知らなかったよ
ポスター前での記念撮影。
ポヨミンのステッカー。
ポヨのキーホルダー。
などなど、いろんなおみやげ。
いろんなものをもらって、
カケルたちはゲーム会社「ソルトレイクゲームス」から出てきた。
ミホとミホパパはゲーム会社に残った。
――ミホパパが少し仕事をして、親子で買い物をしてから帰るんだそうだ。
カケル、ハル、里中さんの3人が、話しながら大きなビルを出ると、
道をはさんだ反対側には、執事喫茶の看板がいくつか見えた。
スーツ姿のかっこいいお兄さんとか、かわいいお兄さんの写真や絵が、どーん、と載っている。
二人の方を見ながら、ハルが言った。
「タナベさんの言ってたこと、僕はわかるなぁ。僕たち小学生だし、”おやくそく”の中でできることをやれば、それで十分なんじゃない?」
看板を見上げながら、里中さんが言った。
「タナベさんは、『ゲーム会社にまかせてほしい』と言っていたけど――
俺が好きなあのゲームも、このゲームも、ぜんぜん復活してないんだよね」
そう言って里中さんは肩をすくめた。
「復活するゲームって、体感だと、ほんの一部だからさ」
「……。ぼくは、どうすればいいですか? 里中さん」
カケルは、ほんとうにわからなくなって、そう聞いた。
「俺はアーカイブを続けるよ?
ルールでは救えないゲームたちを救いたいからさ。――まあでも」
里中さんは、看板から、カケルとハルの二人へと向き直って、言った。
「権利を持っていない人間のゲームアーカイブは、つらすぎる道なんだよね。
進さんですら、今は先に進めないし。
だからカケルくんには……『ムリしないで』としか、俺には言えない」
「おじいちゃんが、先に進めない?」
カケルは、思わず聞き返した。
里中さんが、ハッとして目を見開いた。
「っ……そっか。進さんから聞いてないのか。
まぁ……あの人、そういう人だよな」
里中さんは少しかがんで、カケルたちとの目の高さを合わせた。
「進さんは昔、俺よりもっと前から、ゲームを守ろうとしてたんだよ。
……でも、いろいろあって、今は前みたいに動けなくなっている。
でも俺は、進さんのこと、ずっと尊敬しててさ」
「おじいちゃん、昔そんなことをしてたのか……」
”日本で一番最初にゲームアーカイブを始めた”と言われる里中さん。
その里中さんよりもっと前から、ゲームを守ろうとしていた人がいた。
そしてそれが――ぼくのおじいちゃんだった。
カケルはびっくりして、たった一言しか言えなかった。
「知らなかった……」




