悪いけど、お願いできますか?
帰りの高速道路は暗かった。
もう夜になっていたから。
「カケル、CCOで、武器作りやろうぜ」とハル。
「そうね。わたしやりたい。カケルも手伝って?」とミホ。
二人は、落ち込んだカケルを励まそうと、いろいろと声をかけていた。
特にハルは、いつもの倍ぐらい、いろんなことを話しかけていた。
「いや、ぼくはいい……」
カケルはうつむいたり、窓の外を流れる夜景を見たりしていた。
カケルのママはしゃべらない。
「すまないねぇ、みんな」
おじいちゃんが、助手席のシートを斜めにして、半分起きて、半分寝ている感じのまま、そう言った。
「おれがもう少し、みんなのやりたいこととかを、事前に調整しておけばよかったんだが」
車の走る音と、ゲームの音だけが車内に響いた。
「まぁあれだ。里中さんも『大丈夫。落ちたディスクはデータが読めた。こわれてない』って言ってくれたし、楽しくドライブでいいんじゃないかな?」
いつもより少し高い声でおじいちゃんはそう言った。
「……そうですね」
カケルのママの反応は、一拍置いてからだった。
「あの……みなさん」
しばらく黙って運転していた、運転席のミホパパが、声を出した。
「ひとつ、提案があるんだけど」
高速道路で車を運転するミホパパは、ほんの一瞬だけ後ろを向いて、すぐに前を見た。そして言った。
「うちの会社の見学に、みんなで来てみますか?
――弊社は、CCOを作った会社ではないけれど」
「「えっ?」」
ハル、ミホの二人の声がハモった。
「……もちろん、会社から見学OKが出た場合の話ですけど。私が上司にかけあってみますから」
助手席に座っているおじいちゃんは、カケル達の目を順番に見てから言った。
「そうだね……。悪いんだけど、お願いできますか?」




