赤鬼戦完全決着
悠々とした足取りで道を歩いて来る赤鬼。もはや見慣れた感すらある。
相変わらず俺が立ちはだかっているのに気づいてもその歩みは止まらない。
赤鬼に視線を合わせたまま、腰に佩いた猿正宗を引き抜く。
後ろに控えていた『はやたろう』『まさるさん』『きぎし』が俺の横に並ぶ。
そこでようやく、赤鬼が警戒の表情を浮かべ、足を止め金棒を構えた。
そう、それでいい。
今回はガチンコ勝負。
舐めプしてる相手に、わからん殺しなんて方法で勝つつもりは無い。
いくぞ!
開口するや否や『はやたろう』が地を駆け出した。
ジグザグの動きで赤鬼に迫る。まるで白い稲妻のようだ。
だが赤鬼もさるもの、その複雑な動きを追っている。
赤鬼が金棒を振りかぶったところを『きぎし』が目の前を横切り視界を奪う。
手元が狂い空ぶった金棒は、空しく地面を叩いた。
『はやたろう』は素早く回り込み、赤鬼の右足首に牙を立てる。
グオッ!
苦悶の声を上げ、『はやたろう』を振り払おうと、右足を振り回す赤鬼。
片足立ちになった赤鬼の左足を『まさるさん』が鎌で切りつけた。
赤鬼はたまらず両膝をつく。
ちょうどよい高さになったな。
俺は猿正宗を横一線に振り抜く――!
村に戻り、皆に赤鬼を倒したことを伝えると、総出で見に来た。
いよっ! 日本一の桃太郎!
村人からの掛け声が飛ぶ。
慢心は良くないが、今この時だけは浸らせてほしい。
旅立ち前に壮行会が行われた。
俺はまだ酒を飲めないのだが、大人たちは赤ら顔でワイワイとうかれている。
これは俺を口実にお酒が飲みたかっただけなのでは……。
まあ、皆の笑顔がみられたからヨシ!
翌日、最強の味方と共に村を出た。いざ目指すは鬼ヶ島!
――
村の皆に見送られ、俺たちは旅立った。
何度も経験して、勝手知ったる道のりだ。
今回はすでに仲間がいるせいなのか、道中できびだんご目当てで寄ってくる動物は居なかった。
あいつらはちゃんと食えているんだろうか?
戦力としてはゼロどころかマイナスだったかもしれんが、一時は仲間だっただけに気になった。
俺がいたせいで食べ物を自分で探さなくなってしまったのだったら、俺の存在もあいつらにとってはマイナスだったのかもしれない。
俺たちの出会いは残念なことに掛け算にはならなかったということか。
さて、鬼ヶ島の手前までは無事に辿りついたが、今回は舟探しに難航している。
今までより早く付いたせいだろうか? いつもならボロい舟を貰えていたのだが、それが無い。
近隣の漁村を訪ね歩いていたある日、村に居座る鬼達を見つけた。
3体の鬼は、何かの残骸を燃やしたかがり火を囲んで、魚を貪り食い、酒を飲んでいるようだ。
村に人影は無く、ガハガハと鬼たちの笑い声だけが響いた。
やる事は決まっているが、念のため辺りを探る。
周囲に鬼影なし、あいつらだけのようだ。




