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修行は楽しい

 ゆらゆらと、揺蕩う感覚。


 ああ、また最初からやり直しか。


 それにしても酷い結末だった。

 主人公を望んでおきながら何もせず桃太郎という話を放棄したことの罰だったんだろうか?

 

 俺だけへの罰ならまだいい。

 お爺さん、お婆さん、そして村の皆まで巻き込むことはないじゃないか。


 ひどいよ神様。

 

 この悔しさ、必ず晴らしてみせる。今に見てろよ!

 

 よーし、やってやろうじゃないか鬼退治!

 そしてお宝ゲットで目指せ大富豪だぜ!

 

 その為には色々と計画立ててやらなくてはいけない。

 考えろ、考えるんだ……。


 ザクリ。


 あっ! 考えすぎてて時間を忘れてた!


 ――


 ゆらゆらと、揺蕩う感覚。


「オギャアアアア! オギャアアアア!」


「あら! お爺さん。大きな桃の中に赤ん坊が入っていますよ!」

「おお、婆さんや。なんとも元気な赤子じゃのう。これは神様からのさずかりものじゃろうて」

「ええ、ええ。大切に育てましょうね」


 お爺さん、お婆さんの元気な姿を見て。

 俺は本当に泣いたんだ。


 


「イチ! ニッ!」


 動けるようになってからは、毎日欠かさず体力づくりと剣の稽古だ。

 剣の稽古といっても、棒を振り回しているだけなんだが……。

 それでも、この体は鍛えれば鍛えるほど応えてくれるのが分かる。

 

 刀を手に入れる方法はいまだ見えてこない。

 

「桃太郎は、ほんにチャンバラが好きじゃのう」

「うん、悪い鬼を退治しに行くんだ!」


 元気よく宣言する俺を見て、お婆さんが目を細めている。

 今回の俺は、お婆さんにも普通に接することが出来るようになっていた。

 

 ある日、俺のためにお爺さんが村人を紹介してくれた。

 

 その人の名はゴン爺。

 昔、戦に駆り出され、嘘か真か大将首を上げたことがあるという話だ。

 

 その話の真偽がどうあれ、ゴン爺は俺よりも剣の扱いが達者なのは間違いなかった。

 スピードでは上回っているように見えるのだが、気が付くと一本取られているのだ。

 これが剣術というものなのか、目からうろこが落ちた。


 畑仕事の後は欠かさずゴン爺の下へ行き、修行に明け暮れた。

 前回鬼が来たのは俺が15才になった夏のことだった。

 今の俺は11才、あと4年しか猶予はない。


 俺の計画では、15才になるまで修行を続け、この村にやって来る赤鬼を退治する。

 そして村の安全を確保したのち、鬼ヶ島へと向かうのだ。


 入れ違いで村が焼かれたのでは本末転倒だからな。

 それまでに武器も手に入れなくてはいけないのだが、まだその目途は経たない。

 

 正直焦りはある。だが今は少しでも強くなるために修行をするしか無い。

 

 14才になった。

 

 俺はついにゴン爺から一本取ることが出来た。


「もう教える事は無い、あとは自分でやりなさい」


 ゴン爺から修行の終了を言い渡された。

 嬉しくもあったが、悲しくもあった。


「ありがとうございました!」


 深々とお辞儀をした俺に、ゴン爺が差し出したのは刀だった。


 「もうワシは使うことも無い、持っていきなさい」

 

 ゴン爺に改めてお礼を言った俺は、ウッキウキで家路についたのだった。


 残るは、あと1年。

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