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ランダムチャット学園  作者: とんぼ
学園生活の始まり
7/65

〜崇拝者と主君、そして冷静な実況陣〜


《邪王真眼が入室しました。》

《ちーずが入室しました。》

《バトルが開始されました——》


突然始まったのは、教室裏のバーチャル空間。

今日のフィールドは——


《邪王真眼がフィールドを展開しました——「深淵刃界」》


空が赤黒く染まり、地面から無数の刃が天を突く。

空間の重力すら歪むような、異様なフィールドだ。


「くっ……なんという、漆黒の世界……ッ!!」


震えながら立ち尽くすのは、ちーず。


だが、その表情には恐怖ではなく——陶酔。


「さすが……さすがです、邪王様……!!」


《いちゅきが入室しました。》

《BOSSが入室しました。》

《追い焚きニキが入室しました。》


「おっ、始まっとるやん」


「うわ……ちーずが嬉しそうに震えてる。あれ、バトルなん……?告白なん……?」


「いやアレは“宗教儀式”やな。試練受けてる新興宗教の信者や」


「……やだぁ……怖いけど、ちょっと引き込まれる……」


いちゅきが肩甲骨をさすりながら呟く。


 


***


「フッ……来い、ちーず。貴様の信仰心が本物なら、我が漆黒に触れてみせろ」


「喜んで!!」


叫びながら突っ込むちーず。だが、次の瞬間。


——ズバァッッッ!!!


ちーず、吹っ飛ぶ。


地面に転がりながら、体中に刃の軌跡が光る(※痛覚はある仕様)


「ぐあっ……さ、さすが……邪王様の、漆黒の愛撫……ッ!!」


「うわぁ……すげぇ感想出てきた」


「BOSS、これ実況する意味ある?」


「いやむしろ“解説が追いつかない”回やなコレ」


「ってかちーず、完全に“やられることがご褒美”になってるやん……」


 


***


「我が力の前に……ひれ伏すがいい……」


邪王真眼が宙に浮かび、空から漆黒の刃を降らせる。


——だが、その最中。


「うぅ……く、くださぁい……!!もっと……この刃を……!!」


叫ぶちーずの声に、空中で一瞬静止する邪王真眼。


「……」


(なんか、違う意味で勝ってる気がしねぇ……)


 


***


そして、刃の嵐が収まった後。


ちーずは全身ボロボロになりながら、跪いた。


「邪王様……!やはり、貴方は至高の存在……ッ!!」


「そ、そうか……当然だ……」


「一生、ついていきます!!僕の全て、捧げます!!」


「……い、いや。ほどほどにな?」


《ちーずが退出しました。》

《バトル終了。勝者:邪王真眼》


 


***


「なあニキ、あれ勝負やったんかな?」


「いやあれ……恋やな。というか、人生やな」


「もうわかんねぇよこの学園……」


「でも、邪王真眼……あの世界観を貫く姿勢、俺はちょっと羨ましいよ」


「俺もやで。……とんたん、しっかりしとる」


「誰がとんたんだぁぁ!!」


【つづく】


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