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HAMA/運命の逆賊  作者: わらびもち
第三章 会議
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第15話 生徒会

 オレが獄境に行っている間に生徒会のメンバーは大体決定したらしい。オレが入れば序列持ちは全員生徒会に入ることになるらしいが………オレはやっぱり面倒くさいんだよなぁ……。ルーシュの説明は雑だから生徒会の特権などはイマイチ理解していないからその辺はちゃんと確認しておかないと。

 一日の授業を全て終え、荷物をまとめてから生徒会室に向かった。普段はそんなところに用もないから少し迷いながらも、数分遅れて到着することができた。部屋にはすでに生徒会の七人が長椅子に座っており、会長は中央のテーブルに着いてオレを待っていた。


 「待ってたぞ。グランデュース=ミルアルト……君のことはルーシュやカミュールから聞いていたが……いつの間に五星級になったんだ?序列戦で四星級になったばかりだったろ?」


 「つい先日のことっすよ。獄境で魔物と戦ってたんで。………生徒会は序列持ちだけかと思ってたんすけど、一人多いですね。」


 「ああ、彼は君と同じ一年のアリアド=ヴァンルージだ。Aクラスだがセンスがありそうなんでね、誘ったんだ。そのうち序列を狙ってくるかもしれないぞ。」


 そう言うと右端に座っていた男が軽くお辞儀をした。魔力は三星級程度だろうか、少し前のオレと同じくらいの魔力量だ。これといって脅威を感じるようなものはないが、確かに何か不思議なものを感じる。それが何なのかは分からない。ある種の魅力なのか……とにかく面白そうなヤツだ。


 「ま、とりあえず聞くけどさ。君、生徒会に入る気はある?」


 「それは色々考えたけど、もう一回詳しく生徒会の説明をしてくれませんかね。ルーシュの説明じゃよく分からないんで。」


 「ははっ!そうかそうか。うーん……仕事なんてのは正直、行事運営の手伝いとか、上級生としての引率程度のものしかないな。どちらかと言えば得られる特権の方が大きいだろうな。」


 「そうじゃなきゃ誰もやらないでしょうからね。それで、その特権ってのは?」


 「まず学園内の施設は全て自由に使うことができる。加えて学園外においても生徒会役員証があれば優遇してもらえることが多い。そして最も大きいのは欠席したとしても公欠になることだな。極端な話、毎日休んでも生徒会員であれば咎められることはない。まぁそんなことがあれば除名するだろうけどな。」


 「へぇー…………?ルーシュがサボり過ぎでよく怒られてなかったか?」


 「ペナルティがないというだけだ。残った仕事を放り出してサボっているのを黙っていられるわけないだろ。大した理由もない休みなら尚更な。」


 まぁ……当然と言えば当然か。ルーシュは仕事をしなさそうだし、そんなヤツは生徒会には要らないだろうしな。……ルーシュはよく生徒会、しかも副会長を続けていられるな。


 「ルーシュを除名しようとは思わないんで?」


 「厄介な奴だとは思ってるけどな、それだけ序列の意味も大きいというわけだ。不本意ながらコイツは二位、ぞんざいに扱えば生徒からの反発もあろう。」


 「不本意って何よ。」


 「加えて全校生徒からの人気も高いときた。君も気をつけろ。」


 “気をつけろ”……?どういう意味だ?……まぁ今は気にしなくていいか。ジンリューの軽さからしてそう重要なことでもないだろう。


 「しかしなぁ……大して利点を感じないというか……大抵のことは頼めばなんとかなるんでね。………正直わざわざ生徒会に入るってのは……。」


 「まぁそうだろうな。どうやら君には何か隠し玉があるみたいだから………そういう反応にはなるだろう。だからお前が望む条件を一つ言え。俺の力でどうにかなることなら何でも飲もう。」


 「そんな待遇でいいんで?オレは所詮は六位の一年でしょ。そこまでして生徒会に引き入れようとする理由が分かりません。」


 「君にはそれだけの価値があると言っているんだ。投資だとでも思ってくれ。」


 ジンリューの瞳には期待が籠っていた。それだけオレに可能性を見ているのだろうか。そうならばまぁ……悪い気はしないけれど、あまり大きなことは言いたくないかな。とはいえ生徒会に入る条件となると、無駄なことも願いたくない。


