えっ、仲間がいる? あちこちに?
「おー! いらっしゃい」
おじいちゃんは、玄関まで出てきてくれた。
「ごめんなさい。大勢でおしかけて」
カケルのママが言うと、おじいちゃんはにっこりした。
「いやいや! いっぱいの方が楽しいからなぁ。さ、あがってあがって」
茶の間の万年コタツには、おかしと飲みものが既に並んでいた。
ペットボトルがいろいろ。
「飲みたいのをえらんでね」
と、おじいちゃん。
おかしを食べながら、学校の話とか、いろんな話でもり上がった。
「コスモキャンプの最初のやつ、遊んでみたいんですけど……」
というハルの言葉に、
「お? いいよ。今日は人数が多いから、茶の間にゲーム持ってこようか」
と、おじいちゃんがゲーム機を出してきて、大きなテレビにつないでくれた。
「うわー! コービィがカクカクしてる!」
「横にしかうごかない! 奥のほう、どうなってるんだろうね」
「ペラペラかもよ?」
「紙のコービィかー」
「そういえば、カセットの後ろに、紙を刺しているのはどうしてなんですか?」
ミホが聞いた。
「ああ、これ?」
おじいちゃんは、カセットのうしろを指さした。
「カセットとゲーム機の接触が 良くない時があってね。
紙をはさんで、金属がうまく当たる場所を、くふうしてるんだよ」
「「へぇー」」
「紙の厚さは、スーパーでもらった箱のふたが、ちょうどピッタリでさ。
はさみで切って、ずっと使ってるんだ」
「ぼくもまた、コスモキャンプやらせて?」
「おかし食べた手でもう! コントローラーがベタベタになっちゃうでしょ?」
と、カケルはママからおこられた。
「いいよ? 気にしなくて。最後にふけばいいんだから。なっ?」
おじいちゃんは、カケルの頭をなでた。
ザラザラした、あつい手だった。
ひとしきりあそんだところで、おじいちゃんが言った。
「そういえば……ノートを見せてくれるんだっけ?」
「そうだった。これ」
カケルは、コロコロと転がりながらコタツから出て、カバンをとりに行った。
ママは、すこし顔をしかめた。
おじいちゃんは、机のすみにあったメガネをかけて、
「ありがとう。どれどれ……」
ノートを そっと めくり出した。
最初こそ、ミホもハルも静かにしていたけれど——
「僕らにできるのは、ゲームの中のことを記録するだけだと思うんですよ」
「わたし、みんなで遊べるのがうれしくて……。思い出だけっていうのは、さびしいかなって」
「サーバって、よくわからなくてさ」
三人は、いっせいに話し続けた。
「うん、うん。なるほどねぇ」
「おおっ? 『できることから』って、いい考えかも」
「現物を見てみないとイメージつかないかもね」
「三人とも、お話は順番にね。おじいちゃんが疲れちゃうでしょ?」
と、ママ。
「ははは。いいんだよ。好きなように話してくれれば」
おじいちゃんはにこにこしながら、カケルたちの話を聞いてくれた。
おじいちゃんの目は、ぼくらの顔と、手元のノートとを行ったり来たりしていた。
「うーん。三人とも、よく こんなにまとめたねぇ。すごい!」
おじいちゃんは、ノートをほめてくれた。
それから、少し考えるような顔になって、つぶやいた。
「じつはね、『ゲームを残したい』って思ってる人たち、世の中にけっこういるんだよ」
「えっ、ぼくらみたいな人?」とカケルは声をあげた。
「残せているんですか?」とハル。
「どこにいるの?」とミホ。
「うーーーん、たぶん、今ここで言っても、ピンとこないかもしれないなぁ。
おじいちゃん、説明下手だからさ。ごめんな?」
そう言って頭をかいたおじいちゃんは、話を続けた。
「もし よかったら、学校のお休みの日に、どこか見に行ってみるか?」
「「見に行けるの!?」」
「どこに?」
「何カ所か、おじいちゃんの知り合いに、ちょっと聞いてみるよ。
すぐには難しいかもしれないけど、待っててくれるかい?
……今月中には、なんとかするからさ」
「りょうかい!」
「ありがとう!」
「もちろん!」
「んー、あまりおじいちゃんに、たいへんな思いさせちゃダメですからね?」
カケルのママが、少し眉をしかめて言った。
「だいじょうぶだよ。無理せず、ゆっくり行こう。な?」
おじいちゃんはそう言って笑った。
カケルたちは、カケルのママが何を心配しているのか、気づいていなかった。




