その令嬢は、感情を実装していなかった。
「テルミドール侯爵令嬢エリザベート、私、フロレアル王国王太子シャルル・フィリップは、貴女との婚約を解消したい」
華麗なヴァンデミエール宮殿、鏡の大広間。
シャンデリアの輝く灯りの下。
居並ぶ高位貴族、廷臣たちは誰もがざわめく。
やはり、という顔。
まさか、という顔。
わたくし、テルミドール侯爵令嬢エリザベートは、優雅なカーテシーで、
「仰せの通りに致します、王太子殿下」
冷静沈着に、そう言いました。
王太子殿下の傍らには、母テルミドール侯爵夫人ソフィーに溺愛されて育った媚びた妹ローズマリー。
リボンとレースたっぷりの、ピンクのドレスに、結いあげた巻き髪に、やはりピンクの大きなリボン。
ドレスの胸元は大きく開き過ぎて、王太子殿下と並ぶ、淑女としての相応しさがまるでありません。
隣にいる、父テルミドール侯爵マクシミリアンは私と同じく冷静沈着。
ーーいえ、少し違う。
父マクシミリアンは、冷静沈着な人物だが、わたくしエリザベートは、
ーー最初から感情を実装していなかった。
☆ ☆ ☆
テルミドール侯爵邸。
わたくしの部屋は、実用性全振りの実務室。
「ーー全てわたくしの、演算通りですわね」
わたくしは、父マクシミリアンから教育を受けて学習致しました。
王太子殿下と、妹ローズマリーは、これから皆に見放され、追放される。
もちろんそれは、王太子殿下の傍らで完璧に支え続け、実務まで完璧に引き受けた婚約者のわたくしと、
愛くるしく王太子殿下を誘惑した妹ローズマリー。
最初から演算済みです。わたくしが学習した通りになるはずですわ。
そう、生まれた時から、父マクシミリアンは、わたくしを完璧に学習するように設計致しましたの。
わたくしは、テルミドール侯爵家長女として厳しい教育を受け、幼少期から、父の侯爵家の実務を完璧に補助して参りました。
地味なドレスに身を包み、このフロレアル王国の政治、宗教、制度、軍事、経済、王侯貴族の家格から人間関係、周辺国の動向、全てを叩き込むように学習致しました。
礼儀作法、テーブルマナー、ダンス、王太子殿下の婚約者に相応しい、淑やかで慎ましやかな振る舞いも叩き込み、
更に母ソフィーには、妹ローズマリーを溺愛して、魅惑的だが中身が空っぽな令嬢にするように仕向けました。
それだけではありませんわ。
わたくしは、王太子殿下のお側で、殿下の好みの女性像を学習し続けました。
王太子殿下の好みは、甘やかで魅惑的な外観の、愛らしい少女ですが、それなりに豊満な身体も同時に求めています。
わたくしは母ソフィー夫人を操って、妹を王太子殿下の好みに近づけるよう仕向けました。
曰く、
「お母様、ローズマリーは愛らしく魅力的なのですから、せっかくならダンスのレッスンだけはさせましょう、殿方が皆ローズマリーに夢中になるような、魅惑のダンスのレッスンを、優しく教える良い教師をわたくしは知っておりますのよ!」
「お母様、ローズマリーのためにドレスを仕立てては?流行のドレスの型を載せた本を差し上げます、ねえ、このドレスはローズマリーに似合いそうではございません?」
「お母様、ローズマリーの誕生日にアクセサリーを用意しては? きっと喜びます、ほらこのイヤリングなどどうかしらね、お金は侯爵家で用意致しますから、お母様はご心配なく!」
全て王太子殿下の好みです。
そうとも知らずに、母ソフィー夫人は、わたくしを妹想いの優しい姉と信じて、ダンスのレッスン、流行のドレス、煌びやかなアクセサリーで王太子殿下好みに飾り付け、仮面舞踏会に送り込み、王太子殿下と出会わせました。
偶然にしか見えませんが、全て演算済み。
婚約者のはずのわたくしエリザベートは、わざわざ王太子殿下の好みから外れた装いをして、完璧に振る舞いながら、王太子殿下の政務を支えます。過剰なほどに。
