機械人間の私が、イケメン王子に恋しちゃった話
このお話は、現実世界とは異なる異世界で作り出された、機械人間の女の子である主人公が、王国の王子であるリューク王子に一目惚れし、リューク王子の為に奮闘する物語です。どんな事が待っているのでしょうか。さぁ、幕開けです!
ここは、異世界にある大きな国。国の名前は、ロンベルディ王国。
私は、この王国の端の方にある研究施設で誕生した機械人間の女の子。機械人間とは、文字通り、見た目は人間の機械。星が綺麗な日に誕生したので、キララと名付けられた。
機械人間には、それぞれ使命が与えられる。私に与えられた使命は、国王の城で、メイドの仕事をするという事だ。その仕事とは、可愛い服を着て、国王がいる城で、食事の用意や掃除等をするという内容。
機械人間として誕生した私は、今、裸の状態。見た目は人間なので、ちゃんとおっぱいが出ているし、お尻もふっくらとしている。何も教えられていないので、恥ずかしさは無い。当然、私を作り出した博士がいるので、博士は、言わば、父親のような存在。
私が収容されているカプセルの蓋が開き、私がゆっくり起き上がると、博士がニッコリ笑いながら、私に言ってきた。
「キララ、よく機械人間として生まれて来てくれたね。ありがとう。明日から、お前はメイドとして城に行って仕事をするんだよ。仕事の内容は、食事の用意や掃除等だが、詳しくは城で説明を受けると思う。頑張って来いよ!その恰好じゃ、城に行けないから、そんなにお洒落じゃないけど、この下着と服を着て行きなさい」
「はい。分かりました。頑張ります」
カプセルから出て、博士に言われるがまま、与えられた下着と服を着ると、博士に鏡の前に誘導され、自分の姿を鏡で見る。
―お~!私、スタイルいいし、可愛い~!―
私が自分の姿に満足していると、博士がニコニコ笑いながら言ってきた。
「キララ、すごく可愛いよ。これなら、国王も王子も、気に入ってくれると思うよ」
その直後、真剣な表情になり、言葉を続けた。
「キララ、くれぐれも粗相の無いようにしなきゃいけないよ。国王や王子を怒らせてしまったら、お前もワシも、普通の生活を送れなくなってしまうからな。それと、お前が機械人間である事が、絶対にばれたらダメだぞ!ばれた時点で、お前は城にいられなくなり、この研究施設に戻って、二度と出れなくなるからな!」
「は、はい!分かりました!大変そうですけど、頑張ります」
「それと、もう一つ大事な事を言うよ。お前には、特殊な能力がある。説明するから、よく聞きなさい」
博士がそう言うと、私の特殊な能力について説明し始め、私が真剣に聞く。
「わ、分かりました。こんな能力、使う時があるんですか?」
「それは分からない。使わずに済むに越した事は無いが、どうしても使わざるを得ない時は、迷う事なく使いなさい。それが、国王や王子の為になる事だからね」
「は、はい。分かりました」
その日は、部屋のベッドに横になり、緊張しながらも、すぐに眠りにつく事ができた。
翌日、目が覚め、博士に見送られながら、研究施設を出ると、迎えの馬車に案内され、馬車に乗って城に向かう。最初は自然豊かな風景が広がっていたが、馬車が進むにつれ、建物が増えてきて、城下町に入ると、驚く程、多くの建物があり、たくさんの人がいて、思わず目を奪われる。
―わぁ~!建物がいっぱいあるし、人がいっぱい歩いてる~!私、この人達から、どんな風に見られてるんだろうな~!―
行き交う人を見ると、城の馬車に乗っている事もあり、たくさんの人が、私をじ~っと見つめ、笑顔を振りまいている。手を振っている人もいて、私が笑顔で手を振り返すと、「キャ~」と言って嬉しそうにしている。
―お~!私、人気者だな~!機械人間だけど、人間として振る舞えそうだな~!―
更に馬車が進み、向こうの方に、大きな城が見えてきた。どんどん城に近付き、城の前に到着。馬車から降り、城の入口に行くと、ビシッとした服を着ている城の男性が、満面の笑顔で私を迎えてくれた。
「ようこそいらっしゃいました!今日からメイドとして働いて頂きます。国王と王子に紹介させて頂きますので、こちらへどうぞ」
「はい。分かりました。ありがとうございます」
