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【PV・文字数 100万越え!】マイペースエルフのシードリアテイル遊楽記  作者: 明星ユウ
三章 はじめての公式イベントを楽しもう
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三百七十七話 パーティーを組んで高山へ

※戦闘描写あり!


 



 しっかりと昼食を楽しんだのち、すぐさま【シードリアテイル】へ、ログイン!



『しーどりあ、おかえり~~!!!!』

「はい。ただいま戻りました、みなさん!」


 今回はとても近い位置から、小さな精霊さんたちのご挨拶が聴こえるな、と思いながら返事をしつつ瞳を開くと、四色の小さな姿はすぐ目の前にあった。

 可愛らしい四枚の翅が、ぱたぱたと動く様子まで見えるほどの近距離に、つい笑みが零れる。


 私の寝顔を、見ていたのだろうか?

 小さな姿はすぐにふわっと胸元へと下り立ち、ぴたりとくっつく。

 いつも通りの可愛らしさに微笑みを深めながら、片手で精霊のみなさんをそっと支えてベッドから身を起こし、いつもの準備開始だ。


 精霊魔法を展開して、小さな多色と水の精霊さんたちにかくれんぼをお願いし、オリジナル魔法を持続発動する間に、ふと窓を見やる。

 神殿の宿部屋の窓から射し込むのは、眩くも美しい、橙色の夕陽。

 この陽が沈む前に、アネモスさんと昼食前にお約束した、トリアの街の石門へとたどり着いていたいところだ。


「さて――それでは、今回はこのまま、アネモスさんたちとの集合場所の、トリアの街の石門に向かいましょう!」

『はぁ~~い!!!!』


 素早く準備を整えて、小さな四色の精霊さんたちに方針を紡いで宿部屋を出る。

 お祈りはまたのちほどに、と心の中で神々へとお伝えしてから、神殿を後にした。


 夕陽が照らすパルの街を進み、最初の噴水広場にあるワープポルタを使って、トリアの街の中央にある噴水広場へと転送した後は、足早に大通りを進み、石門へとたどり着く。

 軽く周囲を見回してみるものの、まだお三方はいらっしゃらないようだ。


 吐息をつき、それではと石門前で、小さな四色の精霊さんたちとたわむれて待つこと、しばし。

 ――やがて、宵の口へと時間が切り替わると、一気に暗くなったトリアの街の一角を輝かせるように、近くで金光が生まれた。


 小さな光の精霊さんを見送り、小さな闇の精霊さんを迎え入れる間、テトさん、アネモスさん、ウルさんが、次々と金光と共に姿を現す。

 そして、すぐにお互いと私を見つけて、駆けよって来てくださった。


「お待たせ、ロスト!」

「ごめん、待ったかな?」

「悪い悪い!」


 口々にそう紡ぐお三方に、穏やかな笑顔で首を横に振ってから、紡ぐ。


「いえ、少しばかり私のわくわくがあふれてしまい、落ち着くためにと先に集合場所に来ていただけですので、お気になさらず。

 改めまして、お声がけありがとうございます」

『わくわく~~!!!!』


 私の言葉と、同じ妖精族のテトさんにしか見えないものの、小さな四色の精霊さんたちも楽しげに声を上げたことで、お三方は申し訳なさそうな表情から一転、笑顔になった。


「そうだったのか! ならさっそくパーティーを組んで、ラファール高山へ出発だ!」

「はい!」

「おうっ!」

「うん!」

『しゅっぱ~~つっ!!!!』


 明るい声音で告げたアネモスさんの言葉に、そろって応え、すぐにパーティーを組むと、意気揚々とラファール高山へ向けて、石門から足を踏み出す。


 先に、テトさんへはいただいていたメッセージのお礼をお伝えしたのち。

 ――道中で盛り上がる話題と言えば、やはりお互いの、大規模戦闘についての情報交換!


 お話によると、どうやらアネモスさんたちは、レベルを上げればもう少し浮遊大地の奥に進めそうだと思ったからこそ、今日のラファール高山行きを決めたのだとか。


「そうだったのですね!

