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【PV・文字数 100万越え!】マイペースエルフのシードリアテイル遊楽記  作者: 明星ユウ
三章 はじめての公式イベントを楽しもう
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三百八十五話 約束の舞台の幕を上げて

※軽い戦闘描写あり!


 



 はやめに夕食をとり、準備をすませて、再度【シードリアテイル】へログイン!



『おかえりしーどりあ~~!!!! いいこでまってたよ~!!!!』

「ただいま戻りました、みなさん。ふふっ、えぇ! 好い子、でしたね」

『うんっ!!!!』


 胸元でぽよっと跳ね、お約束通り好い子で待ってくれていた、小さな四色の精霊さんたちとあいさつを交わして、順に指先で撫でていく。


 きゃっきゃと喜ぶ精霊さんたちに、ついほっこりと頬をゆるめながら、内心で本音を零す。

 ――精霊さんたちは、いつも好い子ですよ、と。


 ほんの短いたわむれの後、ベッドから身を起こして、窓を見やる。

 白亜の宿部屋の窓から射し込む陽光は濃い橙色で、夕方の時間も終わりに近いことが分かった。


 この後には、サロン【ユグドラシルのお茶会】のみなさんとのお約束がひかえている。

 うっかり集合時間に遅れてしまってはいけないので、さっそくいつもの準備をはじめよう。


 〈フィ〉と唱えて小さな多色の精霊さんたちをお呼びしてから、精霊魔法とオリジナル魔法を持続展開して隠し、素早く準備を終わらせたのち。


 小さな四色の精霊さんたちと共に、今回は失敬して短めに神々へのお祈りをおこなってから、神殿を後にする。


 眩い夕陽が照らすパルの街の、人波に埋れる大通りを移動して、サロンのクラン部屋へ。

 部屋の中に入り込むと、予想通りアルテさんの水色の瞳と目が合った。


「ごきげんよう、アルテさん。お早いですね」

「あっ、ごきげんよう、ロストシードさん!

 ロストシードさんも、はやいですね」

「えぇ。楽しみで、つい」

「わたしも、です!」


 定位置の席へと着きながら、そう控えめに笑うアルテさんと笑顔を交し合い、穏やかに語り合うことしばし。

 やがて、夕陽が落ち切り、夜のはじまり――宵の口の時間へと、移り変わった。


 小さな光の精霊さんを見送り、小さな闇の精霊さんを迎え入れると、ちょうど近くで次々と金光が輝く。

 ――どうやら他のみなさんが、お戻りになったようだ。


「ごきげんよう!!! お待たせしたかしら?」

「ごきげんよう、可愛いアルテに、麗しのロストシード」

「ごきげんよ~~!!」

「ごきげんよう。姐君がたに兄君、アルテとルンと、ステラも」

「ごきげんようっ! おねえさま、おにいさま、アルテおねえちゃん、ルンおにいちゃん!」

「ごきげんよう、みなさん。私とアルテさんは一足お先に、会話に花を咲かせておりました」

「ごきげんよう……!」


 優雅なあいさつの声がつらなり、一気に華やかになったクラン部屋で、さっそくと大規模戦闘に向けて意気込む中、ロゼさんが口を開く。


「少し調べてみたんだけど、今回のイベントの場合、どうやらパーティーを組んでも、もともと戦っていた場所に転送されるらしくてね。

 ロストシードとシルラスには、丘側に戻ってきてもらうことになるけど、大丈夫かい?」

「問題ない」

「はい、大丈夫ですよ。浮遊大地に到着後、なるべく早く丘のほうに戻りますね」


 申し訳なさそうな表情のロゼさんの言葉に、即答するシルラスさんにつづき、穏やかに紡ぐと、ロゼさんも他のみなさんもどこかほっとした表情をうかべた。


 私としては、一時的に丘側に行ったとしても、また奥のほうへ駆けて進めばいいだけなので、あまり気にしていない。

 おそらくは、シルラスさんも同じように考えていらっしゃることだろう。


 二人そろって、どうということもない、と言う表情をしてみせると、意図を察してくださったロゼさんとフローラお嬢様が美しく笑んだ。


「さぁ! お話もまとまったのですから、さっそくまいりますわよ!」

「サロン【ユグドラシルのお茶会】のメンバー全員での、参戦だからね。

 みんな、思い切り楽しもう」

「華やかな舞台の、はじまりはじまり、ですわ!!!」


 ヒラリとひるがえされた、フローラお嬢様の薄ピンク色の扇子の動きを合図に、全員そろって眼前に出した石盤から[参戦]を選び――浮遊大地へ、転送!



「〈プルス〉!」


 足が大地を踏む感覚と共に、特効攻撃である白光の浄化魔法を放ち、周囲の魔物たちを消し去ったのち。

 素早く身をひるがえして、ずいぶんと遠くに見える丘を目指し、一気に駆け抜ける!


 魔物たちの間をすり抜け、徐々に増えて行く他のシードリアのみなさんの、戦いのお邪魔にならないように気をつけながら、失敬して横を通り抜けて進み――ようやく、見慣れた姿が緑の瞳に映った。


 ひらりと振られたシルラスさんの片手に、こちらも片手を上げてお応えしつつ、最後の距離をつめる。


 サロン【ユグドラシルのお茶会】のみなさんが待機してくださっていた場所は、大規模戦闘開始時の待機場所であった丘をくだり、まるで見えない壁があるかのように立ちつくす魔物たちを目の前にした、安全地帯の端だった。


「お待たせいたしました!」

「兄君が一番遠い地にいたことは、先に伝えてある」

「うん、シルラスから聴いたよ。むしろ遠くから走って来てくれて、ありがとう」

「まずは一息ついてくださいませ、ロストシード!」

「えぇ、ありがとうございます」


 先に私の状況を察して、お伝えしてくださっていたとは、さすがはシルラスさん!

 たいへん、ありがたい限りだ。


 感謝を伝えつつ、実際に息切れをしているわけではないものの、気分的にも深呼吸を一つして呼吸を整えて、微笑む。


「それでは――参戦開始とまいりましょうか」


 凛と、あるいは楽しげに返されたそれぞれの声に、こちらも微笑みを不敵なものに変える。


 まずは……私とシルラスさん以外のみなさんの、本来の戦場へ。

 その場所にて――約束の舞台の、幕を上げよう!




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― 新着の感想 ―
遂にイベント会場にてサロンの皆さんと合流ですね!どんな戦闘が繰り広げられるのか楽しみです✨(´∀`*) 冒頭の精霊さんたちも可愛かったです♡
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