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ランダムチャット学園  作者: とんぼ
学園生活の始まり
3/65

自己紹介も混沌


1-B教室。

入学式から数日、どこか落ち着かない空気が漂う中、突然担任AI「セリヌンティウスβ型」の気まぐれな一言が響いた。


「はい、それじゃあ今日はなんとなく〜自己紹介でもしてみよっか〜」


ざわつく生徒たち。


誰も動こうとしない教室の中、一人が静かに立ち上がる。


「……俺が最初でいいな」


マントをひるがえし、黒髪の男が前へ出る。


「我が名は……邪王真眼。またの名を“とんぼ”などと呼ぶ輩がいるが、それは誤りだ。

この瞳は深淵より目覚めし漆黒の力……お前たちの未熟な魂が、我が力に焼かれぬことを祈る」


……どよん。


(やばい、いきなり痛いやつ来た……)


教室に凍るような空気が漂った直後——


「邪王様ああああああ!!」


バン!と机を叩いて立ち上がる男子。金髪、マント、安全ピン、腕章「漆黒同盟」。


「名はちーずッ!好きな食べ物は自動販売機!趣味はガードレールの観察!

この命、すべて邪王様のために捧げますぅぅ!!」


「誰だお前ぇぇぇ!!」


「またすべってる〜、ちーずの冷却パワーすごいね〜」


と、後ろでヘラヘラ笑ってるのはいちゅき。

肩に乗ってるぬいぐるみは、どう見ても肩甲骨。


「わたし、いちゅき。肩甲骨に恋してるんだ〜。

あ、ちなみに元カレは“肩甲骨の価値がわからない男”だったから即ブロックした。常識でしょ?」


「話がぶっ飛びすぎてて理解が追いつかねぇ……!!」


そのとき、教室のドアが静かに開いた。


「……あ、自己紹介してるっぽい?ごめん、ちょっと出遅れた」


現れたのは、落ち着いたトーンのギャル。淡いピンクメッシュのロング、制服の袖まくり、アクセサリーは派手だけど雰囲気は妙に大人っぽい。


「にぎり飯って言います。ま、あだ名みたいなもんで。

好きなものはコーラと人の背中。嫌いなのは話の途中で寝るやつ、かな」


「……お前、わりと普通……?」


「うーん、まぁ。でも普通じゃないって言われることの方が多いかな。

あ、ちなみに“とんたん”って呼ぶから、よろしく」


「誰がとんたんだ!!」


「ん?やだ、ダメだった?でももう定着しそうだからあきらめて?」


にぎり飯は、悪びれる様子もなく隣の空席に座り、バッグからゆっくりリップを取り出す。


「てか、自己紹介って言われると、けっこう語りたくなっちゃうタイプなんだよね。

元カレがマジで地雷だった話、あとで聞く?」


「聞かねぇ!!誰も得しねぇ!!!」


「ふーん、残念」


一方、ちーずはというと……


「……なんか……存在感で負けてない……?」


にぎり飯をチラチラ見ながら、小さく唇を噛んでいた。


その後ろで、まさとがぽつり。


「……にぎやかだねぇ。こういう教室って、観察してるとほんと面白い。

人間の“核”が無意識に出てくるから。わかる?」


「だからその静かに刺してくる口調やめろって言ってんだろ!!」


しばしの沈黙。


「……なんかすごかったね」

「このクラス、平均IQめっちゃ揺れてない?」


と、あちこちで小声が飛び交い始めた頃、最後列で静かに立ち上がった人物がいた。


ストレートな黒髪。落ち着いた目元。けれど、その瞳はどこか虚無っぽい。

周囲の喧騒には興味がない、そんな風を装った女——ぐみ。


「ねぇ、まさとってやつ」


教室に冷たい声が響いた。


「……あんた、なんでそんな偉そうに観察者ぶってんの?」


教室が一瞬、静まり返る。


まさとは缶を口に運んだまま、視線だけでぐみを捉えた。


「偉そうっていうか……事実、そうだからね。

見えてるものを語ってるだけ。わかる?」


「……そういうとこが無理なのよ。

“自分は冷静でいられる側”みたいな顔してさ。

アンタの言葉ってさ、人のこと何も救ってないじゃん?」


「……へぇ」


まさとは、缶をカン、と机に置いた。


「君、炎上常習者のくせに他人の優しさには敏感なんだね。わかる?」


「は? ……はぁ!? ちょっと来なよ」


空気がビリ、と震える。


《ぐみが入室しました。》

《まさとが入室しました。》


《——バトルが開始されました——》


「……また始まったよ」

「これ絶対どっちか泣くやつじゃん……」


チャットルームが揺れ、周囲の背景がじわじわと変化していく。


《ぐみがフィールドを展開しました——「私を構ってモード」》

ピンクの光に包まれた空間に、ふわふわしたハートやぬいぐるみが漂い始める。

だが、それは見た目とは裏腹に、重たい“かまって圧”を放っていた。


「……あぁ、しんど。

無視されたら傷つくけど、構われすぎると冷める。

でもほんとは、どっちでもいいように見せて、誰かに刺さりたいの。

アンタみたいな奴が一番イラつくのよ、わかる?」


まさとは、笑った。


「君……面倒くさくて、いいね」


こうして、言葉と言葉の本気のバトルが幕を開けた——


【つづく】




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― 新着の感想 ―
自分自身を客観視出来ている方だと自負しておりましたが、どうやら勘違いだった様です。 (俺ってはたから見るとこんな痛いやつだったんだね。。。) 悔い改めます。
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