 「………それならあなたの力について教えてください。序列戦でその片鱗は見ましたが、あれだけではないでしょ?」


 「ははっ……そんなことでいいのか?」


 「ええ、あまりねだると外野からの反感が大きそうなんで。」


 「そうか。いいぞ、状況をよく客観視できている。それなら後で場所を移すとしようか。他の者に聞かれたんじゃ約束が違うからな。………で、つまり生徒会に入るってことでいいんだね?」


 「ここまで言われたら断るわけにもいかないでしょ。俺としても悪い話じゃないですしね。」


 そう言ってオレは話を承諾した。最初はどうするか悩んでいたが、ジンリューがこれほどまでに期待してくれているなら応えてやりたい。そして学園最強に近づける機会も、これを逃せばそうそうないだろう。


 「では学園にいる間はこれを羽織りなさい。これが生徒会である証だ。」


 そうして渡されたのは、赤色や金色の入った高級感のある上着だった。試しに袖を通してみると、サイズはなかなかピッタリだが………。


 「これは学園の備品なのか?」


 「いや、ルーシュからおおよそのサイズを聞いてたんで準備してもらったんだ。どうせ君は生徒会に入っただろうからな。」


 なんか………なんか見透かされているな。オレがどう言うのかも、どう答えるのかも分かっていたのか?オレを知っていたわけでもないのに?なんだか不気味な人だな。


 「さて、これで今年の生徒会は完成したわけだが………今日のところは解散としようか。我々の最初の仕事は“霊明祭”になるだろうが、まだ時間はある。明日再び集まるとしよう。」


 「了解。」


 「ではミルアルト、君は俺の部屋に案内しよう。」


 「はい……うおっ!!」


 立ち上がってジンリューの後をついていこうと思ったが、その必要はなかった。小規模の転移魔法でジンリューの部屋まで連れてこられたようだ。グネグネと歪んだ空間を飛んだため少しばかり気持ち悪くなったが、そんなことは正直どうでもよかった。


 「……空間魔法とは珍しいですね。なかなか見ませんよ。」


 「適正があったというだけさ。ところで言い損ねたが、先輩だからと敬語を使わなくてもいいぞ。君は一年だろうと歴とした序列持ちなんだ。普段通りの言葉遣いで構わない。」


 「うーん………。まぁあんたがそう言うならそうするか。」


 「さて……俺の力を聞きたいんだったな。まず序列戦でルーシュとの戦いで見せた“空間支配の権能”、アレは俺が放出した小さな球体に触れたものを全て無に帰す力だ。イメージとしては球体が何もかもを削り取るといったところかな。より強い力に止められない限りは防がれることはない。」


 ……強力だな。オレの能力スキルならどれくらい対抗できるだろうか………。触れた時点でオレの力とジンリューの力、どちらが押し勝つかが鍵になるな。しかし聞いたことのない言葉が引っかかる。


 「“権能”ってのは?能力スキルとは違うのか?」


 「権能というのは能力スキルの中に織り込まれている力のことだ。それぞれが独立した力であって併用することはできない。そういう面では不便ではあるけど、手数が増える分能力(スキル)を複数持っているようなものだ。まぁこの言葉は俺の能力スキルに備え付けられていたものだから他に同じような者がいるかは分からないけどな。」


 「なるほどね……。」


 能力スキルは最大で一つまでしか得ることはできない。その上で複数の力を有している能力スキルというのが価値が高いということは考えるまでもない。


 「じゃあ他の権能は?」


 「一つは“空間裂波の権能”、俺が出した球体が爆発するというものだ。連鎖させて爆発を大きくすれば攻防一体の力となる。もう一つは“空間雲山の権能”、球体が周囲の空間を無限に圧縮して飲み込むことができる力だ。吸引時には引力を、排出時には斥力を生み出す。利便性ではこの権能が一番かもな。」


 「……確かになかなか強そうですね。」


 「そして最後に“空間破壊の権能”、これは球体に触れたものに亀裂を入れる力だ。岩でも木でも……もちろん人でも、亀裂を入れて破壊する。“空間支配”に並ぶ攻撃力を出すことができる。それらが俺の能力スキル、『泡沫夢幻エフェメラル・ドリーム』の権能だ。」


 ……全てが強力で、攻撃的な力だな。加えてシンプルで応用が効きそうだ。それが序列一位たる所以なのか……そもそも一番警戒すべきは力以上に彼の戦闘技術ではあろうが。しかし想像以上に詳細に話してくれたな。もっと曖昧な説明をされるのかと思っていた。


