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アーカイ部――小4とおじいちゃん、サービス終了するネトゲを残したい  作者: にぽっく
第11章 消えてしまった虹の、その先へ
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北風と、太陽と、ゲーム会社

「パパ、ちょっとお願いがあるんだけど」

 と、ぼくは切り出した。


「どうした?」


「おおの先生に連絡を取りたいんだけど、パパのパソコンを貸してもらえないかなぁって」


「おおの先生?」


「国会図書館の見学の時に、お世話になった先生だよ」


「……ああ。ママから前に聞いた、ゲームを研究している大学の先生のことね? でも、なんで?」


「国会図書館の人に、ハルが質問をしてたんだけど、そのお返事がメールで帰って来たんだ。

 ――で、”おやくそく”があれば、CCOみたいなネットゲームの保存が進むかもしれないんだって。

  だから、もっとくわしく聞きたいなって」


「そんなの、メールで聞くのが早いと思うんだけど?」


「会っていろいろ聞いてみたい。どこにヒントが隠れているかわからないから」


 そうしたらパパは腕組みをして、しばらく考え込んだ。


「カケル……お前は『これから』、何をやりたいんだ? そこを確認しておきたい。

 ――おじいちゃんが昔、ゲームを残す活動をしていたのは知っているよね?」


「うん。この前、里中さんから聞いた」


「おじいちゃんの活動の、バトンを受け取りたい……ってことなのかい?

 おじいちゃんは『渡したくない』って言ってたはずだなんだけど」


「そうじゃないよ。

 だってぼく、おじいちゃんが昔どんなことをしてたのか、全然知らないし」


「……まぁ、そうだなぁ」


「ぼくは、CCOみたいなネットゲームが残るチャンスを拾いたいんだ。もしそういうチャンスがあるなら、だけど」


「それは、おじいちゃんの時より、よっぽど苦しい道だとパパは思うけどなぁ」


「なんで?」


「レトロゲームは、買えば手元に置いておけるから自由に残せる。でも、ネットゲームはそうはいかないだろ? 里中さんたちですら『お手上げ』って言ってるんだぞ」


「やってみないとわかんないじゃん」


「本気か? パパは難しいと思うぞ?

 ――あんまり踏み込んで欲しくないとも、正直思ってる。

   おじいちゃんみたいなつらい思いをさせたくないし」


「わかんない。わかんないから、わかるところまでやってみるんだよ」


 そしたらパパは、頭をかきながら、部屋を歩き回った。


「うーん……。”おじいちゃんの後を継ぐ”んじゃないんだね?

 自分の意志を貫きたい、ってことでいいのか?」


「うん。やれることはやりたい」


「そういう所は、おじいちゃんにそっくりだなぁ。

 それがカケルの意志だっていうなら、尊重しないわけにはいかない。

 やりたいことはやってみた方が、後悔しなくていいからな。

 年明けの初売りで、”カケル用の”ノートパソコンを買おう。

 今回については、パパのパソコンで、大野先生に連絡するってことでいいか?」


「うん。ありがとう!」


「ただし、1つ! すごくだいじなことがある」

 と、パパが右の人差し指を立てた。


「なに?」


「『ルールに反することはやらない!』それは、守れるか?」


「えっ、う、うん……」


「ルールを無視すれば、実は、簡単に『できてしまう』こともあるんだよ。勝手にサーバーを作ったり、勝手にゲームをコピーして海賊版(かいぞくばん)を作ったり」


「外国で、サーバーをプレイヤーが作って怒られたっていうやつ?」


「それもあるけど、例えば、入場料を取ってゲームを動かしたまま展示するのもルール違反だ」


「ルールの話はむずかしいよ……」


「そのあたりは、パパの友達に、ルールに詳しい人が何人かいるから大丈夫。その都度聞けばいい。なんでこんな話をするかっていうとな……」


「うん」


「ネトゲを保存したいのなら、権利者にケンカを売ったら、その時点でもうムリになるからだ。言っていること、わかるか?」


「うーん……ちょっとわかんない」


「”北風と太陽”というお話は知ってる?」


「うん、それなら知ってる」


「ルールを破ると、ゲーム会社から嫌われるんだよ。

 ゲーム会社は、海賊版(かいぞくばん)が憎くてしょうがないから。

 ルール破りをすると、ゲーム会社に北風を吹きかけているのと同じで、

 そこから先は、協力が得られなくなる。

 それだと、”買えば自由に手に入るレトロゲーム”のアーカイブまでしかたどり着けない。

 その先へ行けない」


「ええと……じゃあ、太陽の方になれってこと?」


「カケルは飲み込みが早いなぁ。

 そう。ネトゲを保存したいなら、権利者と仲良く進んでいくんだ。

 パパは、おじいちゃんをずっと見ていて、そう思うんだ。そのルートしかない」


「うーん……。

 でも、ぼくがやりたいのは、それじゃないんだ」


「ゲーム会社にケンカを売りたいの? そっちはダメ筋だよ?」


「いや、そうじゃなくて……」


 なんて言えば、パパに伝わるかなぁ?

 ぼくのこの考え方が。


「ぼくが、ゲーム会社に()()()、国会図書館さんとかと、いい”おやくそく”もできたりするんじゃないかなぁって」

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