その男性に案内され、城の中を歩き進む。さすが、由緒ある王国の城という事で、綺麗で雰囲気があり、キョロキョロしながら周りを見てしまう。更に歩き進むと、大きな扉の前に着いた。その男性が、ゆっくりと扉を開けると、そこは玉座の間。国王が大きくてフカフカの椅子に座っていて、近くに王子が立っている。私の視線が釘付けになったのは、国王ではなく、王子。私好みのイケメンで、ドキドキ感が半端ない。
―うわ~!王子、すっごいイケメンだな~!ドキドキしてるのが分かるわ~!―
私が暫く王子をじ~っと見つめていると、早く国王のところに行くように促され、はっとなり、少し早足で歩いて国王の前に到着。
「国王様、初めまして。今日からメイドとして働かせて頂きます、キララと申します。どうぞよろしくお願いします」
「お~!そなたが新しいメイドか~!しっかり頑張ってくれよ~!」
「はい。分かりました。ありがとうございます。頑張ります」
そう言ってから、チラッと王子を見ると、真剣な表情で私を見つめている。
―あ~!王子が私を見てる~!かっこいい~!ドキドキ感が止まらない~!―
私がそんな事を考えていると、国王が王子の方を向いて言った。
「リューク、お前も新しいメイドに挨拶しなさい」
「あ、そうですね。うっかりしてました」
リューク王子が私を見つめながら、自己紹介を始めた。
「初めまして。この王国の王子で、リュークと申します。よろしくお願いします。困った事があったら、何でも言って下さいね」
「は、はい!リューク王子、こちらこそよろしくお願いします!」
―へぇ~、王子の名前、リュークっていうんだ~。絶対に忘れないぞ~!―
「どうしましたか?ぼんやりしてますね。頬が赤い感じがしますが、大丈夫ですか?」
「え!だ、大丈夫です!お気遣い、ありがとうございます!」
―あ~!王子に見つめられて、ドキドキして、赤くなっちゃってたんだな~―
私を案内してくれた男性に促され、玉座の間を出ると、可愛いメイド服を着ている女性が、目の前に立っていた。
「あなたが、新しいメイドね。私、メイドのリーダーをしてる、ミンキーっていうの。よろしくね!」
「は、はい!キララと申します。よろしくお願いします!」
「ウフフ。初々しくて、可愛いね~!じゃあ、私に付いて来てね。早速、メイド服に着替えて、仕事に取り掛かってもらうからね!」
「はい!よろしくお願いします!」
ミンキーに連れられて歩き、部屋に入ると、そこはメイドの控え室で、たくさんのロッカーが置かれている。
「キララのロッカーは、そのロッカーだよ。中にメイド服が入ってるから、着替えてね」
「はい!ありがとうございます!」
ロッカーを開けると、可愛いメイド服がハンガーに掛けられていて、早速、服を脱ぎ、メイド服を着て、鏡で自分の姿をチェックする。
―わぁ~!メイド服を着てる私、すっごく可愛い~!これは、王子の視線が私に釘付けになるぞ~!―
「ちょっと!いつまでも自分の姿に見とれてないで、仕事するよ~!まずは掃除だよ!」
「は、はい!分かりました!」
ミンキーに連れられて歩き、ドアを開けて入った部屋は、大広間。ここで晩御飯を食べる事になっていて、大広間を掃除してから、食事をテーブルに並べるとの事。
「さぁ、掃除を始めるよ!掃除機でゴミを吸い取ったり、テーブルを拭いたり、椅子を並べたり、やる事は山積みだよ~!」
「はい!分かりました!頑張ります!」
ミンキーに教えてもらいながら、どんどん掃除を進める。ミンキーは、手慣れた感じで掃除を進めるが、私は昨日誕生したばかりなので、勿論、掃除は初めて。掃除機を握りしめて動かしていると、力が入り過ぎたのか、掃除機から「パキッ」という音がした。はっとなり、掃除機を見ると、少しヒビが入っている。
―げっ!掃除機にヒビを入れちゃった!まだ掃除機は動くし、ばれないようにしよう―
そう考えていると、更に力が入り、どんどんヒビが大きくなり、さすがに、ミンキーに気付かれてしまった。
「ちょ、ちょっと、掃除機にヒビが入ってるよ!キララ、どんだけ力があるの~!」
「ご、ごめんなさい!つい、力が入っちゃって、ヒビが入っちゃいましたけど、まだちゃんと動きますよ!」
「まぁ、別にいいけど、可愛い顔して、めちゃくちゃ力あるね~!」
