図書館のひみつ展
四角いマットが置かれていた。
「このマットを、靴のまま何回か、踏んで下さい」と、職員さん。
「どうしてですか?」とミホ。
「乗ると、どこかにテレポートするんですか?」と、カケル。
「テレポートはしません。本やゲームを保存してある場所に、虫が入り込むと良くないんです。
マットのネバネバで、靴の裏の虫やよごれを取ってから、中に入ります」
「へぇええ。 そんなことするんだ!」とハル。
「とう!」
カケルがいち早くマットに乗る。
「べたべたするー!」とミホ。
「ホイホイにつかまったみたいな気分だなぁ」とおじいちゃん。
エレベーターで下に降りると、広い空間が待っていた。
「天井、ひくいなぁ!」とカケル。
「はい。本やゲームは重いので、『床の広さで支える』必要があるんです。
物を乗せすぎると床が抜けてしまうので、
この広さならこのくらい置けます――と、
置ける量が決まっています」
「天井じゃなくて、床のおはなし?」とカケル。
「あ、そうです。たくさん置けるように、床をなるべく広くしたい。
そのために、天井は低くなります」
「そういうことか! 天井を低くして、そのぶん床を増やしたんだ!」とハルが手を打った。
「そのとおりです!」と、職員さん。ハルはにんまりした。
「あの、すみません……」とミホが後ろから、小さな声で言った。
「ちょっと寒いです……」
「ごめんなさい。資料がだめにならないように、温度と湿度を、いつも同じにキープしています。
――女性は寒く感じることがありますよね」
「これを着ていいよ?」
おじいちゃんが自分のベストを脱ごうとする。
「おじいちゃん? 寒い思いしちゃだめですよね?」
「あー、そうだったね。ごめんごめん」
おじいちゃんは、カケルのママから怒られた。
「では こちらを、ミホちゃんどうぞ。わたしは大丈夫なので」
大野先生が、ミホに上着をかけてくれた。
「ありがとうございます!」
大きな本棚がたくさん並んでいる。
天井が低くて広い。
そんな中を、しばらく歩いた。
「ここです。ゲームソフトを保存している場所」
「「「うわぁ!」」」
いろんな大きさの箱が、前の棚にも、後ろの棚にも、ぎっしり並んでいる。
「すごくたくさんあるー!」
「ありがとうございます。『納本制度』と言って、作った会社さんから国会図書館がゲームをもらう仕組みがあるんです」
「「「へぇえええ」」」
「CCOもありますか?」とカケル。
「この後、ゲーム機本体を見てから、地下一階のパソコンで調べてみてくださいね」と、職員さん。。
別の階へ、エレベーターで移動すると、
おじいちゃんよりも背の高い、ねずみ色のロッカーが、ドン! と並んでいた。
「ゲームを動かすためのゲーム機本体は、このロッカーにまとめてあります」
ロッカーの扉が開くと、見たことのないゲーム機がたくさん。
「こんなの、見たことない!」
「これは、おじいちゃん家で見たやつだ!」
「こちらのゲーム機は、『資料』ではなく、『備品』として置いてあります」
「えっと?」
「しりょう?」
「びひん?」
カケルたちの頭の上には、「?」マークがぽんぽんと出ていた。
おじいちゃんがみんなの前に出る。
「資料と備品では、なにが違うんですか?」
「あ、はい。『使えるかどうか』『コピーできるかどうか』など、私たちができることが違います。
“図書館として持っている物”、つまり資料と、“図書館が使うどうぐ”、つまり備品の違いですね」
「へぇ、そうなんだ」
とおじいちゃんもびっくりしていた。




