開園、桃太郎ランド
『はやたろう』がホリホリしている所へ向かうと、一か所色の違う部分があった――隠し扉だ。
扉開くと地下へと続く薄暗い階段。
慎重に歩を進めていくと、地下には祭壇のようなものがあり、真っ黒な玉が飾られていた。
禍々しい気配を放つそれは、見ているだけで気分が悪くなってくる。
鬼が祀っているだけに、ロクなもんじゃないだろう。
足早に地下の祭壇を後にした。
――
6体目を仕留め、谷底へ落そうと運んでいる時、ついに見つかってしまった。
どういう訳か、深い叢の中で横になっていた奴がいたようで『きぎし』から見つけられず、風向き的に『はやたろう』の鼻も感知出来なかった。
オオオオオオオオオオ!!
俺を見つけるや否や、威嚇のためか、仲間に知らせるためか大声を上げた鬼。
俺は距離を詰めると、猿正宗で切りかかる。
鬼の攻撃をかいくぐり、太ももを深く切りつけた。
激しい出血、ほおっておけば失血死するだろう。
ケーン! ケーン!
『きぎし』が上空で旋回し、警告を上げる。
鬼たちがこちらに向かってきている、時間はかけられない。
脚に重傷を負った鬼を残し、俺は素早く山へと向かう。
桃太郎ランド開園の時間だ!
振り切らない程度の速度を保ちつつ逃走する。後ろをチラリと振り返ってみるとおおよそ5体の鬼が追いかけて来ていた。
こいつらを全て片付ければおよそ三分の一は減らしたことになる。
鬼は図体がでかく力も強いが、走る速度はそれほどでもない。
あまり速く走りすぎてはいけない調整しつつ、アトラクションへと誘った。
発動!
崖上で待機していた『まさるさん』がロープを斬る。
ゴロンゴロンと丸太が勢い付けて転がり落ちて、鬼達に直撃した。
流石にそれだけで倒せはしないが、大ダメージを負った模様。
よろよろと立ち上がる鬼たちは、当初の威勢をなくしている。
ここで逃がすわけにはいかない。
鬼さんこちら手の鳴る方へ! パンパンと手を鳴らして鬼達の前に姿を見せる。
あれぇ? あの鬼さんがまさかこんなんで音を上げたりしませんよねぇ?
小ばかにした表情で、首をかしげて見せるとたちまち頭に血が上った鬼たち。
ははは! 皆赤鬼になってらあ!
5体のうち4体はまだまだ元気そうで俺を追い始めた、だが1体だけ置いて行かれた鬼が居る。
その背後から忍び寄る白い影……。
ギャアア!
後ろから上がった悲鳴、だが鬼たちは俺に夢中で気が付かない。
石礫を投げつけつつ、さらなるアトラクションへと鬼を誘導していく。
追いかけている鬼の1体が何かに足をとられズザーと地面に勢いよく倒れた。
設置しておいたくくり罠に嵌ったようだ。
すかさず草陰から『まさるさん』が飛び出し、足首を鎌で切りつけて素早く去っていく。
1体、また1体と数を減らしていく鬼。
穴底で息絶えた最後の1体が、その事に気づくことはなかった。
ほっとしたのもつかの間、ケーン! 『きぎし』からのさらなる警告。
鬼達の後続が押し寄せてきていた。