 「たかが生徒会に入る条件なのに、思ったより細かく説明してくれたな。」


 「それが約束だったからな。それに君には期待をしていると言っただろ?近い将来、今の俺の力を凌駕するだろうしな。」


 「?まぁ……そう思ってもらうのは嬉しいですけど……。」


 「これは期待じゃないぞ。言うなれば予言だ。」


 ……予言?……あれか、この人はそういうのを信じるタイプなのか。オレは占いや予言というのは都合の良いものしか信じないタイプだからな……共感しづらい部分もある。


 「………何を考えているのかは知らないが、これは俺のもう一つの力だ。」


 「ッ!?能力スキルってことか?能力スキルは二つ以上は持てないはずだろ?」


 「俺の能力スキルではなく、守護者の能力スキルだ。近い未来であればあるほどに不透明だが微細に見ることができ、遠い未来であればあるほど粗雑だが鮮明に見ることができる。もちろん見ることができるのはほんの一部の未来……つまり断片だな。その力を俺が利用しているわけで……俺の力を超えている存在の未来は見ることができないが。」


 「へぇー………。遠い未来の方が鮮明なのか。そういうのって逆かと思ってたよ。」


 「運命というのかな。そういうものは大体決まっているんだ。未来を見て行動を起こし、近い未来を大きく変えたとしても、世界の修正力によって運命の軌道は大して変化しないんだよ。そういう面ではバタフライ効果なんてものは無いに等しいのさ。世界の力を超える存在がいたとしたら、あるいはその限りでもないのかもしれないけどな。」


 なんか……難しいな。とにかく未来を見ることはできるが、そこまで便利でもないということなのだろうか。未来を見たとしても変えることが難しいとは………まぁそうでなかったらなんでもアリになっちまうか。


 「………つまりあれか?話を戻すとあるときからオレの未来が見えないってことか?死んだわけではないよな?」


 「死んだ未来は見えないけど……察しがいいな。半年後くらいか、君がどこかに行ったと思えばそれ以降の未来は見えない……つまりその時点で今の俺の力を超えたということだ。そのときの俺がどれほど強くなっているかは分からないが、少なくとも君は侮れない存在になる。ちなみにルーシュに関しても大体同じ時期から今の俺を超えてるな。成長が目まぐるしいよ。」


 「未来ねぇ………どうも実感が湧かねぇな。そりゃウソはついてねぇんだろうけど、なかなかそういうのは信じてこなかったから。」


 「まぁそうだろうな。………じゃあそうだな、一つ警告しておこう。歴史の破壊者(デスティニー)には気をつけろ。アレのせいで随分と死にそうだ。大量の人間が殺される未来だけは変えたい。俺の見た未来では生きていたと言っても、君が死なないという確証はない。」


 「!!………その名前は一般には知られていないはずだ。……未来で見たのか?」


 「やはり君は知っていたのか。今はまだ極秘事項のようだが、いずれ奴らは大衆に牙を剥き始める。数年と経たずに世界は嵐に飲まれるぞ。……まぁそれに備えて君は鍛えるのかもしれないがな。」


 戦争でも起こるというのだろうか……それだけは止めないといけない。歴史の破壊者(デスティニー)に抵抗する力もない今ではオレは何の役にも立たないな。………それを理解しているからこそ、この人はオレを生徒会に入れたがっていたのか。オレを強くしたいから……。


 「さて、話はそれぐらいかな。自分の部屋へは帰れるか?」


 「あぁ、大丈夫だ。………一つ聞くが、未来を見たか、ルーシュから聞いたかでオレの守護者について知ったことはあるか?」


 「?……守護者に関しては俺より強いだろうということしか分からないな。君の守護者についての未来は一切見えないから。ルーシュは君のことを自慢はしていたが、守護者については口が堅かったし、何なのかは知らないが心配はしなくていいと思うぞ。」


 「そっか。それならいいんだ。じゃあオレは帰るよ。」


 オレはジンリューとの話を終え、寮の自分の部屋に戻った。なかなか有意義な話を聞けた気がする。実際に見てみない限りはどんな力なのか、具体的には分からないけれど、思っていたよりもずっと面白そうなものだった。近いうちに争奪戦を申し込んでもいいかもしれない。オレは眠りながら密かにそんなことを考えていた。

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