒3名。軽症5名。その中には先生も含められている。そしてその事件を起こした生徒達は退学になり、その事件を起こしてしまったバスケ部の顧問は監督不行き届きと言う事で減俸。バスケ部は1年間の休部となったのだ
「後3ヶ月で一応休部期間は終わるけど、再開出来るかねぇ?」
「今の所、部員は俺とお前しかいねぇしな。しかも顧問も不在と来ている。どうよ、この残念な状況は?」
隣でさも他人事の様に笑っている宏も、バスケ部休部の話を聞いた時は酷く落ち込んでいた。その姿を俺は見てしまったので、こんな事を言われ様が笑って返すしかない。だってコイツ自身も辛いのだから。
「とりあえずバスケ部再開するにしても、俺達がそれ相応の結果を持ってないと再開できないだろ? だからこんな真冬のクソ寒い中、ストリートバスケしようって言ってるんだろうが」
「自分の幼馴染とマネージャーを連れて、か?」
ニタニタ笑いながら俺をおちょくってくる姿はどうにも勘に触る。いつもの事だが、人が真剣に話している時に限って宏はふざけた事を言ってくる。重い雰囲気は嫌いらしく、本当に真剣な話以外は絶対にこうやって明るい方向へと持っていくのが困りモノだが
ーPPPー
「悪い、俺だわ」
「おう」
宏に断りを入れながら俺は携帯を開く。学校終わってすぐにメールなんて、誰からかと思いながら携帯を覗き込む。そしてメールのタイトルを見た瞬間、俺の顔が引きつった
「どうしたよ?」
「いや、これ……」
携帯の画面を宏の顔に押し付ける形で見せる。最初は何が何だか分からない顔をしていた宏だったが、次第に顔が引きつっていき、最後には歯をガタガタ言わせる様にまでなっていた。
俺達にそれ以上の会話は必要なく、顔を見合わせると直ぐに全力で走り出した。
とにかく全力で走る。信号を無視して走りきりたい思いを抑えて止まった時の俺達の顔を見たら。他の人が驚いて腰を抜かしそうになった程だ。だが仕方ない。こうしないと、俺達の命に関わることなので
と言うわけで、俺達はいつも使っている屋外のバスケットコートへ付いた。もちろん先客が2名程居る状態で
「ねぇ、智幸? 今日の練習時間を決めたのって、アンタだったわよねぇ?」
顔から嫌な汗が出るのが分かる。もちろんこの目の前に立っている女の言う事は正しく、今日はいつもよりも早く授業が終わるため、3時から始めようと提案したのは俺だ。
うっかり宏と話していたら、時間よりも10分程遅くなってしまった。その事を知らせるために、先程彼女の後ろに居る少女がメールしてきたのだ。
「いや、実は道路が渋滞しててさぁ」
「アンタ達歩きよねぇ? 渋滞って、人間が道路にうじゃうじゃ居たの?」
「い、いやぁ……。そ、そうだ。工事だよ、工事ッ!! 工事してて、道を遠回りしなくちゃいけなくてさぁ」
「私達同じ道を走ってきたんだけど?」
横に居る宏も、何か言おうとしているが全くいい案が無いようで視線で訴えてくる。俺もコイツと浅い関係では無い。だから分かる。コイツが何をしようとしているかを。
冬の地面は予想していたモノよりも相当寒い。そして共有で使っている場所なので、他にも利用者が居る。つまり俺達はここで、後悔処刑を受けている様なものだ。視線が、周りの視線が物凄い痛い。
俺達はもう一度視線を交わし、そして――
「「遅れてスイマセンでしたッ!!」」
恐る恐る顔を上げて、真の顔を見る。そうすると滅多に見せない笑顔で、こちらを見ている。そう、頭に青筋を浮かばせながらこちらを見て微笑んでいるのだ
怖い。普通に怒ってくるよりも、余計に怖い。
コイツは俺の幼馴染で、バスケ部休部になった時に色々世話になって今もそうなのだが関係ない。いや、幼馴染であるからこそ、余計に怖いのだ。コイツのこの状況……
「ねぇ、運動の前ってアップは大切よね?」
「お、おう。当たり前じゃねぇかよ」
突然意味の分からない質問をしてきて、素で答えてしまう。バスケに関わらず、スポーツは準備運動が必要なのは当たり前だ。そして試合前や、体をほぐす方法として適度に運動して体を慣らすアップと言うのも存在する。
「じゃあさ、私達はいつも通りアップしてるから……。アンタ達は2人でシャトルランやっててくんない?」
前言撤回。コイツの言いたい事が分かった。つまり俺達にアップと言う名の拷問を仕掛けようとしているわけですね。シャトルランなんて、物凄い疲れるしアップなんてものじゃない。ある一定の距離を合図と合図の間に走りきる種目だ。
だが俺達は当然こんな学校外でやっているので、合図なんてある分けない。つまり永遠に全力ダッシュの反復動作を強いられると言うわけ。毎回これはミニゲームで負けた方の罰ゲームの1つとして使っていたのだが、今回は絶対に逆らえない。
遅れてきたのは俺達。強者、真達。俺ら弱者
「あのぉ、何時までやってればいいのでしょうか?」
「うっさい半目。ラブリーじゃない残念なチキン野郎のくせに、口答えしてんじゃないわよ!!」
「酷く……いえ、何でも無いです……」
諦めたのか、宏はカバンから着替えを取り出しトボトボと更衣室のあるスポーツ店の中に入っていく。俺の方をチラリと見ながら、哀れんだ目をしながらな。
「さて、智幸? アンタなんで私と同じ時間に終礼終わってんのに、こんなに遅くなってるの?」
ギロリ。人を殺せそうな視線が、俺へと降り注ぐ。理由は単純明確なのだが、自らがその言葉を発した後が予測出来る以上安易に言葉に出来るわけが無い。
仕方ない、ここは絶対的に逃げ切れると噂される理由で……
「俺、世界救おうとしてたんだっ!!」
とりあえずメリーさんはもう少し後にしか出てきませんね。
同時に登場人物更新しているはずなので、そちらで簡易的にキャラ説明を見ておいて貰えれば。
次は明日の朝の更新で