 実は私も、今回のレベル上げに参加させていただいた理由は、みなさんとまったく同じでして」

「え? ロストでもレベルが足りないと感じたの?」

「はい」


 お三方の説明にあいづちを打ち、私も理由は同じだと告げただけなのだが……テトさんには、本気で驚かれてしまった。

 おそらくは、私の強さをあるていど把握してくださっているからこそ、意外に感じたのだろう。

 不思議そうな表情のアネモスさんとウルさんは、テトさんがこれほどまで驚く意味が分かっていないようだ。


「私も、もう少し奥を目指しておりまして」

「――あ。そういうことか」


 ひとまず、さらなる奥の地を目指していることを伝えると、どうやら察してくださったらしいテトさんは、そう納得の言葉を零す。

 ついでに、常から伏し目がちな浅緑の瞳が半目になり、なぜかその状態でじとっと見つめられる。


 ……はて? 何かおかしなことでも、言ってしまっただろうか?

 何やら少し、呆れられているような気がするのだけれど。

 思わず首をかしげると、浅緑の瞳を元にもどしたテトさんが、小さく苦笑しながら口を開いた。


「キミはすでに、かなり大規模戦闘で活躍しているって聞いていたけど、まだ先を目指すとはね。ボクは正直、キミの熱意を見誤っていたよ」

「そう、なのですか……?」

「うん」


 一転して、晴れやかに淡く微笑むテトさんに、私だけではなくアネモスさんとウルさんも疑問符を顔にうかべたまま、それでもそろってトリアの草原、森、そしてラファール高山の麓を抜けて、高山の入り口へと踏み入る。


 ここへたどり着くまでにも、数体の魔物たちと戦いながら進んできたが、その際にもお三方は、私が強力なオリジナル魔法を放つ必要もないほど順調に、魔物たちを倒していた。

 その戦い慣れた動きと、数段強さを上げたスキルや魔法は、はじめてお逢いした時とは比べ物にならないほど。

 今回お三方が、ラファール高山をレベル上げの戦場に選んだことにも、納得できた。


 ――だからこそ、さっそく対面した銀牡鹿の魔物、ラファールディアーとお三方がどう戦うのか、好奇心が湧く。

 自然と不敵な笑みを口元にうかべながら、それぞれの武器をかまえる、アネモスさんとウルさんの背と、隣のテトさんを見やった。


「まずは回避!」

「おうっ!」

「うん!」

「はい!」


 的確なアネモスさんの指示に、ウルさんとテトさんと共に返事を響かせた、直後。

 ザッと砂利を散らして、ラファールディアーが突進してきた!


 銀色の風をまとって突撃してくる牡鹿の魔物を、全員でひらりと避けたのち。

 初手に放たれたのは、アネモスさんの風の斬撃!

 振るわれた剣の先から飛来した三つの風の刃が、見事にラファールディアーを切り裂く!


 次いで、三つ編みにした黒の長髪を流し、素早く軽やかに駆けよったウルさんが、両手の短剣を器用に突き刺すと、そこから紫色の雷光が輝きを放つ。

 あれは――雷魔法の、麻痺効果!


 思わず緑の瞳を煌かせていると、私とは反対側に飛んでラファールディアーの突進を避けていたテトさんが、手飾りをつけた片手を振り下ろし――刹那、大きな一本の水の槍が、銀牡鹿の頭上から降り落ちて突き刺さった!


 ……これで、ラファールディアーは麻痺に加え、感電の状態異常まで、その身にうける状況になっている!!

 あまりにも鮮やかな連携技に、あやうく拍手を鳴らすところだった!


「さすがです! みなさん!!」


 それでも、感極まって発した称賛の言葉に、堅実な戦いを繰り広げながら、お三方が笑む。

 これは私も――この先ははりきって、共闘させていただきましょう!!




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― 新着の感想 ―
[良い点] 至近距離での精霊さんたちのお迎え可愛すぎます〜ありがとうございます(*/ω\*)♡ そして個人としてもパーティとしてもとてもレベルの高そうなメンバーですね!個人的に、テトさんの何やら意味深…
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