表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ランダムチャット学園  作者: とんぼ
学園生活の始まり
6/65

〜上級生、動く。とんぼの中二に火がつく日〜


渡り廊下。昼休み。


今日も黒マントをなびかせながら歩く、ひとりの男がいた。

その名は——邪王真眼(またの名をとんぼ)。


(俺の力に、誰もが怯え始めている……)


すれ違う生徒たちの視線、ひそひそ声、全てを「畏怖」と脳内変換して受け止める彼。


「最近のあの人、バトル中に詠唱始めるってマジ?」「あれガチなの……?」


もちろん、本人は一切気づかない。


 


***


談話エリア。昼下がりのいつもの席。


「そんでさ、昨日のバトルで“混沌の宴が始まる”とか言って、エフェクトで黒い羽根が舞ってたんよ」


「うわ、また演出過多型のやつか。あれ中盤で燃え尽きるパターンやろ」


冗談を飛ばしながら座っているのは、BOSSと追い焚きニキの2人。

学園でも一目置かれる上級生コンビだ。


「でも俺、ああいうの……ちょっと好きやけどな」


ロン毛をかき上げながら、ニキは静かに笑う。


「やりすぎててアホっぽいけど、なんか……一周回っておもろいというか。

“自分だけの世界観”って感じがして、嫌いじゃないんよな」


BOSSは缶コーヒーを傾けながら笑う。


「まぁな。あいつ、完璧に自分の世界に生きてる感じあるよな。

痛いっちゃ痛いけど、あそこまで突き抜けたらもう芸術だわ」


「なあBOSS、俺ちょっと気になるんよ、あいつのこと」


「奇遇だな。俺もちょっと話してみたいと思ってたとこ」


 


***


その時、ちょうど廊下の向こうから現れたのは、例の男——とんぼ(邪王真眼)だった。


マントをはためかせ、ゆっくりと歩いてくるその姿。


「……あ、来たな」


「行こか」


2人は立ち上がり、堂々と彼の前に立ちはだかる。


 


***


「……ん?」


呼び止められ、とんぼは立ち止まった。


目の前に立つのは、サングラスをかけた無表情の男と、ロン毛でどこか抜けたような笑顔の男。


「邪王真眼、だったか?」


「聞いてるで。お前、最近なかなか派手にやってるってな」


「ふん……貴様ら、何者だ」


「俺はBOSS。……まぁ、見た目ほど偉くない。そっちが追い焚きニキ。産廃の運転手。現役」


「俺はニキ。バトルとか強くないけど、ちょっと面白いやつにはすぐ声かけたなるタイプでな」


「……面白いやつ?」


「そ。お前さ、めっちゃ浮いてるよな。けど、俺はそういうの、嫌いじゃない。むしろ好きやで」


とんぼは一瞬、目を細めた。


「浮いてる?違うな。俺は……“この世界において唯一、闇と契約した存在”だ」


「うん、それな。

俺的には“中二というより神話の住人”って呼んでる」


「なあBOSS、たぶんこの子、ずっとこの調子なんやろな」


「だろうな。でも、今の学園で一番目立ってんのは間違いなくこいつだよ。なぁ、邪王真眼」


「……貴様らの言葉、ただの冷やかしではないな」


「そう取るかどうかは、お前の勝手やけどな」


ニキがポケットに手を突っ込みながら、ぼそっと呟く。


「でも、俺はお前のこと——ちょっと、気になってんねん。

この世界、変えてくれそうな“変人”ってな」


風が吹いた。


マントが舞い上がり、とんぼの瞳がわずかに揺れる。


「……クク……面白い。貴様らの名、覚えておこう。

いつか闇が、お前たちを試す日が来る……それまで、その魂、磨いておけ」


「いや磨かれるのはお前やと思うで」


「お前、間違いなくターゲット増やしてるからな今」


そんなこんなで、邪王真眼と上級生コンビは、奇妙な“距離感”でつながり始めた——


【つづく】


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