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【PV・文字数 100万越え!】マイペースエルフのシードリアテイル遊楽記  作者: 明星ユウ
三章 はじめての公式イベントを楽しもう
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三百八十六話 華麗なる戦闘を楽しみましょう☆

※戦闘描写あり!


 



 素早く移動を開始した、サロン【ユグドラシルのお茶会】一同。

 懐かしい魔物たちと交戦中の、初心者や戦闘が不得意なかたがたの間をぬい、そろって前方へと移動して行く。


 ふと、あまり暗さのない周囲に疑問を感じて空を見上げると、丘の周囲の天空には、群れて舞う魔物たちが少なく、宵の口のまだ明るい夜空がしっかりと見えた。


 この辺りならば夜空が見えるのかと、我ながら少々のんきな感想をいだきながらも、その夜空の下を駆ける。


 やがて、ダンジェの森にいたフォレストハイエナの群れがいる場所まで進むと、そこで先導してくれていたロゼさんとルン君の足が止まった。


 ――どうやらこの地が、みなさんの本来の戦場であり、私たちの今回の戦場であるらしい。


 チラリと、切れ長の紫紺色の瞳と、碧色の瞳が、後方の私たちをうかがう。

 それに迷わず、他のみなさんとそろえて、うなずきを返した。


 準備は抜かりない――魔法はいつでも発動可能な状態で、戦意も充分この胸に満ちている。

 そしてこれは、きっと他のみなさんも同じに違いない!


 とは言え、この戦場では私の魔法やシルラスさんの矢の攻撃は、対する魔物たちにとって強すぎる攻撃……オーバーキルになることは、簡単に想像できる。


 つまるところ、多少の手加減は必要だろう。

 残念だが、精霊のみなさんとの共闘もしばし、おあずけだ。


 シルラスさんと二人、刹那に視線を交し合い、うなずき合う。

 おそらくは、シルラスさんも私と同じように、手加減をしつつ、他のみなさんの補助をしてくださるはず。


 そう考えながら、最後尾で油断なく周囲の魔物たちの動きを観察していると、素早く扇子をカバンにしまったフローラお嬢様が、眼前のフォレストハイエナたちへと声高く告げた。


「華やかに、強かに!! わたくしたちが、あなたたちのお相手をしてさしあげますわ!!!」

「ステラ! あの魔法を!」

「うんっ!」


 流れるようなロゼさんとステラさんのやり取りの後、手飾りが煌く小さな右手を天へとのばしたステラさんが、すぅっと息を吸い込み――。


「〈スターレイン〉っ!」


 特効攻撃である星魔法の名を、宣言した!!


 空で生まれた、美しくも脅威あふれる五つの星が流れ落ちて行くのを、合図にして。

 ――サロン【ユグドラシルのお茶会】全員での共闘、開始!


 地にいるフォレストハイエナたちに降り注いだ、ステラさんの星魔法〈スターレイン〉は、銀と蒼の輝きと共に、いくつかの群れをあっという間に消し去った。


 そうして散り散りになった魔物たちへと動いたのは、ロゼさんとルン君。

 踊るように優雅なロゼさんの動きと、元気いっぱい豪快なルン君の動きと共に振るわれる剣の銀線が、美しく魔物たちに刻まれていく!


 つづいて、お二人が応戦する魔物たちへと、フローラお嬢様のさらに威力を増したオリジナル魔法が連続して放たれた!

 以前にも見せてくださった、射出するトルネード状の風の魔法に加え、小さな波を起こし、魔物たちを水量で打つ水の魔法や、魔物たちの頭上から閃き落ちた、雷の魔法。


 一見どれもシンプルな魔法の形だが、それゆえに混ざり合えば確実に威力を増す。

 現に水と雷、二種類の魔法を同時にうけた魔物たちには、麻痺と感電の状態異常まで追加されていることだろう。

 やはりこのシンプルさが、フローラお嬢様のオリジナル魔法の強さなのだ。


 次いで、フローラお嬢様と交代するように杖を振るったのは、アルテさん。

 すぐそばでうかぶ小さな緑の精霊さんと織りなす、魔物を拘束する蔓を生み出す精霊魔法と、鞭のように蔓で攻撃するオリジナル魔法は、以前にも拝見したアルテさんたちらしい戦法の魔法だ。


 今回はさらに新しく、棘のような小さな緑の針を飛ばして毒状態にさせる、緑のオリジナル魔法が加わり、さらにご自身の得意な戦いかたを熟知なさったご様子。

 素晴らしい、と思わず口角が上がった。


 再び煌くステラさんの星魔法と、助力するシルラスさんの放つ矢を見送り、緑の瞳を煌かせて笑みを満面に広げる。


 切り裂き、追撃を放ち、動きを阻害し、そしてまた銀線と魔法が輝き、星魔法と矢が降り注ぐ。

 ――なんと鮮やかで、華麗なる戦法だろう!!


 これこそが、サロン【ユグドラシルのお茶会】のみなさんの戦いかた。

 そしてこの華麗さに、さらに華を加えることこそ……サロンの一員である私の、役目だろう!


 フッと不敵な笑みに切り替えて、私もオリジナル魔法や精霊魔法で、トドメの一撃を加えて行く。


 ついでにと思いついた、小範囲型の回復魔法である〈オリジナル:癒しを与えし光の小雨〉を、お試しも兼ねて少し遠い場所にいたフォレストハイエナたちへと、降らせた結果。


「兄君、その魔法は?」

「範囲型の回復魔法です。どうやらこの浮遊大地では、創世の女神様のお言葉の通り、しっかり攻撃魔法になるようでして」

「……そうだったのか」

「えぇ」


 この大規模戦闘イベントがはじまる少し前、創世の女神様から直々に伝えられたお言葉……と言う名の、説明。


 あの説明の通り、本当にその性質を攻撃魔法に変えて魔物たちを倒した、本来は回復魔法である光る雨に、驚くシルラスさんと一緒になって驚きながら、感心もする。


 ――さすがは、創世の女神様のお力だ、と。


 そうして、新しい学びと共に、無事に戦闘へと華を加えることに成功したことを喜びながら、戦いをつづけていく中。


 予想以上に、状況確認の際にみなさんが伝えてくださった言葉の通りだった、と言うことに気づいた。


 私の想像よりもずっと、実際は魔物たちとの戦いに慣れていた、みなさん。


 あっさりと魔物の群れを倒していくその姿は――本当に頼もしく、何よりも美しく見えた!!




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― 新着の感想 ―
流石はユグドラシルのお茶会の皆さん✨本当に華やかかつ個性豊かな戦闘で、盛り上がっていますね〜! そして創世の女神様のお言葉…すっかり失念していたので、ロストシードさんも流石だなぁと感心しました(´∀`…
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