「い、いえ、これは、その、この掃除機、元々、ヒビが入りかけてたと思います」
「あはは。そんな訳ないでしょ~!まぁ、いいや。キララ、力仕事も出来そうだね!そうだ!大広間の掃除が終わったら、動かして欲しい物があるの~」
「は、はい。分かりましたけど、動かせるかどうか、分かりませんよ」
大広間の掃除が終わり、再びミンキーに連れられ、倉庫のような部屋に入った。
「実はね、この大きい金属製の棚の下に、リューク王子が大切にしている、病気で亡くなったお母様の写真が入り込んでしまったの。この棚、形状から大人数で持ち上げる事ができなくて、どうしても動かせなくて、困ってるの。キララだったら、持ち上げられるかもしれないと思ったんだけど、どう?」
―え!リューク王子のお母様、亡くなっちゃったんだ!王子、悲しんだんだろうな~。お母様の写真、見てみたいし、写真を取れたら、王子がすっごく喜んでくれそうだし、ここは、反応が気になるけど、持ち上げるか~!―
「分かりました!やってみます!」
私が金属製の棚を腕でグッと掴み、グイッと持ち上げると、床に写真が落ちているのが見えた。すかさず、ミンキーが写真を取り、私が棚を下ろすと、ミンキーが呆気に取られた感じの表情で私を見てきた。
「キ、キララ!本当に持ち上げたんだね!凄過ぎるよ!ありがとう!この写真、キララが王子に持って行ったら?喜んでくれると思うよ!持って行ったら、キッチンに行ってね。晩御飯の準備の仕事が待ってるよ」
「そ、そうですかね。では、持って行ってみます。その後で、キッチンに行きます」
私が写真をリューク王子に持って行く途中、写真を見ると、驚く程綺麗な女性が、優しい笑顔で写っている。
―わぁ~!この人が王子のお母様なんだな~!綺麗な女性だな~!―
リューク王子の部屋に案内され、ドアをノックして開けると、椅子に座っている王子と目が合い、王子の前に行き、ニッコリ笑顔で写真を手渡しした。
「リューク王子!倉庫の棚の下に落ちてた、お母様の写真を、棚を持ち上げて取る事ができました。どうぞお受け取り下さい」
「え!あの重い棚を持ち上げられたの?一体、誰が持ち上げたの?」
―う~ん。私だけで持ち上げたなんて言ったら、王子に引かれて、避けられちゃうかな。ここは、上手く言って、喜んでもらわなきゃな~!―
「王子!実は、写真が棚の後ろ側に潜り込んでるのが見えて、長くて細い棒を使って、手繰り寄せて、取る事ができたんです!」
「そ、そうなのか~!てっきり、棚の下に入り込んだのかと思ってたよ!諦めてたのに、取ってくれて、本当にありがとう!」
「ウフフ。そんなに喜んで頂き、私もすごく嬉しいです!」
私とリューク王子の距離が一気に縮まり、暫くの間、二人で楽しくおしゃべりして過ごしていると、思ったよりも時間が経っていて、私が慌ててキッチンに向かって走り、到着すると、何人ものメイドが、既に仕事に取り掛かっていて、その中に、ミンキーもいる。
「お~!やっと来たね~!王子と仲良くしゃべってたんでしょ~?」
「え!仲良くだなんて、怖れ多いですよ。でも、楽しくおしゃべりして、距離が縮まったと思います」
「それは良かったね~!でも、リューク王子を好きになっても、辛くなるだけだよ~。王子には、婚約者がいるの。隣のマリーローズ王国の、ストロベリー王女だよ」
「え!そうなんですか~!そりゃ、あんなにかっこいいんですし、いますよね」
私が落胆していると、ミンキーが私の頭を優しく撫でて慰めてくれ、私が気を取り直し、晩御飯の準備の仕事に取り掛かった。慣れない仕事で、手を滑らせて、皿を床に落として割ってしまったが、怒られずに済み、大広間に食事を運んで、決められた位置に配膳し、立ちながら待っていると、国王と王子が入って来て、所定の席に座った。
全員が揃い、晩御飯を食べ始め、美味しい料理に、会話が弾む。そろそろ晩御飯を食べ終えようとしていた、その時、突然、大広間がグラグラと揺れた。
「うわ~!地震だ~!テーブルの下に隠れろ~!」
リューク王子がそう叫んだ直後、天井に吊るされていたシャンデリアが、王子に向かって落ちて来た。
「危な~い!!」
