四百二十二話 幕間四十四 ボクたちも楽しもう
※主人公とは別のプレイヤー、テト視点です。
※飯テロ注意報、発令回です!
ボクのお気に入りになった、没入ゲーム【シードリアテイル】。
このゲームではじめての大規模戦闘イベントが開始されてから、はやくも今日で四日目。
連日、ひとりで戦ったり、アネモスとウルの二人と一緒に戦ったり……。
振り返ると、けっこう戦闘つづきだったかな。
――と言うことで、休むことも大切だと思って戻ってきた、パルの街。
その中央にある噴水広場の屋台で、いわゆる焼きそばを買って、食べることにした。
『へい! 焼き麺一杯、おまち!』
「ありがとう。いただきます」
木の板に乗った焼き麺と、木製のフォークを受け取って、焼き立ての食欲をそそる香りを楽しみながら、広場の端まで移動して……いただきます。
「うん、やっぱり美味しい」
鶏肉とキャベツ、それにしっかりと塩味をまとった麺の全部が美味しい。
やわらかな鶏肉も好きだけど、ボクとしてはこの麺が一番好みかな?
ちょっとフォークのあつかいが下手だから、どうしてもゆっくり食べることになるけど、この麺は冷めてもけっこう美味しいままなんだよね。
これを食べるためだけに、トリアの街からパルの街に戻ってきたけど――戻ってきた甲斐はあったよ。
噴水を眺めながら、美味しい食事を楽しむのは、充分癒しになるね。
なんて思いながら食べ進めていると、アネモスとウルからメッセージが届いた。
[ロストシードが、レギオン【タクティクス】に入ったって聞いたんだ!]
[マジで凄すぎねぇ!?]
――うん。
何も違和感がないどころか、むしろ納得しかないね。
ロストなら、あの有名レギオンに所属しても、すこしも不思議だとは思わない。
……いや、それこそが不思議なんだけど。
[さすがロスト、って感じだね]
[それだ!!]
[だよな!?!?]
アネモスとウルも、ボクと同じことを思っているみたいだね。
[レギオン【タクティクス】って、攻略系と先駆者の人たちが集まっている、有名なレギオンだよね?
ロストは精霊の先駆者だから、前々から入っていても不思議ではないかな、とは思っていたよ]
[それは俺たちも思っていた]
[本人見てからは、むしろいつ入るんだろ~~?
って思ってたくらいだぜ、オレは!]
[わかるわかる。
ボクも、遅かったかな? って、今ちょっと思ったくらいだから]
[だよな~~!!!]
[たしかに]
最近、ロストの話題でアネモスとウルの二人と意見が合うのが、当たり前になりつつある気がするんだよね。
ロストの凄さを、一緒に体感した仲間だから、かな?
そう思うと、また二人と一緒にイベントを楽しみたくなってきた。
美味しい焼き麺を食べ終えて、メッセージを送る。
[ボクたちも、今回のイベントをたくさん楽しんで、またロストと語り合う話題を集めることにしようか]
[さんせーい!]
[ああ、そうしよう!]
この後、時間を合わせてアネモスとウルと一緒に、空の上で戦う約束をして。
「ロストも、楽しんでいるかな?」
なんて、ボクにとって一番いろいろと凄いフレンドのことを考えながら、休憩を切り上げる。
――ボクたちも、キミに負けないくらい【シードリアテイル】を楽しむよ、ロスト。
※次回は、
・十八日目のつづきのお話
を投稿します。
引き続き、お楽しみください!




