さよなら、CCO
冬休みに入ったぼくたちは遊びまくった。
CCOのサービス終了は、
12/31の23:59:59。
とあるネットゲームでは、サービス終了した後も、ログアウトしないで、何日も何日もねばり続けたプレイヤーがいたらしい。
ゲーム会社さんが、『全員がログアウトしてからサーバをストップする』って決めたんだって。
だからそのプレイヤーは、「俺が居るうちは終わらねぇぞ!」ってがんばっていた――
パソコンのトラブルとかで、結局ログアウトしちゃったみたい。
それも、サービス終了への戦い方の一つかなって、ぼくは思う。
でもそれと同じことは、ぼくらにはできない。
だって、親から「寝なさい」って言われるから。
冬休みに入ったら、
「もうちょっとでサービス終了なんでしょ」
って、ママは寝る時間を遅くしてくれた。
そのおかげで、CCOで遊べる時間が増えた。
冬休みは学校がないから、さらに長く遊べた。
ぼくは今、二階の子供部屋にごろんと横になって、CCOをプレイしている。
「カケル! 年越しそば、もう作っていいの? たまごは入れる?」
一階から、ママの声が聞こえてきた。
「年越したそばでいい! CCO終わってから食べる!」
「ちょっとカケル!」
「ママ。今日は、ギリギリまで遊ばせてやろう」
「もう……パパとママは先に食べちゃうからね!」
「それでいいー! たまごほしい!」
Haru:しゃしんどう?
Mi:まえのつかうね
Mi:めだたないのを
Haru:OK。ぼくもいいのとれた
Mi:さすが!
Haru:あとでいじる!
Mi:いいの?
Mi:しゃしんいじっても
Haru:めだてばそれで
Mi:カケルは?
Kakeru:あとで
Mi:ええー! (ドーン!)
Haru:あと2じかんちょいだぞ?
Haru:おわりまで
Kakeru:もうすこしでできる
Kakeru:セットが
Mi:まじですか
Haru:なにかてつだうことは?
ネットゲーム『コスモキャンプ・オンライン』、通称CCOは、サンドボックスのゲームだ。
Kakeru:そざいとってきて
”ボクセル”という四角いブロックを組み合わせて、
上に積んだり、削ったりして、
ゲームの中でいろんなものを創ることができる。
Kakeru:たけとエメラルド
Haru:りょ
Mi:りょ
ぼくは今、コンテンストに出す写真をとるための「セット」「背景」を、ゲームの中で創っている。
Mi:たけ20
Kakeru:あり!
すごい人だと、ゲームの中に、ボクセルという四角いブロックで、”コンピュータそのもの”を創っちゃった人もいるんだって。
Haru:エメラルド15
Haru:へいおまち
Kakeru:あり!
ぼくにはそんなことできないけれど――
元々ある形だけ、まねるぐらいなら。
Kakeru:できた!
Haru:うおお!!
ぼくは、『コスモキャンプ』シリーズの、全部のボス敵を、ボクセルで創って並べてみた。
もちろん、”いちばんさいしょのコービィ”に出てきた、ポニョリ公王もいる。
Mi:おめ!
Kakeru:あり!
ポニョリ公王は、おじいちゃんの家でプレイした、昔のコービィの敵キャラクタ―だ。
Kakeru:しゅうごう
Mi:いいの?
Haru:うつりこみ?
Kakeru:はいってOK
ぼくは、ミンテンドーフイッチの「さつえい」ボタンをおす。
カシャ!
画面が、まるでまぶたを閉じたみたいになって、すぐに元にもどった。
よし。ちゃんと写真はとれるみたいだ。
ジャンプボタンを連打、連打。
みょん! みょん! みょん! みょん!
コービィが、連続ジャンプでどんどん、空にうかび上がる。
ゲーム画面の大地には、
ぼくが創った、たくさんの敵キャラと、
ハルが動かしている、”ブシルディ”と、
ミホが動かしている、”ノッコ”と、
がいる。
CCOは、昔よりも、動かすのが簡単なんだって。
里中さんが、「昔のひっさつわざは、”コマンド”って言ってさ。上上下下左右左右B……」と、前に教えてくれた。そんなの入力できない。
矢印ボタンと、Rボタン。
これだけで、ぼくの大好きなスキルが発動する。
「おりゃ!」
鼻血スプラッシュ!
カシャッ!
Kakeru:しゃしんとれた!
Mi:おめ!
Haru:おめ!
Kakeru:ボスせんいこ!
Kakeru:さいごの!
Mi:りょ!!
Haru:りょ!!
サービス終了まで、残り時間――48分。
さよならはまだ早い。
さぁ、ラストバトルだ!!