私が全速力でリューク王子に向かって走り、王子を抱き締めながらジャンプ!シャンデリアが床に落ちて割れたが、王子に怪我は無かった。
「王子!大丈夫ですか?怪我はありませんか?」
「う、うん。大丈夫だよ。助けてくれてありがとう。それにしても、キララ、めちゃくちゃ足が速いね。流れ星が来たのかと思ったよ」
―あ!王子を助ける為に、特殊能力でめちゃくちゃ速く走っちゃった!怪しんでるかな。何とか誤魔化さなきゃいけないぞ~!―
「そんな~!気のせいですよ。命の危機に晒されて、そう見えただけですよ」
「そ、そうかな。言われてみれば、そうかもしれないな」
地震によって、折角の食事がグチャグチャになってしまったが、メイドを中心に皆で片付けていると、たまたま私とリューク王子の二人だけとなり、私から言葉を掛けた。
「リューク王子!ご婚約されてるんですね。さっき、ミンキーさんから聞きました」
「あ~、確かに、ストロベリー王女と婚約してるけど、政略結婚っていう感じで、ここだけの話、僕は乗り気じゃないんだよね。まぁ、父の顔を立てなきゃいけないし、隣のマリーローズ王国との良好な関係を維持しなきゃいけないし、辛い立場だよ。あ~あ。誰かいい人いないかな~。いい人がいたら、父に説明して、婚約を解消できるのにな~」
―え!王子は、結婚に乗り気じゃないんだ!私にチャンスあるかな~―
「そうなんですか~!王子、私なんてどうですか?あ!私、何言ってんだろ。今のは無しです!気にしないで下さいね!」
「キララ、無しになんて出来ないよ。僕、キララの事が、段々好きになってきてるんだよ。今は、ストロベリー王女よりも、キララの方が気になってる。もしキララが良ければ、僕と友達以上の関係になってくれないかな?今すぐ婚約っていう訳にはいかないけど、いずれは、キララと結婚できればいいなって思ってる」
「リュ、リューク王子!喜んでお受けします!すっごく嬉しいです!ありがとうございます!」
私とリューク王子が急接近した瞬間だった。この時から、私と王子の時間が始まった。
メイドは、大広間での食事が終わった後、メイドの控え室で晩御飯を食べ、私を含めて住み込みで働いているメイドは、決められた時間にお風呂に入る。お風呂は、城の皆が使うお風呂なので、物凄く大きい。
「わぁ~!大きいお風呂~!凄~い!」
「キララ、とっても嬉しそうだね~!私は、このお風呂、もう慣れちゃったから、何とも思わないけどね。ねぇ、身体を洗い合おうよ!キララ、おっぱいもお尻も大きいね~!」
「ミンキーさん、そんな事を言われると、恥ずかしいですよ~!わっ!きゃはははは」
私が話すのを遮って、ミンキーが私の身体を洗い始めた。私もミンキーの身体を洗い、二人でキャッキャ騒ぎながら、お互いの身体を洗い合った。
私が城で働き始めてから、何日も経ったある日、リューク王子が私に言ってきた。
「キララ、これから二人で海に行こう!今日はいい天気だし、気持ちいいぞ~!」
「う、海ですか!行った事ないですし、すっごく楽しみです!」
プライベートビーチがあるとの事で、リューク王子の案内で向かい、到着。太陽の光で水面が照らされ、キラキラ輝いていて、綺麗な海。
「わぁ~!これが海なんですね~!初めて見ました~!凄~い!感動~!」
「あはは。期待以上の反応で、嬉しいよ。あそこの更衣室で、水着に着替えて来てよ」
「はい!分かりました!行って来ます!」
私が事前にミンキーから渡された水着を持って更衣室に行き、水着に着替える。
―う~ん。この水着、悩殺ビキニで、露出が多いよな~。王子、喜んでくれるかな~。それとも、引いちゃうかな~―
水着に着替え終わり、リューク王子のところに行くと、王子も水着に着替え終わっていて、私の水着姿を見て、照れ臭そうにボソッと言った。
「き、綺麗だよ。目のやり場に困るなぁ」
「あ、ありがとうございます。ミンキーさんに貰いました」
「そ、そうか。ミンキー、相変わらず、気が利くなぁ。さぁ、海に入ろう!」
二人で手を繋ぎながら海に向かって走り、バチャバチャと海に入った。水かけっこをしたり、海に顔を浸けて魚を見たりと、時間が経つのを忘れて遊びまくる。そろそろ海から出て城に戻る事になった、その時、沖の方から、バシャ~ッと何かが出て来た!出て来たのは、なんと、巨大魚!
