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【PV・文字数 100万越え!】マイペースエルフのシードリアテイル遊楽記  作者: 明星ユウ
三章 はじめての公式イベントを楽しもう
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四百二十一話 右側のジオの森

※戦闘描写あり!


 



 夜明けの時間を表す、神秘的な薄青の光に照らされながら、再び街を抜ける。


 広々とした畑を通りすぎてしまえば――そこはもう、右側に広がるジオの森の入り口だ。


「それでは、こちらの魔物とも戦ってみましょう」

『たたかう~~っ!!!!!』


 肩と頭の上で、元気よくぽよっと跳ねた、小さな五色の精霊さんたちに微笑んだのち。


 さっそく、前方に見える空中にういた球体の魔物へと、近づいていく。


 落ち葉を踏みながら足を進めていると、ふよふよ漂っていた綺麗な銀色の球体が、ふいにピタリと動きを止める。


 刹那――球状の風魔法が、勢いよくこちらへと飛んで来た!


「おや」


 焦らず慌てず、華麗に避ける。


 それから、こちらも反撃にと〈フィ・ロンド〉を唱えた。


『ぼくたちがかつよ~~!!!!!』


 五色の精霊さんたちが響かせた、可愛らしくも凛々しい、勝利を宣言する言葉に、ついにっこりと口角が上がる。


 輪になって現れたお仲間の精霊さんたちが、次々と精霊魔法を放つ姿は、本当に頼もしい。


 対する銀色の浮遊球体の魔物は、いくつかの精霊魔法を器用にふよっと避け、またこちらへと風魔法で攻撃をしてきた。


 お互いに避けつつ、攻撃し合う魔法戦を少しつづけた後。


 精霊魔法の合間に放った〈オリジナル:迅速なる雷光の一閃〉にて、球体の魔物は銀色のつむじ風となりかき消えた。


 浮遊大地での大規模戦闘と比べると、なんともあっけない一戦だったと感じてしまうのも……さすがに、無理はないだろう。


 とは言え、数種の魔物たちが入り乱れるあの戦場とこの森とでは、状況が違うことは明らかだ。


 群れると厄介な各種魔物たちも、単体ならば十分に対応できると分かったのだから、ここは良い学びを得たと考えよう。


 一つうなずき、若干複雑になった感情を納得に落とし込む。


 その場に落ちていた、銀色の魔石を回収しながら気を取り直し、共闘してくださった精霊さんたちへと微笑んだ。


「さすがはみなさん!

 素晴らしい戦いでしたね」

『えっへん!!!!!』


 くるりと頭上で円状に並んだまま、そう応える精霊のみなさんはたいへんお可愛らしい!!


 うっかりゆるみかけた微笑みを整えつつ、眩く朝の時間へと移り変わる中で、小さな闇の精霊さんを見送り。


 ――そのまま続けて、薄青色をまとう球体の魔物との戦闘を開始する。


 こちらは、氷の塊を飛ばして来たので、氷魔法を使う魔物だったようだ。


 おそらくこの浮遊球体の魔物たちは、使う魔法の種類に合わせた色をしているのだろう。


 今回も難なく倒して、先へと進む。


 しばらく行くと、陽光に照らされた白亜の防壁が、やはり途中で崩れてしまっている光景が遠くに見えた。


 さらに、その奥へと向けた緑の瞳に、木造の家々らしき小さめの建物たちが映る。


「村……でしょうか?」

『うん、むら~!!!!』


 私の疑問を乗せた呟きに、小さな四色の精霊さんたちが答えを返してくださった。


 なるほど、とうなずきを返してから、紡ぐ。


「もうそろそろ、空へと帰る時間が近づいて来ていますから……あちらの村には、また今度行きましょう」

『はぁ~~い!!!!』


 ――お楽しみは、また後で。


 小さな精霊さんたちと微笑み合い、再びくるりと振り向いて、見つけた素材を採取しつつ来た道を帰る。


 ジオの街の中へと入り、神殿まで戻ると、神々へお祈りを捧げてから、宿部屋を借りた。


 白亜の宿部屋に、窓から明るい朝の光が射し込む眩さに、ついつい緑の瞳を細めながら一息ついた――その時。


 ポンッと可愛らしい、効果音が鳴った。


「おや? どなたからのメッセージでしょう?」

『なになに~????』


 フレンドさんの誰かから、メッセージが届いたことを示す音に、素早く石盤を開く。


 確認をしてみると、アドルフさんとアリーセさんのお二人が、共同で送ってくださったもののようだった。


 [やぁ、ロストシード。

 さっきは一緒に戦えて、楽しかったよ]

 [ありがと、ロストシードさん!

 ところで、ロストシードさんって、ダンジョンに興味あったりしない?]


 そう送られていた内容に、微笑みを深めながら返事を送る。


 [こちらこそ、ご一緒ありがとうございました。

 ダンジョンには、とても興味がありますよ]


 私の即答に、お二人からもすぐさま次のメッセージが届いた。


 [良かった。

 実は僕たち【タクティクス】の皆で、最前線のダンジョン攻略を進めているんだ]

 [お昼ご飯のあと、みんなで集まって、ダンジョンボスのところまで潜ろうって、さっき決まったのよ~。

 ロストシードさんも、いっしょに行く?]


 攻略系レギオン【タクティクス】のみなさんが、ちょうど今攻略を進めている、ダンジョン。

 ……それはとても、思い当たる節がある。


 ほんの少し前に探索したばかりの、左側のジオの森、その奥地。

 あの場所にあった洞窟が、おそらく――。


 閃きをそのまま文字にして、お二人へと送ってみる。


 [もしや、左側のジオの森を進んだ奥にある、ダンジョンのことでしょうか?]


 [それそれ!

 さっすがロストシードさん、やっぱりもう知ってたんだ!]


 ――やはり、正解だったようだ。


 [僕たちは、もうかなり奥まで攻略を進めているけど、ロストシードも攻略していたのかい?]


 [いえ、私はつい先ほど、入り口を確認しただけなのです。

 ちょうど気になっていましたから、ぜひ攻略にお供させていただけますか?]


 [うん、一緒に行こう]

 [やった~~!

 戦力かくほ~~!!]


 [頼りにしているよ、ロストシード]


 [心得ました。

 お役にたてるよう、励みますね]


 [それじゃ、お昼ご飯を食べたあと、クラン部屋に集合で!]


 [はい、承知いたしました]


 とんとん拍子で進んだメッセージでのやり取りを終え、深く微笑む。


「ダンジョン自体も気になっていましたが……これでまた、攻略系のみなさんならではの戦いかたを、拝見できますね」

『しーどりあ、わくわく!!!!

 ぼくたちも、わくわく!!!!』

「えぇ! それでは、この後のわくわくに備えて――私は少し、空に帰りますね」

『はぁ~い!!!!』


 小さな四色のみなさんへ今後の方針を伝え、各種魔法を解除して、ベッドへと横になる。


 いろいろな楽しみができたことを、嬉しく思いながら――昼食のためにと、ログアウトを呟いた。




※次回は、主人公とは別のプレイヤー視点の、

・幕間のお話

を投稿します。


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― 新着の感想 ―
強気で得意げな精霊さんたちも可愛いですねぇ〜うふふ(*ฅ´ω`ฅ*)そして例のダンジョン!タクティクスの皆さんとの攻略、次回の幕間も楽しみです♪
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