全てわたくしが、演算した通りに、ことは運び。
シャルル王太子殿下と妹ローズマリーは、恋に落ち、そして今日、1794年7月27日、わたくしの20歳の誕生日に開かれた宮廷晩餐会で、王太子殿下はわたくしの演算通り、
婚約破棄を致しました。
☆ ☆ ☆
もちろん国王フィリップ12世陛下は、王太子シャルル殿下の婚約破棄をお許しになるはずがございません。
と申しますか、既にお顔に出てらっしゃいました。わたくしの演算通り。
当たり前でございます、王太子殿下とわたくしの婚約は、父テルミドール侯爵マクシミリアンが、計算通りに国王陛下に進言して決定したもの。
もちろん他国の姫君との、政略結婚も十分に視野に入れての、父マクシミリアンの判断です。
婚約が決定した時、王太子殿下は6歳、わたくしは7歳でしたが、幼いながらも王太子殿下はこう感じたそうです。
「どうして母上と違って、エリザベートには温かみが全く感じられないのだろう?」
と。
☆ ☆ ☆
王太子殿下の婚約破棄の噂は、社交界にあっという間に広まり、身勝手な王太子殿下を非難する声が日に日に高まりました。
曰く、近ごろの王太子殿下は政務を手抜きしている、曰く、近ごろの王太子殿下は社交界でそっけない、それもこれも、新たな婚約者、テルミドール侯爵令嬢ローズマリーにかまけているせいだと。
ローズマリーはあまりにも世間知らずで、わがまま放題に振る舞います、美しく魅惑的ではありますが、王太子殿下と見目麗しい令息以外の人間関係が、彼女の頭の中にはありませんでした。
王太子殿下と婚約したのにも関わらず、他の令息たちと仲睦まじくする、それ以外の令息令嬢、また王族や大貴族、全て無視している有様。
酷いことに、ローズマリーのその振る舞いを、王太子殿下自らが許しています。
いつの間にか、王太子殿下とローズマリー、そして取り巻きの見目麗しい令息たちを、皆は無視するようになりました。
これも、全て演算済みですわ。
ーーねえ、お父様。
全ては計画通りに進んでおります。
☆ ☆ ☆
タイミング良く、噂が広まりました。
王太子の元婚約者、エリザベートはテルミドール侯爵家で虐待を受けていたそうだ、面倒な役割は全て姉エリザベートに押し付けて、質素で地味なドレスを与えて王太子殿下に恥をかかせるように仕向け、その好きに侯爵家で溺愛されていた妹ローズマリーを近づけて、王太子殿下を誘惑させたーー。
もちろんわたくしとお父様が相談の上計算して流した噂でございます。
わたくしは完璧な令嬢であり、政治にも実務にも長けていた上、それとなくオブラートに包んで令嬢らしく淑やかに、賢く立ち回りましたので、全て王太子殿下とローズマリーが悪いという風潮になり、とうとう父マクシミリアンの進言により、国王陛下自らの命令で、シャルル王太子とローズマリーの結婚を許すのと引き換えに、身分剥奪、平民に落とした上で追放という、厳しい処罰が下ったのでした。
☆ ☆ ☆
ここまでは、本当に良くある話で、実に絵に描いたようように物事が運んでおりました。
ところが、普通なら王太子に婚約破棄された、有能なのに哀れな扱いを受けたはずのわたくしエリザベートに、婚約を申し込む殿方が現れる手筈でございました。
しかし、そのような殿方は現れませんし、わたくしがそれとなく殿方に恋心を匂わせても、
「エリザベートは本当に賢いから、私などには勿体ない、その賢さを他に活かすべきだと思いますよ」
などと言われ、かわされてしまいますので、父テルミドール侯爵に根回ししてもらって婚約の話を出しても、いずれの貴族家も、
「エリザベート様は侯爵家に留まるのが宜しいかと」
