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第4話 再起動
……静寂。
ユナが目を開けると、
そこは青い空と風が吹く丘の上だった。
草の匂い。
鳥の声。
そして、遠くで子どもたちの笑い声がする。
ユナはゆっくりと立ち上がり、周囲を見回す。
廃墟も、虚無も、もうどこにもなかった。
カイルが隣に立っていた。
「……どうやら、生きてるらしいな。」
ユナは微笑んだ。
「うん。
でも、ネムがいない。」
カイルが指をさす。
「見ろよ。」
空の彼方。
光の樹が、静かに立っていた。
その幹の中に、微かにネムの声が響く。
> 『ユナ……記録を続けて。
世界がまた痛みを覚えるたび、あなたが灯りになる。』
ユナは涙を拭き、頷いた。
「うん。
今度は、私が“記録の樹”になる。
誰かが泣いたとき、私がその記録を光に変える。」
風が吹く。
ユナの髪が揺れ、
空には無数の光の粒が舞い上がっていった。
それは――新しい世界の“記録”だった。




