図書館にレストラン? それより、行きたい所があるんだ
「わたしでいいのかな?」
黒い本体のボタンをミホが押すと、
テレビに『コスモキャンプ3』のタイトルが出た。
「”サンドボックス”ゲームになる前の頃のですね」
大野先生が言った。
「サンドボックスって?」
カケルが聞いた。
「『これをやってね。じゃないと話が進まないよ?』というのが無い、”自由に歩き回れるゲーム”のことよ。コスモキャンプ3の頃は、ボスと戦わないと、次に進めなかったから」
大野先生はそう言って、コントローラをミホにわたした。
「順番にプレイしてみて。
――私はそれを見て、ちょっと、メモを取らせてね」
「子供が昔のゲームにどういう反応をするか? ……っていう研究なんですよね」
おじいちゃんが聞いた。
「はい。『その研究を論文にするよ!』っていう理由で、今日の見学会を特別にOKしてもらっています。通常ですと、18歳未満はそもそも国会図書館に入れません」
と、大野先生。
「お手配、ありがとうございました」
と、おじいちゃん。
「昔のゲームのコントローラって、ボタンがないんだね。Lボタンでスキルとか使いたいのに」と、ミホ。
「そうね。もっと前のゲームだと、AボタンとBボタンしかなかったの」
「初代コスモキャンプがそうでした!」
と、ハルが言った。
「えっ、初代を遊んだことがあるの?」
大野先生はびっくりしていた。
「カケルのおじいちゃん家でこの前、やったばかりです!」
「あら、そうだったの」
と、大野先生は言って、おじいちゃんの方を見た。
おじいちゃんは、うん、とうなずいていた。
「次ぼくね」
カケルがどんどん進めていった、画面の右はしから、大きなライオンみたいなボスが出てきた。
「この1面ボスを倒さないと、次の面に行けないよ」
と、大野先生。
「えいっ! うわっ! 火はいてきた!」
カケルが動かしているコービィは、あえなくやられてしまった。
「あらー残念」と、おじいちゃん。
「どれ、僕にかして」
ハルがコントローラを握ると、あっというまにボスを倒してしまった。
「おー! うまいね!」
おじいちゃんは小さく拍手をしてくれた。
ハルが遊び終えた後で、大野先生が言った。
「そろそろ、ディスクチェンジをしてもらいましょう」
「ディスクチェンジって?」
カケルはきょとんとした。
「違うゲームに入れ替えることよ。ミンテンドーフイッチで、小さいゲームカードを入れ替えたことはないかしら」
と、大野先生が聞いた。
「僕はあるよ」とハル。
「ぼくはないです」とカケル。
「わたしはあります」とミホ。
「そっかぁ。カケルくんは、”ダウンロード版”のゲームで遊んでいるんだね」
「兄ちゃんも僕も、別のフイッチを持ってるから。カードを貸せるようにしてるんだよ」と、ハル。
「わたしの場合は、パパが『なるべくカードで持っておこう』って言うから」と、ミホ。
「『コスモキャンプ・エターナル』と『コスモキャンプ・クラフティ』をリクエストしていたよね。どっちをやってみる?」
大野先生が聞いた。
「クラフティかなぁ……」と、ハル。
「わたしはどちらでも」と、ミホ。
「うーん、ハルにまかせるよ」と、カケル。
「了解。じゃぁ、『クラフティ』を準備してもらいましょう」
大野先生は、受付の所に歩いて行った。
しばらくすると、係の人が、ドーナツみたいに穴が開いた、虹みたいに光る丸い板を持ってやってきた。
「『コスモキャンプ・クラフティ』に、ディスクチェンジしますね」
係の人は、黒い本体から、丸い板を取り出して、持ってきた別の丸い板と取り替えた。
「これ、なんなの?」
「DVD-ROMっていう、ゲームのデータが入った円ばんです」
「そんなのがあるんだ……」
円ばんを見たことが無かったカケルたちは、驚いた。
「ディスクの交換終わりました。また交換したいときはお声がけください」
そう言って、係の人は戻っていった。
「あー! この感じ!」と、カケル。
「CCOとおんなじだね!」と、ミホ。
「ですね。『クラフティ』はCCOと同じく、ブロックを積んでいろんなものを創れるようになってるから」
と、大野先生。
「こうやって、初代からCCOに少しずつ近づいて来たんですね……」と、ハル。
「進化の歴史だよね」と、大野先生。
◇
コスモキャンプシリーズの三本をひとしきり遊び終えた後、大野先生が言った。
「じゃ、わたしもちょっと、ゲームをさせてもらいます。大人がプレイした時のデータも、論文のためにメモっておきたいから」
「ぼくたちはどうすればいいですか?」と、ハル。
「ここでゲームを見ていても良いし、他の所の見学に行っててもいいですよ」
「わかりました」
「おっ、じゃあ、どうする?」と、おじいちゃんが寄って来た。
「レストランでも、見に行くか? なんと、国会図書館の中にレストランがあるんだってさ!」
カケルはおじいちゃんのにこにこ顔を見て言った。
「うーん、その前にぼく、行きたいところがあるんだ」




