表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【PV・文字数 100万越え!】マイペースエルフのシードリアテイル遊楽記  作者: 明星ユウ
三章 はじめての公式イベントを楽しもう
405/440

四百四話 参加報告と相談と実戦

※戦闘描写あり!


 



 眩い陽光が射し込む、昼の時間へと移り変わり。

 浮遊大地での一時間の戦闘を終えて、トリアの街の噴水広場へと戻ってきた。



「あっははは!! やっぱりロストシードはすごいなあ!!」

「……そこはわかってたのよ。

 でも、無自覚戦闘狂なのは、予想外よ……」


 地上へと帰ってきたとたんに、楽しげな笑い声を上げたアドルフさんと、遠くかなたへと視線を飛ばしたアリーセさん。


 ひとまず〈フィ・ロンド〉を解除してから、お二人へと戦闘後のご挨拶を紡ぐ。


「えぇっと……お疲れさまでした」

「あぁ! お疲れさま!」

「ん、お疲れさま」


 すぐに返された同じ言葉に、安堵の微笑みをうかべつつ、これからの予定を尋ねる。


 まずはと、アリーセさんが灰色の石盤を開いた。


「ロストシードさんの自己紹介簡易動画を撮って、【タクティクス】の語り板に送りたいんだけど、いい?」

「えぇ、承知いたしました」

「語り板に送れば、仲間のみんなと直接顔を合わせることができなくても、みんなに君のことを知ってもらえるんだ。

 ね、アリー?」

「そーゆーコト!」

「なるほど」


 はじめての試みだが、アドルフさんの分かりやすい説明のおかげで、自己紹介簡易動画の便利さは理解できる。


 であれば――試してみるのみ、だ!


 さっそく、改めて丁寧に自己紹介をしている姿を、簡易型画面通信を動画にする形でアリーセさんに撮っていただき、それをクラン専用の語り板へと送る。


 これで、私が参加したことが、他の【タクティクス】のメンバーであるかたがたにも伝わるだろう。


「はいはーい、完了!」

「さすがアリー。手際が良いね!」

「まぁね。

 って言うか、さすがに慣れたわよ」

「ありがとうございます、アリーセさん」

「どういたしまして!

 それで……」


 お二人の仲良しなやり取りを微笑ましく思いながら、作業をしてくださったアリーセさんにお礼を伝えると、蒼の瞳がこちらへと注がれた。


「この後、あたしもアディもけっこうヒマなんだけど。

 ロストシードさんは何か予定ある?

 あたしたちが付き合えるものなら、付き合うけど」


 アリーセさんの言葉と、彼女の隣で甘やかに笑ってうなずくアドルフさんを見る限り、どうやらお二人はこの後の時間まで、あけてくれていたらしい。


 それならば、と片手を口元にそえて、少し思考を巡らせてから、お二人に紡ぐ。


「私も、特にこの後の予定はありませんが……実は、攻略系であるお二人に、相談したいと思っていたことがありまして」

「おや? なんだろう?」

「え、かなり気になるんだけど。

 なになに?」

「その、実は――」


 さいわいにも、興味津々な様子で聴く姿勢を整えてくださったお二人に、以前から攻略系のかたならばどう対応するのだろうかと、気になっていたことを相談する。


 すなわち――あの浮遊大地の、さらなる奥地で戦うためには、レベル上げ以外で何か方法はないだろうか、と。


 奥地の魔物たちと、拮抗できるだけの手段は手にしているとは思う。


 しかし今は正直に言うと、無理やり魔法と言う名の鈍器を振り回して、その勢いと威力で魔物たちと拮抗しているだけの状態なので、その先を目指すにはどうすればいいのだろうか?


 そう、私の現状もふくめて相談内容を語ると、眼前のお二人の青と蒼の瞳が見開かれた。


「鈍器……」

「あ、普通にまだ上を目指してるのね」


 表現に驚いたのだろうアドルフさんの呟きと、驚かれているのか呆れられているのか、半々に見えるアリーセさんの言葉に、思わず眉が下がる。


 やはり、いささか無謀なことに挑戦をしようとしているのだろうか……?