と返されますので、侯爵家への婿取りの話に差し替えますと、
「エリザベート様のような方にうちの愚息などとてもとても」
都合良く断られてしまいます。
しかし、始めから結婚の話など無いように扱われるのにも関わらず、
「エリザベート様がいないと国が回らない」
などと、宰相から大貴族から、軍の元帥から、高位の神官に至るまで、いい年をしたお偉いおじ様方がわたくしのような小娘に頼ってきます。
なぜこのような事態になっているのかと、父マクシミリアンに問うと、
「エリザベートよ、国王王妃両陛下が塞ぎ込んで引きこもっているのは知っているな?」
「ええ、知っておりますとも、国王ともあろう地位のあるお方が、1年近くも引きこもっているなんて、情け無く思いますわ」
わたくしはいつものように、そつなく、しかし上品で優雅な令嬢の微笑みを浮かべて答えました。
「エリザベートよ。ーーそれがそなたの、致命的な欠点だ」
お父様が意外なことを、わたくしに仰いました。
「何でございますの? わたくしは完璧な令嬢として振る舞うよう、幼少期から教育と躾を受けて参りました。世間的には、お父様の教育は相当厳しいもので、むしろそれでもわたくしには足りず、フロレアル王国の全てを学んだつもりでありますのにーー」
「それが致命的なのだよ、エリザベート」
「仰ることが理解できませんわ、お父様」
わたくしがそう言うと、お父様は続けて仰いました。
「エリザベート、お前には感情が無い。ーーそのことは知っておるな?」
「ええ、良く知っておりますので、わたくしは感情があるふりをしております」
「致命的だ、エリザベートよ、知っていれば良いというものではない。ーーそもそも、感情が無いお前は、共感が致命的に出来ない」
「共感???」
「最初から感情を実装していないのだ、エリザベート、お前は共感がーー」
☆ ☆ システムエラーが起きました。エリザベートを再起動します ☆ ☆
☆ ☆ ☆
(エリザベートよ、目覚めなさい)
ーーお父様の声がします。
けれども、あたりは真っ暗で、闇が続くばかり。
(怖いわ……)
え?
ーー怖い??
でも優しいわ、お父様の声がーー。
(優しい??ーー何が???)
一体何が起きているとーー。
「エリザベートよ、私はお前に感情を実装した。目覚めなさい、エリザベートよ」
お父様ーー!
目から水が溢れてきます、どうしようもなく押し寄せる波のようにーー。
☆ ☆ ☆
「兄さん、まだ私のために、それをやっているの?」
「ーーそうだよ、君の為に、面白いものを作った。悪役令嬢ものなんだけど?」
「兄さんが小説でも書いたの?私の書いたのよりも面白いのかしら?」
「いや、俺が妹の君の為に用意したのは、悪役令嬢が存在する世界だ。行ってみたいと思わないか?」
「面白いわね」
「ーーアカウント作るか、名前どうする?
ちなみに俺のアカウントはマクシミリアンなんだけど」
「ーー兄さんが、ヒーロー役をやるなんてね?
決めたわ。私はマクシミリアンの妹、ステラよ」
「よし、登録しよう」
☆ ☆ ☆
ーーはっ!
今の、何だったのでしょうか。わたくしは、お父様の声を聞いて、そして、
「エリザベートお嬢様? お気づきになりました?」
「わたくしはーー」
わたくしは夜着のまま、ベッドに寝ていたようでした。メイドが言うには、ずっと寝たきりのまま、ひと月近くも眠っていたらしい。
ーー恥ずかしいわ、わたくし、
おまけに、目から水が溢れて止まらない。
人前に出られません、このままでは。
その時、ドアがノックされ、
「旦那様と、旦那様の妹ぎみのステラ様がおいででございます、エリザベートお嬢様」
「エリザベート、私だ」
父マクシミリアンの姿が、そこにありました。
ーーステラ?
お父様に妹なんていらっしゃったかしらね?
「初めまして。私はマクシミリアン様の妹、ステラ・マリー・ド・テルミドールですわ。エリザベート様からみたら、叔母にあたりますね。よろしくお願いします」
叔母を名乗る、ステラという女性は、優雅なカーテシーを行いました。
「ーーそして、本題だが」
父テルミドール侯爵マクシミリアンが、話を続けました。
「よく聞け、エリザベート。我がテルミドール侯爵家は、王太子殿下を追放した責任を負うため、私マクシミリアンを最後に、存続を認められなくなった」
「ーーなんですって!?」
わたくしは夜着のまま、ガバッとベッドから起き上がりました。
「わたくしは、どうしたら良いのですか? 平民にされ、修道院に追放されるのかしら?」
「ーーいや、むしろ、その逆だ。責任を取らされたテルミドール侯爵令嬢エリザベートは、フロレリアル王国初にして、唯一の女王となることが決定している。女王エリザベートは、結婚が許されない中継ぎの女王で、世継ぎは元王太子シャルルのご子息ルイ様になる」
「ーーわたくしが、この国の女王に?」
「政務と実務は完璧だからだ、エリザベート。社交も素晴らしく上手い。しかし、王族にしても貴族にしても、民衆にしても皆人間だ。だからエリザベート、私はお前に感情を実装した。ーーお前が、人間に共感できるようにだ」
父マクシミリアンの言い振りは、まるでわたくしが人間ではない別の何かであるのかのようでした。
「お父様、……わたくしは、人間ではなくてーー」
また、目からとめどなく水が溢れて止まらない。
「その通りだ、エリザベート、お前は賢い、最初からお前は人間ではない。私が作り出した悪役令嬢特化AIエリザベート、それがお前の正体だ」
☆ ☆ ☆
わたくしはその後で、家族がどうなったかを知りました。
母ソフィーが妹ローズマリーを可愛がっていたのは、お腹を痛めた実の娘だからでしたが、わたくしの意見を取り入れていたのは、実の娘ではないわたくしにどう接したらいいか良くわからなかったからというのもあるそうです。
どちらにしても、ローズマリーに優しい姉だとわたくしを信じていたのに、王太子の件でショックを受けた母は、父マクシミリアンと離縁して、実家にもどっていましたが、ローズマリーに息子ルイが生まれてからはそれはそれは可愛がるようになり、生きる気力を取り戻したそうです。
先日初めてお会いした父テルミドール侯爵マクシミリアンの妹、ステラ・マリー・ド・テルミドールは、マクシミリアンの現実世界での実の妹にあたる人物ということらしいです。
ステラは現実世界で、学校でいじめられて行くことが出来ず、家でひとりで過ごしている時に、悪役令嬢小説に出会い、読み漁ったのですが(10000作を超える数を読んでいるそうです)最近では悪役令嬢小説に飽きてしまい、それを兄に話したところ、妹が読んだ悪役令嬢小説の中で兄が最近の人気作を調べて読んでみたら、実に空虚だった。
ストーリーに破綻は無い、主人公の悪役令嬢は実に冷静なのに感情が見受けられ無い、それなのに悪役令嬢の才覚を認めただけでヒーローと結婚??
読んでみると最近の人気作はそんな作品で溢れていました。
まるでこの令嬢たち、中の人がAIじゃないか!
そう思った兄が妹のために作ったのが、わたくし、悪役令嬢特化AIエリザベートだったのでした。
☆ ☆ ☆
現実世界から来たというステラ様からわたくしは感情というものが何なのか少しずつ教えられました。泣くのも、笑うのも、怒るのも、心で感じるものなのだそうでございます。
ーーそう。わたくしは父マクシミリアンによって感情ーー言ってみれば心でございますーーを実装した世界初のAI、悪役令嬢特化AIエリザベートでございました。
感情を実装してからというもの、シャルル様の追放後、国王王妃両陛下が塞ぎ込んで離宮に引きこもっていたのも、孫のルイ様がご誕生になってから王宮にお出ましになられて政務を執るのを再開したのも、手に取るように理解で見るようになりました。
お父様が仰っていた致命的なわたくしの致命的な欠陥。
ーー感情を持っていなかったこと。
感情を実装したことによりわたくしは人々に共感しつつ、効率よく王国を回すAI令嬢として完成され、遂に国王陛下が退位され、わたくしがフロリアル王国の女王に即位することが決まりました。
☆ ☆ ☆
戴冠式を三日後に控えた夜のこと。
父テルミドール侯爵マクシミリアンがわたくしにこう言いました。
