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美少年とそいつを嫌う少女  作者: 三笠エマ
あいつがやってきた…。
2/13

さわやかな風とともにきた大っ嫌いなあいつ

エピローグの方から見てくださった方、本当にありがとうございます。

というわけで早速本格的にはじめさせていただきます。

しかしこれでも中三なので受験中はできないと思いますがどうか広いお心でお許しください…。

「ふわぁ~っ」

ゴールデンウィークが終わり、五月のさわやかな風が吹く朝。こんなときは学校の中二(まあ、どのクラスでも嬉しいだろうが)の教室の一番後ろの窓際という席は大変嬉しいものだ。と言うわけで運よくその席になった少女―林原水希は気持ち良さそうにあくびをするのだった。

「こんな日は本当に平和に終わってくれそう…。」

水希はそう一言、幸せそうにつぶやいた。そしてまた一言つぶやいた。

「今日は誰も喧嘩売ってこないよね…。」

この少女―林原水希は格闘技が得意な少女だった。しかし常に二つの花飾りをつけているロングの可愛らしい髪型やその華奢な体格や150cmの身長からはそんなことは全く想像もつけられないのだが、なぜか不良に絡まれやすい為、つい得意の格闘技でその不良達を倒してしまうのだった。そしてそのことが不良達に知れ渡ってしまい、よく喧嘩を売られたり、不良達に更に絡まれるようになってしまった。

このことが今の水希にとっての一番の悩みだった。

「にしてもやっぱ良いよね、この席…って、おはようっ、奈穂!」

長身の黒い髪のおとなしそうな少女が常に朝早いため、一人きりだった水希だけいた教室に入ってきた。彼女の名前は小川奈穂。水希と親友と言える存在で、美少女でその清楚な姿と顔立ちから男子によくもてている。しかもなおかつお嬢様だが鼻にかけないその性格から女子にも好かれている。

「おはよう、水希。」

可愛らしい声で笑顔でそう言う奈穂。かばんを置くと彼女は水希に話しかけてきた。

「水希、知ってた?今日、転校生が来るんだって。確か男子なんだって。」

「へえ、そうなんだ。知らなかった。で、奈穂はその男子見たの?」

「ううん、まだ。だけれど確か朱音が見たんだって。」

「ふうん、でその男子どんな感じだったの?」

「それがね…」

と奈穂が言いかけたときに勢いよくばんっとドアが開いた。

「おはようっ、水希、奈穂!私は今日も元気だぞっ!」

そう言っていかにも元気はつらつぅという感じの少女が教室に入ってきた。彼女こそが転校生の男子を見た朱音である。運動神経がよく、明るそうなその笑顔とさっぱりとした性格から男女問わず人気者である。しかしそれと同時に情報を集めるのも早く、女子達のさまざまなことの情報は多くは彼女から入ってきた。

「おはよう、朱音。」

水希と奈穂の声がハモる。朱音はそれと同時に勢いよくかばんを置き、それから一秒もたたないうちに二人に話しかけた。

「二人とも転校生の男子の話していたんだよね。」

こくんと頷く水希と奈穂。

「で、どこまで言ったのかな、奈穂は。」

「えーと、転校生の男子を朱音が見たと言う所まで。」

「じゃあここから先は二人とも知らないんだよね。奈穂にも言ってなかったもんね、どんな感じだったかっていうところまでは。」

そう奈穂に朱音が振ると奈穂は頷いた。

「あのさ、驚かないでよ。絶対にびっくりするはずだから。」

「分かったよ…。」「分かりました。」

水希と奈穂はそういった。それを聞いてから朱音は話し始めた。

「実はね、すんごく美少年だったの。しかもとても可愛らしいんだよ…。」

うっとりとした目つきでそういう朱音。それに便乗して目を輝かせる奈穂。この二人、実はミーハーである。それとは裏腹に冷めた表情の水希。彼女にとって美少年とは苦い思い出をよみがえらさせるだけで憧れとかそういう思いを抱くことはなかった。