「な、何だあの巨大魚は!あんなの、この海にいるはずがないのに!」
「リュ、リューク王子!逃げて下さい!ここは、私に任せて下さい!」
「ば、馬鹿な事を言うな!キララを置いて、逃げられる訳ないだろ!」
「行って下さい!王子がいても、戦う事にプラスになりません。お願いです。私を信じて、逃げて下さい!それと、決してこっちを振り返らないで下さい!」
「う・・・わ、分かった。でも、危なくなったら、すぐに逃げるんだぞ!」
「はい!分かりました!また城で会いましょう!」
リューク王子が海を後にし、私が巨大魚と対峙。巨大魚が、いきなり私を食べようと、大きく口を開けて襲い掛かって来たが、私が右手を外し、右腕に力を込めると、穴からビームが出て、物凄い速さで巨大魚を貫き、巨大魚がバッシャ~ンと水面に叩きつけられ、そのまま海に沈んで行った。
私が大きく息を吐き、外した右手を右腕に装着し、クルッと身体を回転させ、海から出ようとした、その時、リューク王子が、遠くの方から私をじ~っと見つめているのに気付いた。王子は、驚きのあまり、固まっている。
―し、しまった!リューク王子を守る為とはいえ、私が機械人間である事がばれてしまった!もう城にいる事ができない!もう王子と一緒に過ごす事ができない!悲しい!悲しいよ!でも、決まりだから仕方ない。王子に説明して、分かってもらおう―
私がゆっくりと歩いて海から出て、王子のところに行き、涙を流しながら説明する。
「リューク王子!見られちゃいましたね。そうなんです。私、人間じゃなくて、人の手によって作られた、機械人間なんです。王子を守る為とはいえ、最大の特殊能力を使ってしまい、王子にばれちゃいましたね。実は、私、機械人間である事がばれたら、城を出て、研究施設に戻って、二度と外に出られない事になってるんです。悲しいですけど、これでお別れです。今まで、すごく楽しかったですし、幸せでした。王子と結婚できたらいいなって思ってましたけど、叶いませんでした。やっぱり、王子は人間の女性と結婚する方がいいと思います。王国の為にも、私の事なんて忘れて、ストロベリー王女と結婚して下さい。今まで、本当にありがとうございました。王子と一緒に過ごした事、絶対に忘れません。王子、愛してます!」
「キ、キララ!確かに、僕は見てしまったけど、行かないでくれ!君が機械人間でも、関係ない!僕は、君を心から愛してる!ストロベリー王女との婚約を破棄して、君と結婚したいんだ!」
「ダメです!私が機械人間というのがばれたら、研究施設に戻らなきゃいけない決まりなんです。そうしないと、大変な事になるんです。お願いです。分かって下さい!王子の幸せを心から願うからこそ、今、お別れしなきゃいけないんです!」
私がそう言うと、全速力で走り出した。走り去る私を見つめながら、リューク王子は茫然と立ち尽くしていた。
そして、私は、その日のうちに、荷物をまとめ、城を後にし、研究施設に戻った。
あれから、かなりの日が経った。今日は、リューク王子とストロベリー王女の結婚式が行われる。結婚式の会場は、ロンベルディ王国の城の中にある、教会のようなスペース。ストロベリー王女が、馬車に乗って城に向かっている。リューク王子は、自分の部屋で椅子に座って、無言で俯いている。
暫く時間が過ぎ、突然、王子の部屋のドアがノックされた。ドアを開けて部屋に入って来たのは、ミンキーだった。
「リューク王子!結婚式直前の大切な時間に、突然来てしまって、無礼をお許し下さい。でも、どうしても渡さなきゃいけない物がありまして、来ちゃいました」
ミンキーがそう言うと、一枚の絵をリューク王子に手渡した。王子が絵を見ると、すぐに目から大粒の涙が零れてきた。
