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ランダムチャット学園  作者: とんぼ
学園生活の始まり
4/65

〜圧倒的“かまって力” VS 冷静な詰め、勝者は——〜


《バトル開始から3分経過》

《現在のフィールド:私を構ってモード》

空間に漂う甘ったるい色彩。

ぬいぐるみ、ハート、意味深なタイムライン風コメントが空中を浮遊している。


「てかアンタ、ずっと他人の矛盾突いてばっかで、自分の感情どこ置いてきたの?」


「……理性があれば、感情は制御できる。

それが人間ってもんでしょ。わかる?」


「はあ〜、そういうの、マジで一番しんどいのよ」


ぐみは床にしゃがみこみ、手に持った“エアスマホ”をカチカチと操作し始めた。


「なにそれ、既読スルーってこと?

あーあ、これでまた“誰も私のことわかってくれない”って思うヤツ、ひとり生まれたよ。ねえ、わかる?

……わかってほしいんでしょ?ちょっとぐらい、気持ち見せなよ」


ぴくり、とまさとの目が揺れる。


「……感情なんて、場に出す意味がない。俺はただ……」


「“ただ観察してるだけ”って言い訳、かっこいいつもり?

傷つきたくないだけでしょ。自分の本音は隠して、他人の矛盾だけ見て安心してんの。

そうやって距離取ると、誰もあんたのこと見てくれなくなるよ?」


「……」


まさとの足元に広がるピンクの床が、じわじわと彼を飲み込む。

反論の言葉はある。だが口が動かない。


なぜなら——図星だった。


「そういうとこ、可愛いけどムカつくんだよねぇ」


にっこり微笑むぐみ。だが、その奥の瞳は一切笑っていない。


「ほんとは誰よりも誰かに見てほしいんでしょ。

なら素直に“かまって”って言いなよ。……言えないの?じゃあ私が言わせてあげる」


「……くっ……」


《まさとが退出しました。》

《バトル終了。勝者:ぐみ》


空間がゆっくり元に戻る。


「……あら、終わっちゃった」


ぐみはぼそりと呟くと、教室の端に戻って座った。

まさとは、一言も発さず席に戻り、机に向かって静かに缶を開ける。


そして……ぽつりと呟いた。


「……ぐみさん、今日のフィールド、よくできてました。はい」


「……あら、素直でよろしい」


そう言って、ぐみはちょっとだけ笑った。

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