ゲームを集めてるのに、「CCOは」無いってなぜなんですか?
カケルの行きたい所――。
それは、係の人が居る、カウンターだった。
「あの、聞いてもいいですか?」と、カケル。
「ええ、どうぞ」
「どうして、コスモキャンプ・オンラインは、ここに無いんですか?」
「はい?」
「さっき、あそこのパソコンで調べたけど、見つからなかったから」
「一昨年の終わりぐらいに発売された、ネットゲームのことですね」
おじいちゃんが、そう付け足してくれた。
「あ、はい。念のため、データベースを確認しますね?」
係の人は、カウンターのパソコンをカチャカチャとやった。
「……おっしゃる通り、コスモキャンプ・オンラインは、当館では収集していないようです。
あっ、つまり、『ここには無い』ということです」
「どうして無いんですか?」
カケルがふたたび、そう聞いた。
「ええとですね……」
係の人は、しばらく考えてから口を開いた。
「この、私が持っている円ばんが、『コスモキャンプ3』です。先ほど皆さんにご利用いただいたものですね」
「うん」
「こういう、『物』に入っているゲームは、ゲーム会社さんからもらっているんです。法律で、納本制度というのがあるから」
「のうほん……?」
「本やゲームを作ったら、国会図書館に一つ配らないといけない、っていう決まりなんですよ。ちなみに、フランスの国立図書館”Bnf”の場合は二つ配ります。保存用と、プレイ用の二つです」
「へぇぇ! フランスの方がゲームの保存が進んでいるんですね」
と、おじいちゃん。
「えぇ。日本の場合は、もらうのは一本だけなので、その一本を利用者さんに傷つけられてしまうと困る……というのもあります」
「ゲームを作ったら、一本もらうんですよね。だったら、CCOも、ゲーム会社さんが作ったんだから……CCOも、もらっているんじゃないんですか?」
カケルがそう言うと、係の人は、右手のCD-ROMを何回か振った。
「こういう、『物』になっているゲームは、もらっているんです。
けれど、オンラインゲームの場合は――
……色々とあって、まだ、『もらう』という話になっていないんです」
「つまり、”ものによる”んですね? 全部もらっているわけではないと」
おじいちゃんが言った。
「はい。当館にあるのは、二〇〇〇年より後に出た、”物”になっているゲームばかりなんです」
「ほう!? ならば、初代の『コスモキャンプ』が無かったのはなぜですか? 初代は、ゲームカセットという”物”になっていると思うんですが」と、おじいちゃん。
「はい。先ほどデータベースで見ましたが、初代『コスモキャンプ』は、発売が一九〇〇年代になっていました。その頃には、国立国会図書館は、そもそもゲームを集めていなかったんです。だから、二〇〇〇年より前のゲームは、ほとんど持っていないんです」
「えー!」
「なにかおかしくないですか?」
いつの間にか、ミホとハルもカウンターの所まで来ていた。
「ごめんなさいね。
ゲームをすべて受け入れられる状態には――
まだなっていないんです。……残念ながら」
◇
図書館から外に出ても、
カケルたちは少しむすっとしたり、落ち込んだりしていた。
「そうだなぁ……なかなか、思った通りには行かないところもあるんだよ」
と、おじいちゃん。
「すみません、子供たちをがっかりさせちゃったみたいで……」
と、大野先生。
「いえいえ、今日のお話だと、チャンスがまったく無いっていうわけでもなさそうですし」
「どういうこと?」
カケルはおじいちゃんに聞いた。
「図書館の人が、ネットゲームは『まだ』もらっていないって言っていたのは、おぼえているかな?」
「あー……」
「うーんと」
「言っていた……かなぁ?」
カケルたち三人は、首をかしげた。
「『まだ』できないことは、『みらい』には、できるようになるかもしれないから」
おじいちゃんは、カケルの頭をポンとたたいた。
「おじいちゃんがいつもいじっている機械な。あれらも昔は『まだ』なかった。でも、誰かが作ってくれたから、『今』はある。えっと、『今』ってのは、『みらい』ってことで……ああややこしいな」
と、おじいちゃんは頭をかいてつづけた。
「要はね。あきらめたら、そこで試合終了なんだよ。へへへ」