「この絵は、キララが、王子との結婚生活を夢見て、描いた絵です。誰にも見つからないように描いてたみたいですけど、たまたま、私が見てしまって、キララが恥ずかしそうに、誰にも言わないで下さいって言ってきて、誰にも言わないでおこうと思ったんですけど、やっぱり、王子には結婚前に見てもらわなきゃいけないって思って、お渡ししました。ここからどうするのかは、王子次第です。では、失礼します」
ミンキーがそう言うと、部屋から出て行った。リューク王子が、暫くの間、沈黙しながら考え、はっと思い立ち、椅子から立ち上がり、部屋から出て、全速力で走った。更に、城から出て、馬に跨り、馬を走らせ、研究施設に向かった。その道中、ストロベリー王女が乗っている馬車とすれ違い、ストロベリー王女が、目を見開きながら、走り去って行くリューク王子を見つめていた。
その頃、私は、機械人間である事がばれたペナルティとして、研究施設の隔離部屋に閉じ込められていた。機械人間である私は、食事をとらなくても死ぬ事は無く、お風呂は入れていたが、他の誰とも顔を合わせる事は無かった。
私が相変わらず、隔離部屋で過ごしていると、突然、大きな叫び声が聞こえた。声の主は、なんと、リューク王子だった。
「キララ!迎えに来たよ!遅くなって本当にごめん!あれから、いろいろ悩んだんだ!王国の事とか、自分自身の事とか、キララの事とか、考えれば考える程、どうしたらいいのか分からなくなっちゃって、いつの間にか、ストロベリー王女との結婚式の日が来てしまったんだ!諦めかけたんだけど、ミンキーが来て、キララが僕との結婚生活を描いた絵を渡してくれて、その絵を見て、目が覚めたんだ!その絵には、僕とキララが、すっごく幸せそうに結婚生活を送っている様子が描かれてたんだ!もう迷わない!キララの事が好きだ!心から愛してるんだ!僕と一緒に城に戻って、僕と結婚してくれ!お願いだ!」
―リューク王子!私を迎えに来てくれたんだ!すっごく嬉しい!私も、王子の事が好き!大好き!愛してる!行きたい!王子のところに行きたい!もう、どうなってもいい!え~い、行っちゃえ~!―
私が思いっ切りドアを蹴り、鍵を壊してドアを吹っ飛ばし、隔離部屋を出て、研究施設の入口に向かって走ると、私の前に、博士が立ち塞がった。
「キララ!何処へ行くつもりだ?隔離部屋のドアの鍵を壊すなんて、滅茶苦茶な奴だな!お前は、機械人間である事が、王子にばれてしまったんだ!もう二度と研究施設から出る事はできないんだ!大人しく隔離部屋に戻れ!鍵は後で直しておく!」
「博士!行かせて下さい!私、リューク王子を愛してるんです!王子と一緒に生きていきたいんです!お願いします!」
「ダメだ!決まりなんだ!行かせられない!どうしても行くと言うのなら、今ここで、お前を壊さなきゃいけないんだ!そんな事はしたくない!頼むから、隔離部屋に戻れ!」
「嫌です!絶対に行きます!博士と戦ってでも、王子のところに行きます!」
「そうか。決心は固いようだな。じゃあ、遠慮なく、お前を壊させてもらうぞ!」
博士がそう言うと、指を鳴らした。その直後、何体もの機械人間が、私に向かって襲い掛かって来た。
―負けない!絶対に王子のもとに帰るんだ!―
機械人間に殴られ、蹴られ、斬り刻まれ、身体がボロボロになったが、死に物狂いで戦い、右腕の穴からビームを出し、何とか全ての機械人間を倒す事ができ、固まる博士を横目に、王子のところに猛ダッシュ!王子が見え、王子に抱き付くと、王子も私をぎゅ~っと強く抱き締め、二人で見つめ合い、熱~いキスを交わした。