「で、もっと詳しく教えてっ、朱音!」

「でさ、それが金髪でさ、しかも柔らかそうな髪なんだよね。」

金髪で柔らかそうな髪と言うのを聞いて水希は更に冷めた。彼女は金髪で美少年と聞くとただの美少年よりも更に嫌になる。

「でね、目が本当にくりくりとしているの。で茶色っぽいんだよね。」

「本当っ!」

更に気分が悪くなる水希。さっきの条件に更に茶色のくりくりとした目という彼女にとっては憎悪を浮かばせる要素が追加される。

「で、肌が凄く綺麗なの。日焼けひとつしていない本当に綺麗な肌でさ。男子にしてはもったいないほどで…。」

美少年で金髪でくりくりとした茶色の瞳で白い美肌の持ち主で…。それを想像すると水希はぞっとしてきた。彼女の思い出したくもない人物とこれらの四つ全てが合っていた。水希はまさかね…、と思いながらも話を更に聞く。

「それから声もとても可愛らしいの。あんな声で甘えられたらいちころだよね。」

「うわぁ~っ、楽しみだね…。」

感傷に浸る奈穂と朱音。可愛らしい声をあの四つの条件と組み合わせると完全に…。

それを考えると水希は悪寒がして頭痛がし始めた。


それから朝礼が始まるまではずっと女子はその話題で持ちきりだった。そしてその話はどんどん時間がたつにつれヒートアップしていった。と、同時に水希の悪寒と頭痛も更にひどくなっていった。

水希は考えていた。ああ、もし転校生があいつだったら私の人生はもう終わってしまう…。そして家族の顔が頭の中に浮かんでくる。お母さん、お父さん、産んでくれてありがとう…。水花…、生意気な妹だったけれど可愛かったよ、次に会うときは絶対に仲良くしようね…。それから水希の頭の中では人生が走馬灯のように走っていくのだった。そして最後にああ、短い人生だったな…、と水希はそう思った。

それから女子にとっては嬉しく、水希にとっては忌々しいチャイムがいつもどおりに鳴るのだった。

そしてそれと同時に担任が入ってくる。全ての音が女子と水希(水希も女子だが)には聞こえないまま、時間は過ぎ去っていく。担任はそのことに気づかないままいつもより長い話をしている。それから担任はついに言ったのだった。

「知ってるかもしれないが、今日我がクラスには転校生が入ってきた。」

男子もざわざわとしてくる。女子は今か今かとうずうずしている。そして水希からは生気が抜けている。それから担任は更に進める。

「では入ってきてくれ。」

がちゃ、という音がして同時に教室に入ってくる金髪でくりくりとした茶色の瞳で白いきめ細やかな生まれたてのような肌を持った美少年が教室に入ってきた。と、同時に女子から湧き上がる嬉しい悲鳴。男子から沸きあがる歓喜の声。そして白くなって固まった水希…。これらの事がたった一秒の間に起こった。それから美少年が口を開いた。

「初めまして、篠河空です。どうかよろしくお願いします。」

笑顔でそういう美少年―篠河空。その笑顔に女子はハートを打ち抜かれた。男子は不覚にもドキッとなった。中には惚れかけた男子もいたとかいなかったとか。

「篠河は転校してきたばかりでまだこの学校については分からないだろうからみんな仲良くしてくれ。」

ンなこと言われなくても仲良くしたい。とほとんどのクラスメートは思った。そして担任は言った。

「席は…。」

この言葉に女子は全員目をつぶった。一人を除いてはぜひ隣にと。例外の一人は絶対に隣には来るなと。そして担任が運命の言葉を言った。

「じゃあ林原の隣で。いいか、篠河?」

「はい。」

女子から沸き起こる悲鳴。しかし空の笑顔を見てそれらはなんとか止まった。そして水希の隣へ向かう空。彼が通るたびに女子達はドキドキする。その女子達全員に笑顔を向けていく空。そして水希の隣の席へ座った。それから彼女にこういった。

「また会えたね、みずちゃん。」

そう言ってとびっきりの笑顔になる空。正反対に青ざめていく水希。

それから空は彼女の耳元でこう囁いた。

「今度は絶対に離さないし逃がさないからね。僕のみずちゃん。」

こうして水希にとっては嫌な日々が始まろうとしていた。

とてもながかったですね、これ…。こんなに長いのははじめて書きましたよ…。

でもとても楽しかったです。ちなみに篠河空君が言わなくても分かると思いますがエピローグの少年です。では次回も誰か読んでくださることを願っています。

では♪

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