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【PV・文字数 100万越え!】マイペースエルフのシードリアテイル遊楽記  作者: 明星ユウ
三章 はじめての公式イベントを楽しもう
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三百八十九話 魔法の導きをたどる者

 



 美味しい幸せと、称賛があふれたティータイムは、あっという間に夜の時間を満たし、やがて深夜へと時間が移り変わった。


「ステラ。そろそろ時間だろう」

「あっ! うん! ログアウトの、おじかん!」


 静かに紡がれたシルラスさんの言葉に、ステラさんが椅子からぴょんと降り立つ。

 ――どうやら、ステラさんとは、またねを交わすお時間のようだ。

 同じように椅子から立ち上がるみなさんと共に、ステラさんのそばへと歩みより、あいさつを交し合う。


「あのね、あしたはあそべないから、あさって、またあそんでね!」


 幼げながらも、そうしっかりと伝えてくださるステラさんに、みなさんとそろって笑顔でうなずきを返す。


「分かりましたわ!! また明後日、ですわね!!」

「明後日が楽しみになってきたね」

「お~! また明後日にな、ステラちゃん!」

「またね、ステラちゃん」

「また遊ぼう、ステラ」

「また遊びましょうね、ステラさん」

「うんっ! またね!」


 にっこりと、可愛らしい笑顔を咲かせて、ステラさんが金光に包まれてログアウトする様子を見届けたのち。


 今回のティータイムはこれにておひらき、とのことで、私もサロンのみなさんと分かれて外へ出て、大通りの人波をするりとよけながら、そのまま神殿へと向かう。


 胸の内では、サロン【ユグドラシルのお茶会】のみなさんとの共闘を終えて、ますます戦意が湧き出ている。


 ついうっかり、このまま本日五回目の参戦に、と浮遊大地へ向かおうとする気持ちを、しかし今はまだ抑えておく。

 戦いにおもむくその前に――新しい戦法を考えよう!


「精霊のみなさん。お次は、神殿で新しい戦いかたを考える時間を、楽しみましょう」

『はぁ~~いっ!!!!』


 肩と頭の上でぽよっと跳ねて応えてくださる、精霊さんたちに微笑み、壮麗な白亜の神殿へと踏み入る。


 深夜のこの時間には、お勤めを終えている神官さんの姿はないが、かわりにぽつぽつとシードリアのかたがたの姿があった。


 それとなく観察しながらも、こちらはさっそくと精霊神様のお祈り部屋へと入る。

 長椅子へと腰かけ、まずはと《祈り》を発動して、感謝のお祈りを捧げた後。


 ――思考に没頭する、楽しいお時間の開始だ!


「さて……まずは今後の目標の再確認、ですね」

『おそらのだいちの、おくにいるまものたちをたおす~~!!!!』

「さすがはみなさん。おっしゃる通りです!

 私の――いえ、私たちの目標は、あの浮遊大地のさらなる奥地にいる、魔物たちを倒すこと。

 そして今回は、特効攻撃以外の手段で、あの魔物たちを倒す手段を考えていきます」

『いっぱいかんがえる~~!!!!』


 くるくると、眼前で舞う小さな四色の精霊さんたちの、なんと頼もしいことだろう!

 ついにこにこの笑顔になりながらも、思考を巡らせて紡ぐ。


「手段……戦いかたとしましては、やはり新しいオリジナル魔法を習得することが、必須だと思います。

 最初は、レベルを上げて全体的な強さを引き上げることで、戦うことが出来るのではないかと思っていましたが……五十から先は、レベルを一つ上げるにも、少々お時間がかかりすぎてしまうようですので」

『うんうん!!!!』


 そう、正直なところ、レベル五十と言う区切りの真実を知る前は、本当にレベルさえ上げることが出来れば、あの魔物たちと戦う土台が整うだろうと思っていた。

 しかし、実際にはこの策を活用することは難しいと、すでに判明している。


 なにせレベル五十から先のレベルへと上げるためには、今までとは比べものにならない量、あるいはより強大な魔物を倒す必要があるのだ。

 これでは、レベルを上げている間に、公式イベントが終わってしまう。


 ……と言うことで、レベルのことはいったん横に置いておく。


「新しいオリジナル魔法を習得する、と言うことについてですが……こちらも今回は、今まで以上によく考えてみましょう」

『もっとかんがえる????』


 不思議そうにコテッと半回転して、空中で器用に首をかしげてみせる精霊さんたちへ、真剣な表情でうなずきを返す。


「はい。あの奥地にいる魔物たちの厄介なところは、複数の種類の魔物たちが、いっせい攻撃をしかけてくるところですからね。

 おそらく……今までのオリジナル魔法とは、異なる工夫が必要かと。

 ――ですので、こちらも今一度改めて、魔法に関する情報の再確認をしてから、習得することにいたしましょう」

『うんっ!!!! わかった~~!!!!』


 精霊さんたちの、元気いっぱいな返事に微笑みを返しながら、さっそくスキル《瞬間記憶》で記憶した情報たちを、少しずつ引き出してくる。


 魔法とは、魔力操作と想像により引き起こされる創造的な力であること。

 魔力を放出し、魔法を想像することで、魔法を習得、発動できること。

 魔法の属性と、魔物の属性について。

 そして関連する、魔力操作や魔法操作のスキルたち……。


 情報を頭の中でまとめながら、思考を研ぎ澄ましてゆく。


 どうすれば、浮遊大地のさらなる奥地にいる、あの穢れに染まった魔物たちの群れと戦うことができるのか?

 その問いへの答えとなる魔法とは、いったいどのような魔法なのだろう?


 ……図らずも、実にシードリアの魔導師と呼ばれる者らしい考察をしているような、気もするが……。

 今は、ふいに思い出して湧き出た気恥ずかしさに、かまっている場合ではない。


 なにせ今は、これまでに得た魔法の知識をたどり、新しい答えを出すための、思索の時間。


 これに没頭してこそ――手にしたいと願う答えを、見つけることが出来るのだろうから。




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― 新着の感想 ―
みんなの癒しステラちゃんっ♡今話でもとっても可愛かったです〜(´∀`*)守りたいこの笑顔✨✨ そしてロストシードさんはこの難関をどう乗り越えるのか…?新しいオリジナル魔法もわくわくします♪
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