ね、眠れない…
大変更新が遅れてすいません!
「……どうしよう。」
水希はそうつぶやいた。ここは彼女の部屋。中学生の女の子らしいアイドルのポスター(主にジャニーズとか秋葉のあの世間で大人気のアイドルグループとか)やかわいらしいクマのぬいぐるみが置いてある。そんななかで彼女はぎゅうっとお気に入りのぬいぐるみを抱きしめて悩んでいた。
「私、空に…き、キスを…。」
それをつぶやいてカアッとなる水希。いくらファーストキスを昔に奪われていたからと言って恥ずかしくないわけがない。中学生とはそういうものである。
「それにしてもなんで…。」
なんでどきどきしてしまったのだろう。とあとに続く言葉を彼女は心の中でつぶやいた。気持ちは疑問と恥ずかしいという気持ちと悔しい気持ちと…、それと訳の分からない気持ちで彼女の心の中はいっぱいだった。
「自分で自分がわけわからないよ…。」
水希は自分がまさかこんなにドキドキして、たった一つの行動でこうも悩む人間だとは知らなかった。なぜなら彼女はいつも明るく深く悩まなかったから。彼女は悩むんだったら行動しようというタイプの人間だった。
そんな彼女にとって空は天敵というだけであとは幼馴染ということしか考えたことがなかった。なのになぜ、こうも彼のキスひとつでこんなにもドキドキして悩むのだろうか…。
「もう訳分からないっ!」
もしも空が来たら本当はこんな感じじゃなかったに違いない。むしろへこんで眠りながら空への対応策や対処法や撃退法を考えていたに違いなかった。なのにドキドキして悩んでいる自分がいる。たった一つのキスで…。たった一つのキスで…。その時水希は叫んだ。
「そうよ、キスよ、キス!あれは空からのキスがドキドキしたんじゃなくってキスという行為にドキドキしただけなんだ!なーんだ、そうだよ、だって私は中学生!キスなんかされたらそりゃあドキドキするよね!」
水希は自分なりの考えで開き直り、すっかりとすっきりした状態になっていた。
まるでもう悩んでいたことなんて忘れていたように。そして彼女はすっきりとした顔で眠った。
しかし、本当にキスという行為でドキドキしたのではなく、空からキスされたということでドキドキしたということを彼女はあとで思い知ることになるとは知らなかった…。
打って変わって空はいろいろと作戦を練っていた。
「どうしたらみずちゃんを落とせるかな~。」
そういいながら彼はキュッキュッとマジックペンで[みずちゃんをどうやって僕のものにさせるか大作戦ノート!』と書いていた。…はっきり言ってネーミングがそのまますぎて、またなおかつネーミングセンスがないと思われるノートである。こんなノートを作る人ははっきり言って中二病としか思えないのが現実である。しかし彼のノートの内容は結構本格的だった。
「う~んとまずはー。」
彼はさらさらっとノートに作戦を書いていく。その作戦の題名は「みずちゃんに変わったと思い込ませよう。」だった。…内容がそのまんまの題名。その中身は単純にもうわかると思うが「優しくなったアピールをしよう。」今更それをしたとしても遅いと思うのだが彼には秘策があった。
その次にもたくさんのことが書かれている。
「絶対にみずちゃんは俺のものにしてみせるからね…。」
彼のノートにはそんな気持ちがあふれていた。