思い出を配る
「起立!」
「礼!」
「ありがとーござーいまーした!」
ガタガタン!
ザワザワザワザワ
ガラガラッ!
――
教室から廊下に出ると、風が冷たかった。
教室の中も、廊下でも。
「今年はサンタさんというか、お父さんからゲームをもらう!」
「ネタばれしてるじゃん」
「わたしはスマホ!」
「サンタさんが、スマホくれるの?」
「サンタさんは、いつ頃スマホ買いに行ってたんだろ?」
と、クリスマスの話でもちきりだ。
「お正月は大阪に旅行するんだぜ!」
と、じまんしている友達もいる。
「おい、カケル。聞いてる?」
「あっ、ごめん」
「……というわけで、CCOの、フォトコンテストの締め切りは1月7日だけどさ」
ハルが言った。
「冬休みの後ってこと?」と、ミホ。
「そう。出してみようよ! ミホが撮りためた写真がいっぱいあるし、目立つチャンスだと思うんだ!」
ハルはやる気まんまんだ。
「わたし、目立つのはあんまり好きじゃないんだけどな」
ミホはあまり乗り気じゃないみたいだ。
「そうなの? 優勝とかしたら、CCOを作った人たちと会えるかもしれないしさ!」
「優勝より、私たちの思い出ってことで、いいんじゃないかなぁ……」
「CCOの人たちと会って、気に入ってもらって、『こどもユーチューブチャンネル』とか始めさせてもらうとかさ!」
「それって、ハルがユーチューバーになりたいだけなんじゃないの?」
「あっ、バレた?」
「わかりやすすぎるんだよー」
ハルとミホとが楽しそうに話している。
「カケルはどう思う?」
ハルがぼくに、そう聞いてきた。
「そうだね。どっちの方がいいと思うの?」
ミホが、ぼくの顔をのぞきこんだ。
おじいちゃんの事があったから、
二人は、ぼくに気を使ってくれてそうだ……っていうのは分かった。
ぼくは、少し考えてから答えた。
「……出てみるのもいいかな」
「おおお! なかま!」
ハルが満面の笑顔になった。
「カケルがそう言うなら、それでもいいけど……」
ミホは、”しぶしぶ”って感じで言った。
「コンテスト自体は興味ないんだけど、写真をみてもらえるのはいいかも」
とぼくは言った。
「だよね。目立った方がチャンスも増えるし!」と、ハル。
「カケルもそっち派なんだね……」と、ミホ。
「いや、そうじゃなくてさ」
と、ぼくは首を横に振った。
「写真を出せば、ぼくらが好きなCCOを、覚えててくれる人が増えるかもなぁって」
そう言ったら、二人は少し、言葉が無くなった。
そしてミホが、こう言ってくれた。
「思い出を、みんなに配る……ってこと?」
「うん。そういうこと」