 いやしかし、一応私のつたない戦法でも、奥地に進めてはいるのだ。

 そこからさらに先へと進む準備を、攻略系のみなさんはすでにはじめていると思ったのだが……。


「新しい街には、もう行ったかい?」

「いえ。足をのばした場所は、ラファール高山まででして……」


 ふいに、そう穏やかな声音でアドルフさんが私へ問い、それにゆるく首を横に振って、正直に現状の探索状況を答える。


 すると、とたんに名案を思い付いたかのように、アリーセさんが両手を叩いた。


「なら、せっかくだから一緒に行ってみないかい?

 今の――最前線の街へ!」


 間違いなく名案であった提案に、私の緑の瞳が煌いたのは、言うまでもない!




 と言うことで。


 今の最前線の街――ジオの街を目指し、アドルフさんとアリーセさんの案内のもと、ラファール高山の麓から、以前気になっていた横につづく道へと踏み入る。


 整えられた砂利道を少し進む間、ラファール高山の麓までの道中でお二人に教えていただいた、難敵へと挑むための心得を思い返す。


 いわく、強敵でも実戦を重ねることで、倒すための一手を思いつく、とはアドルフさんの言。


 ゆえに今回、浮遊大地では穢れに染まり、その姿の詳細を見ることが出来なかったあの魔物たちと、ジオの街へ行く道すがら、実際に戦ってみることになった。


 まずは、この先の浅い森の中にいる――ハイアーアースウルフ。


「あたしたちは手を出さないから、好きに戦ってね、ロストシードさん」

「はい、ありがとうございます、アリーセさん」


 浅い森の入り口と、その先の出口まで透けて見える位置まで、砂利道を進み。

 アリーセさんの気遣いに感謝しつつ、今度は私が先頭に立って森へと入り込む。


 すでに、スキル《存在感知》は、魔物たちの居場所を教えてくれていた。


 刹那、茂みを飛び越えて姿を現したのは、魔物図鑑に書かれていた通り、濃い茶色の毛並みをもつ、狼姿の三匹の魔物たち。


 エルフの里の森にいた、アースウルフの上位種、ハイアーアースウルフに、間違いない!


 そう認識した、次の瞬間。


 地面から突如生えてきた土の杭の攻撃を、三人そろって軽やかに避け、お返しにと容赦なく〈オリジナル:麻痺放つ迅速の並行雷矢〉を瞬時に二段階目へと切り替えて放つ。


 紫色の雷光放つ十八本の矢は、案の定、オーバーキルにて魔物たちを消し去った。


「ねぇ……ロストシードさん。

 本当にあたしたちのアドバイス、いる?」

「はい、とても」

「そう……」


 かなり生暖かい眼差しを私へと注ぎながら、問いかけてきたアリーセさんに、にっこりと満面の笑みで心から思う返答をすると、なぜか蒼の視線がかなたへと飛んでいってしまう。


 小首をかしげる私の横で、アドルフさんが優しい微笑みをアリーセさんに向けた。


「まぁまぁ、アリー。

 そもそもロストシードは、大規模戦闘での戦いかたに悩んでいただけで、きっと普段の冒険では困ってなかったんだと思うよ?」

「……そう言えばそうだったわ。

 と言うかそれならやっぱり、特効攻撃連発でいい気がしてきた……」

「あははっ! たしかに!」


 軽く額に片手を押し当てたアリーセさんの呟きと、アドルフさんの楽しげな笑い声を聴きながら、再度教えていただいた難敵へと挑むための心得を思い出す。


 ――それこそ、特効攻撃を持っているなら、それを全力で活用してもいいと思う、という助言が、アリーセさんからの言葉だった。




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
ロストシードさんの自己紹介動画…すごく観てみたいですっ!(*´꒳`*)タクティクスの皆さんの反応も気になりますねぇ。 そして早速アドルフさん、アリーセさんとの冒険…アトリエやサロンの皆さんとはまた違っ…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