四百六十四話 再会二連発のち星魔法連発!!
※戦闘描写あり!
アネモスさん、ウルさん、テトさんのお三方と一緒に、お三方の討伐クエストの標的である、ラージグランドラビットを狩る中。
近くにあるのだから採取したほうが良い、と言うお言葉に甘えて、ついでに薬草サナヘルバの採取までさせていただき、本当にありがたい限りだ。
あたたかな感謝を抱きながら、さらに戦闘をつづけることしばし。
「よし!
これでクエスト達成だ!」
「お~~!
終わった終わった~~っ!!」
「うん、お疲れさま。
ロストも、手伝ってくれてありがとう」
「いえいえ、私も薬草を採取させていただきましたから」
特別問題なく、討伐クエストを完了したお三方と、互いにねぎらいの言葉をかけ合う。
宵の口から夜へと、暗さが移り変わる夜空を少し眺め、戦闘の緊張をほぐすように軽く雑談をしつつ街中へ戻ると、冒険者ギルドの前で立ち止まり、口を開いた。
「それでは、私はここで。
ぜひ今度もまた、ご一緒させてください」
「もちろんだよ!
今日はありがとう、ロストシード」
「またパーティーに誘うから、一緒に行こうな!!」
「うん、またねロスト」
「はい、またお会いしましょう」
朗らかに笑むお三方が、冒険者ギルドの中へと入るのを見届けて、再び大通りを歩き出す。
「偶然の再会でしたが、楽しい時間になりましたね」
『しーどりあがたのしいと、ぼくたちもたのしい!!!!』
私が零したつぶやきに、小さな四色の精霊さんたちが言葉どおり、ピカピカと楽しげにそれぞれの光をまたたかせる。
夜の街中に映える可愛らしい光には、こちらも自然と微笑みが深まるというもの。
上がった口角をそのままに、夜の闇の中に浮かぶ白亜の神殿が見えてきたところで、きょろきょろと物珍しそうにジオの街を歩く、小柄な人物の姿が見えた。
緑の瞳をじっとこらして、よくよく見てみるまでもなく――あの少年は、美少年ヴァンパイア星魔法使いのウィル君だ!
驚きと同時に、案外フレンドさんたちもそろそろこのジオの街に到着している頃合いなのだと、思わずしみじみと実感する。
ウィル君の場合は、彼が参加しているキャラバンが攻略系なので、最前線のジオの街に姿があること自体はそれほど不思議ではないけれど、それでも感慨深い。
小さな感動にも似た感覚を楽しんだのち、しきりに周囲を見回すウィル君へと、足取り軽やかに駆け寄った。
「好い夜ですね、ウィル君」
「おぉっ!? その声は!!」
私がかけた声に、バッといきおいよく振り向いたウィル君は、瞳孔が割れた意思の強そうな真紅の瞳に私を映して、満面の笑みを咲かせる。
「ロストシード殿ではないか!!
ここで会えるとは、実に喜ばしいことだ!!」
「ふふっ!
私も、ウィル君とジオの街でお会いできて、とても嬉しいです」
フレンドさんとの連続再会でもあるため、言葉どおりの嬉しさから、ついこちらもにこにこの笑顔になってしまう。
ウィル君とお互いに微笑みを交わし合っていると、突然両手を伸ばしたウィル君に、ガシッと左手をつかまれた!
「うむ!
我はこの好機を、逃すつもりはないぞ!
さあさあ、共に天空の戦場で星を落とそうではないか!!」
そう語りながら、まるでお芝居の一場面のように、上げた片手の人差し指で、ビシッと夜空を指し示すウィル君。
なるほど――つまるところ、浮遊大地での共闘のご招待、と言うことらしい。
まっすぐに私を映す真紅の瞳が、キラキラと煌めいているように見えるのは、きっと気のせいではない。
そして、そう言うことならば……。
「承知いたしました。
――共に星を落としましょう!」
『おとしましょう~~!!!!』
殲滅戦を望む私に、星魔法による殲滅を得意とするウィル君からのお誘いを断る理由など、当然ながらあるはずもなく。
そもそもちょうどこの後は、浮遊大地へ行って戦おうと思っていたのだから、今回のお誘いはまさに渡りに船だ。
私と可愛らしい精霊さんたちが返した意欲的な言葉に、ウィル君が大満足の表情で大きくうなずく。
「うむっ!!
そうこなくてはな!!」
そうと決まれば、行動あるのみ!
まずは事前に、私がいつも宿部屋から浮遊大地へ行くことを、ウィル君に伝えよう。
夜闇の中でも笑顔がまぶしいウィル君に、こちらも微笑みながら説明を紡ぐ。
「ウィル君。
私は普段、落ち着いて準備をすることのできる宿部屋から、浮遊大地へ向かっておりまして。
今回も神殿の二階にある宿部屋をお借りしようと思っているのですが、ウィル君もいかがでしょう?」
簡単な説明だったが、ウィル君はすぐに近くの神殿へと真紅の瞳を向けた。
「それは名案だ、ロストシード殿!
では行こう!!」
「はい、まいりましょう!」
迷いなく、神殿へと大股で歩み寄るウィル君の背中を追って、白亜の空間へ踏み入る。
広間を抜けて、階段をのぼり、ウィル君と隣同士の宿部屋に入り――さっそく、浮遊大地へ!
吹き抜けた風に、長い髪やマントがなびくのを感じながら、まずは。
「〈プルス〉!
〈フィ・ロンド〉!」
浄化魔法による周囲一帯の安全確保と、精霊さんたちと共闘の状態を整えて、素早く周りを確認する。
レギオン【タクティクス】のみなさんは、右寄りの少し前方で軽快な戦闘を繰り広げており、そのさらに右隣には他の攻略系レギオンの集団も見えた。
反対の左側には、やはり怪しげな雰囲気を放つノクターンさんを先頭に、魔人族限定攻略系キャラバン【夜色バラッド】のみなさんが戦っていらっしゃる。
おそらくはウィル君も、私と再会するまでは、【夜色バラッド】のお仲間のもとで戦う予定だったのだろう。
その上で――あえて、私と共闘することを選んでくださったのならば。
「〈スターレイン〉!」
楽しげに、堂々と響いた星魔法を唱える声に、後ろを振り向く。
左側から私へと近づいてきていた魔物の集団を、鮮やかに消し去った流星の煌めきの中から、ウィル君がこちらへ駆け寄って来た。
「待たせたな、ロストシード殿!」
「いえいえ。
私もたった今、準備を終えたところでしたから」
勝気な笑みを浮かべたウィル君に、不敵な笑みを返して……どちらからともなく、正面をみすえる。
前方で戦う戦友がたの間をすり抜け、あるいは左右や後方から、穢れに染まった魔物たちが近づいてくる中、チラリとウィル君と視線を交わし、お互いに右手をかかげた。
私の右手には美しい手飾り、ウィル君の右手の中指には星のカケラの指輪。
お互いの装飾品が、夜天を背景に煌めく。
すぅっと息を吸い込むかすかな音が、重なった。
「〈スターレイン〉!!」
唱えた魔法名もまた重なり、夜空から流星が降り落ちる。
特効攻撃である星魔法は、その絶大な効力を思う存分に発揮して、前方にいた魔物の群れを一瞬で消し去った。
そうして、しばしの間。
その鮮やかにして強大な威力を宿す星々が、浮遊大地の戦場へ降り注ぎ続けたのは……語るまでもない。




