残したいのは、昔のゲームじゃないんだよね……
「よっこいせ……っと。はあ、やっぱり重いな」
おじいちゃんは、奥の方から、大きなサイコロみたいな形のテレビを引っぱり出してきた。
「こんな大きなテレビ、はじめて見たよ」
「昔は”ブラウン管”っていう、ぶ厚いテレビだったんだよ。ほんで、配線な」
おじいちゃんは、ちょっと茶色っぽくなった白いゲーム機と、サイコロみたいなテレビとをつなぎだした。コードをテレビの後ろに持っていく。そして、ツマミみたいなところを、ぐるぐると回している。
「で、カセットをフーフー」
「フーフー?」
「カケル、カセットの、この歯が出ている所に、ふーって息をふきかけてみて?」
「う? うん。 ふーーー」
「うまい、うまい。これをやると、ゲームがうまく動く」
「なんで?」
「金属と金属とが当たる所から、ほこりを飛ばすって言われてるけど……
ほんとはあんまり意味がなくてな」
「意味ないのかー」
「おまじないだよ。でも、なんか、フ―っやっちゃうんだよね」
おじいちゃんは楽しそうにそう言って、カセットをカケルに手わたした。
「じゃあ、カセットをさしてみて? ここの、ゲーム機の、『みぞ』になってるところに」
「ええと……」
「OK。いっしょにさすか」
カセットがゲーム機にザクッ! とささった。
おじいちゃんは、ゲーム機の右はしを指さした。
「そしたら、このスイッチをカチャッて上げてくれるかな?」
「うん」
カチャッ。
「……あれ、テレビつかないね?」
「あ! ごめん。アダプターをコンセントにさしてないわ」
おじいちゃんは、黒い握りこぶしみたいな塊から出たコードを、コンセントにさした。
カチャッとやったら、こんどはテレビ画面に、カクカクとしたキャラクターが映った。
「これが、むかしのコスモキャンプ?」
「そう。カケルのコスモキャンプのおじいちゃんみたいなもんだな。スタートボタンを押してみて」
「うん。
……ええと、どう動かせばいいの? せつめいが出ないんだけど」
「遊びかたを教えてくれる”チュートリアル”っていうのがゲームに出るようになったのは、もっと最近のことでさ」
「うわ、コービィが、横にしか動かない!」
「今のゲームは、奥にも行けるよな。昔は横にしか動けないゲームが多かったんだ」
「ファイヤ出したいのに、LボタンとRボタンがないよ?」
「AとBの二つしか、ボタンがついてないんだ。
ファイヤのスキルが出てくるのも、もっと後のシリーズからだった……たしか」
カケルが動かしているコービィは、穴に何度も落ちた。
ゲームオーバーの文字が、テレビに出た。
「うわー。むずい! すすまない」と、カケル。
「昔のゲームは、ちょっと難しいんだよね」と、おじいちゃん。
何回かくり返すうちに、カケルは少しずつ、ステージの先まで進めるようになってきた。
最後に一回だけ、ステージのゴールまでたどりついた。
「やった!」
「やるねえ!! うまい」
おじいちゃんは、うれしそうに手をたたいた。
「おじいちゃん、ありがとう」
カケルはコントローラを床に置いた。
「これもいいんだけど……ぼくがなんとかしたいのって、CCOなんだよね。ハルやミホといっしょにあそべるほう」
「――そうだよね」
おじいちゃんは、もう一つのコントローラを床に置いて、言った。
「じゃあ、カケルの方を、いっしょに考えてもいいかな?」
「いっしょに?」
「おじいちゃんも、少し調べものをしてみる。
昔のゲームと、カケルがやっている今のゲームでは、
違いもたくさんあるだろうから。
いっしょに考えれば、いいアイデアが出るかもしれないだろ?」