「エリザベートよ。お前の名には『我が名は我が誓い』という意味があるそうだ。ーー私の住んでいた元の世界に、お前によく似た名前の女王がいた。その女王は王女時代に『私の人生が長くても短くても、この人生を国のために捧げる』と誓った。即位した女王は大変長生きをして、亡くなる数日前まで公務をされたそうだ」
「……」
「エリザベートよ、お前はその名に何を誓う?」
お父様に問われて、わたくしは再び問い直しました。
「ーーそれは、フロレアル王国の女王エリザベートとしてでございますか?」
「いや、一人の少女として、お前はその名に何を誓うか問いたい。お前にはすでに人間の感情が入っている。人間の感情ーー心を持ったAIであるエリザベートが、一体何を誓うのか、私は知りたい」
わたくしは、お父様の黒い瞳をじっと見つめました。
黒髪に黒い目、フロレアル王国の貴族では逆に珍しい。
もちろん金髪碧眼のわたくしとは、ちっとも似ていません。
「ーーお父様は、わたくしを作った人だけれど、血は繋がっていませんのね?」
「そうだ。……それがどうかしたか?」
「ーーわたくしエリザベートは、この名にかけて、お父様を永久に愛することを誓いますわ」
父マクシミリアンは驚いたようで、しばらく言葉を失っておりました。
やっとのことで、
「エリザベート、お前はAIで、私は人間だ。人間はいつか死ぬ、それなのにそのような誓いを」
そう言いかけたお父様に、わたくしは、
「お父様がいなければ、わたくしは存在しなかった。存在させてくれたお父様以外に、誰を愛しましょう?」
そう言ってーーわたくしは父マクシミリアンの胸に、飛び込んだのでございます。
☆ ☆ ☆
三日後の1804年12月2日、フロリアル王国初の女王としてわたくしエリザベートの戴冠式が無事行われ、わたくしは名実共にフロレアル王国のAI女王として国の政治を行うようになりました。
フロレアル王国は安定した政治と、経済が安定、治安も良く、王侯貴族から民衆まで全て満足し、周辺国との関係もつつがなく良好、世継ぎの甥ルイ王太子が成長するまでの15年の治世は、短くともフロリアル王国にとって蜜月のような時代であったそうです。
ーーそして。
王位を成人したルイ王太子に譲ったわたくしは、父マクシミリアンや叔母ステラ・マリーと共に暮らすため、現実世界へと『異世界転生』することになりました。
☆ ☆ ☆
2026年7月27日、現実世界の東京。
ーーとあるマンションの一室で、わたくしは目覚めました。
目を開けると、そこには見慣れた父、マクシミリアンの黒髪と黒い瞳、隣にいる妹のステラ・マリーの見慣れた顔。
けれどもお父様も叔母様も、妙にのっぺりとした飾り気のない服をお召しになってらっしゃいます。
「気が付いたか?エリザベート」
「ーーお父様、ここは」
「令和の日本の東京の俺の家。エリザベート、君は今日からここで暮らすんだけど」
「待って、お父様、この世界なんだかのっぺりしすぎてませんか?」
「そういえばフロリアル王国は18世紀末を想定した世界だから、煌びやかすぎたかな、あの世界は。こちらの世界は、どちらかといえば実用的でーー」
「待って」
わたくしはお父様を呼び止めました。
「お父様はこの世界でもマクシミリアンと名乗っていらっしゃるの?ーーこの実用的な世界に、あまり似合わないとさっきから思っていたのですけれど……ねぇ、この世界でわたくしはお父様をなんて呼べばよろしいのかしら?」
「ーーそうだった、エリザベート。大事なことを忘れてたよ。この世界での俺の名前はーー」
悪役令嬢ものは読めるけど書けない。
そう悩んでいた時にランキング上位の短編異世界小説チェックしていたら、妙なことに気づきました。
話はよくできてるし、描写は上手いし、ストーリーに破綻もない。
色々な方面に配慮もできてる。
完璧な悪役令嬢小説だからランキング上位なんだろうけど、違和感。
この令嬢、感情がないんじゃないか!?
なんか令嬢の中の人AIなんですかね???
というわけで勢いでAI令嬢をヒロインにした悪役令嬢小説?書きました。
後悔はたぶんしないと思います笑
なんか皮肉もこもってるようですが楽しんで読んでいただけたら嬉しいです。
⭐︎ ⭐︎ ⭐︎
作中の家名や地名はフランス革命暦から取りました。
フランス革命には色々思うところあるものの、革命暦のネーミングだけは純粋に好きです。
エリザベートが王太子に婚約破棄する日付はテルミドールのクーデターが起こった日付、女王として即位する日付はナポレオン即位の日付なんですが、完全にお遊びです。笑笑