二人で馬に跨り、馬を走らせ、城に戻ると、鬼の形相をしている国王と、怒り爆発のストロベリー王女が、私と王子を待っていた。そして、ストロベリー王女が叫んだ。
「リューク王子!そこの機械人間の女の何がいいのよ!可愛いところ?強いところ?」
「どっちもだし、他にもいっぱいある!僕は、キララを愛してるんだ!ストロベリー王女とは結婚できない!分かってくれ!」
「フン!どうしてもって言うなら、その機械人間の女と、勝負させてよ!私の方が可愛いし、強いっていうのを、証明してやるわ!私が勝ったら、私と結婚してもらうからね!」
「何言ってんだ!そんな危険な勝負、させられる訳ないだろ!」
その時、私がストロベリー王女に向かって口を開いた。
「分かりました。勝負しましょう。私が勝ったら、私が王子と結婚します」
「フン!なめんじゃないわよ!こう見えても、私、一級魔法使いなんだからね!容赦しないよ!あんたなんか、ぶっ壊してやる!」
私とストロベリー王女が対峙。少し間が空き、ストロベリー王女が先制攻撃!
「食らえ!バーニングファイアシュート!」
ストロベリー王女が、何十個もの魔法円を出し、一斉に炎が噴き出して来て、私に向かって落ちて来た。爆炎と煙に包まれ、私の姿が見えない。
「キララ~!!」
リューク王子の叫び声が響いた、その直後、ストロベリー王女の背後に、私が回り込み、腕で首を絞めた。
「ぐわ~!い、いつの間に!」
「倒したと思って、油断しましたね。私の勝ちです。降参して下さい」
「フン!まだ勝負は付いてないよ!いっけ~!スペシャルサンダーボルト!」
突然、頭上に大きな魔法円が出現し、物凄い雷が、私に落ちて来た。機械人間である私は、雷に弱く、雷に撃たれた私は、その場に倒れ込み、動けなくなった。
「は~っはっはっは!私の勝ちね!リューク王子は私のモノよ!」
ストロベリー王女が、勝ち誇って笑っている、その時、突然、私の腕が伸びた。そして、私の腕が、ストロベリー王女の首を掴んで締め上げた。
「え・・・な、なんで?」
私には意識が無い。何故、腕が伸びたのか謎だが、恐らく、リューク王子への愛の力が、私の腕を伸ばしたのだろう。
「し、死ぬ~!わ、分かった!私の負けよ!放して~!」
ストロベリー王女が負けを認めると、私が首から手を放した。
「キララ~!」
リューク王子が私のもとに駆け寄り、涙を流しながら、私をぎゅ~っと抱き締めたが、私の意識は戻らなかった。
あれから、どれだけの時間が経っただろうか。私は、意識が戻らないまま、城にあるベッドに寝かされている。今日も、リューク王子が私の横で椅子に座っている。
「キララ、おはよう。いい天気だね。この絵に描かれてる光景そのものだね」
私が描いた絵には、天気がいい日に、二人で笑いながら楽しくおしゃべりしている光景が描かれていた。その時、急に、絵から光が飛び出し、私に降り注いだ。そして、私がゆっくりと目を開けた。
「キ、キララ!目を覚ましたんだね!良かった!愛してるよ!」
「リュ、リューク王子!長い間、待たせてしまいましたね。待たせた分、一緒にいっぱい幸せになりましょう!愛してます!」
二人でぎゅ~っと強く抱き締め合い、熱~いキスを交わした。
その後、すぐに私とリューク王子は結婚した。博士も協力的になり、私とリューク王子の子どもの機械人間を作ってくれ、三人で幸せな生活を送っている。
様々な出来事や障害がありましたが、主人公とリューク王子は、幸せな結婚生活を送る事ができました。諦めずに頑張れば、道は開けるものですね。読者の皆様にも、幸せが訪れますように。最後までお読み頂き、本当にありがとうございました。




