三百六十八話 幕間三十八 公式イベント一日目を楽しむエルフたちの世迷言板
※誰かの視点ではなく、世迷言板内のやり取りの記録です。
【シードリアテイル】サービス開始から十五日目。
現実世界では明日へと日付が変わる手前の、とあるエルフたちの世迷言板にて。
[みんな、公式イベントは楽しめてる? 攻略系は昼過ぎから戦闘つづきなんだけど]
[お~! 予想以上に、大規模戦闘イベントぉ!! って感じだったから、新鮮さを楽しんでるぞ~]
[私も大規模戦闘に参加して、戦いを楽しんでいます]
[二人はさすがね。でもほんと、思ったよりも魔物でうめつくされてたから、他の人たちが楽しめてるか心配よ]
[そこはさすがに大丈夫だと思うぞ? 自分の実力に合った魔物と戦えばいいだけだろ?]
[初心者の方などは、最初に転送された丘に近しい場所で、比較的安全に戦えているようですよ]
[あの辺りは、壁でもあるみたいに、魔物たちも立ち止まってるから、戦いやすいだろうな]
[はい。そのようです]
[あ、そっか。それなら良かった。……こっちは魔物を倒しても倒しても減らないから、ちょっと心配だったのよね]
[あ~……そっちは、そうだろうなぁ]
[攻略系の方々がいる場所は、たしかに倒してもすぐに魔物たちが押し寄せて来ていましたね]
[そうなのよ。もう本当にキリがなくてたいへんだった]
[お疲れさん]
[お疲れ様です]
[ありがと~! ――どこかの先駆者で魔導師な人は、あたしたちよりよゆーみたいだったけど]
[マジか!? ……いや、そうだよな。むしろ例の人ならそうなるよな]
[同感です。少しの間、共に戦いましたが、本当に見事な戦いでした]
[へっ? 共に戦った??]
[はい。共闘しました]
[マジかぁ!?!? それは聞いてないぞ!?]
[……そう言えば、お伝えし忘れていました]
[おぉぉマジかぁ……!!]
[二人とも仲良しね。と言うか、弓使いの人は一緒に戦ったんだ? 遠目に見てるだけでも、オリジナル魔法とかやっぱりすごかったけど、実際のところはどんな感じだったの?]
[そうですね……。雷の矢が、おそらく一度の発動で、十本以上放たれていました]
[あ、見間違いではなかったのね]
[は? 一度に十本以上? いや、それはもうどんな魔法なんだ……?]
[オリジナル魔法ですね]
[オリジナル魔法ね]
[そーいうコトではなくてだな!?!?]
[失敬。こういう返しをしてくださる方は貴重で……]
[そうそう。面白い反応、いつもありがと]
[どういたしまして! 楽しんでもらえてるみたいで何よりだぞ~! ――それでそれで?]
[はい。それと、特効攻撃を使っていました]
[さすがすぎるだろ例の人ぉ!!]
[やっぱりそうだったんだ!! 浄化魔法のほうでしょ?]
[そうです]
[光属性魔法の一種、だったか?]
[そうよ。正直に言うけど、攻略系でも数人しか使えない魔法よ]
[数人!?!?]
[なんと……]
[もう一つの特効攻撃なんて、情報がなさすぎて、攻略系でも使える人いないかもって言われてるわよ]
[……マジかぁ]
[それは、また……]
[浄化魔法のほうだけでも貴重だし、気になりすぎてあの人が使ってる時にずっと見てたんだけど……毎回その後に、あの人も攻略系の戦いが気になってたみたいでこっちを見てたから、永遠に目が合ってたわ]
[ははっ! お互い浄化魔法と戦いかたに、興味津々だったわけか!]
[たしかに、彼も攻略系のかたの戦いは、気になっていたかと]
[本当に毎回目が合ってたから、変に思われてないといいんだけど……]
[それは大丈夫だろ]
[それは大丈夫だと思います]
[よかった。あの人と顔見知りの二人が言うなら、大丈夫よね]
[あぁ! 心配ないさ!]
[彼の場合は、攻略系のかたがいったい何を見ようとしていたのか、という部分が気になっていると思います]
[それだ!]
[そっか。あの人ってそういう感じなんだ]
[はい]
[いやぁ、俺も例の人が攻略系の戦いを見て、どう思ったのかが知りたいな~!]
[あ、それあたしも知りたい!]
[私も気になります]
[だよなだよなっ? まだ今日はイベント開始一日目なわけだし、今日学んだことをさっそく明日活かすとか、例の人ならやるのでは!?]
[やると思います]
[ぜったいやるわね]
[だよな~~!!]
そうして、【シードリアテイル】初となる公式イベントの、そのはじまりを楽しみ、同胞の活躍をも楽しむエルフたちの雑談は、弾んだままつづいていった――。
※次回は、
・十六日目のはじまりのお話
を投稿します。
引き続き、お楽しみください!




