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【PV・文字数 100万越え!】マイペースエルフのシードリアテイル遊楽記  作者: 明星ユウ
三章 はじめての公式イベントを楽しもう
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三百六十話 休む時間も大切に

 



 あまりにもすさまじい、特効攻撃による殲滅は……ひとまず今はまだ、時折使うだけに留めることにして。

 また精霊のみなさんと一緒に戦闘をつづけ、昼の時間から夕方の時間へと移り変わり、少したった頃。

 ちょうど一時間の区切りとなり、再び蒼光に連れられて、地上へと戻ってきた。



 強制送還された、夕陽に照らされたトリアの街の大噴水のそばで、ふぅと戦闘後の疲労感を吐息で流す。

 〈フィ・ロンド〉を解除して、小さな四色の精霊さんたちが肩と頭の上に戻り、ぽよっと跳ねる様子に和んだところで――今回はゆったりと休憩することに決めた。


「戦闘の後は、やはり休むことも大切ですよね」

『おやすみも、だいじ~~!!!!』

「えぇ。と言うことで、この後はのんびりとポーション製作を楽しみましょう」

『はぁ~~い!!!!』


 小さな四色の精霊さんたちと語り合い、今後の方針を定めると、さっそく素材を買い込むために職人ギルドへと向かう。

 大通りを行き交う、他のシードリアのかたがたを眺めながら歩き、職人ギルドで魔力回復ポーションの素材であるマナプラムを大量に買った後は、神殿に足を運ぶ。


 休息を兼ねたものづくりに、もっとも適した場所と言えば――やはり、この神殿の中にある技神様のお祈り部屋だろう。

 小部屋へと入り、まずはと技神様へ穏やかな心で《祈り》を捧げたのち。

 ポーション製作に必要な品々を並べて、丁寧に魔力ポーションをつくっていく。


「そう言えば……この作業にも、評価が与えられるのでしたねぇ」

『しーどりあがすること、ぜ~んぶ! かみさまたち、みてるよ~!』

「はい。……きっとそれは、今までもそうだったのでしょうね」


 のほほんとした呟きに、言葉を返してくれた小さな水の精霊さんへとうなずきながら、小さく気づきを零す。


 創世の女神様は本日最初のログイン時、今回の大規模戦闘での戦いをずっと見守ってくださると、そうおっしゃっていた。

 しかし、よく考えてみると、きっと他の神々も今までずっと、私たちシードリアのことを見守ってくださっていたに違いない。


 これは、そうであってほしいと言う希望ではなく、むしろほぼほぼ確信に近かった。

 ……なにせ、思い当たる節がありすぎる。

 特に、これまで習得してきたスキルや魔法たちの、その習得のタイミングを考えると……やはりどう考えても、少なからず神々は私を見ていらしたと思う。


 その点に関しては、引きつづき深く感謝を捧げて、いっそう神官としてお祈りにはげむことで、ありがたい見守りにお応えできると良いのだけれど。


 そのようなことをつらつらと考えつつ、美味しいハチミツ入り魔力ポーションをつくっていき、ちょうど五本目の小瓶にポーションを作り終えた時、ふと一瞬アトリエ【紡ぎ人】のみなさんはどのようにお過ごしだろうかと、疑問が頭を過ぎった。

 様子を見に行こうか、とまで思考を巡らせ……ふるりと小さく頭を横に振る。


 公式イベントがはじまった後、私がすぐさま大規模戦闘に参加したように、おそらくアトリエのみなさんもご自身の作品作りに、すぐに取りかかり、現在も制作にはげまれているはずだ。

 イベント開始後、すでに数時間が経過しているとは言え、生産職のかたがたにとってはものづくりの最中こそが、戦場で戦っている時だと言っても過言ではない。


 私がアトリエのクラン部屋に行くことで、みなさんの製作時の集中を乱してしまう可能性を考えると――やはりもう少し時間をあけてから、見に行くことにしよう。

 脳内で自己解決しつつ、減った分のポーションを作り終えたところで、ハッと重要なことを思い出して顔を上げる。


「そうです! すっかり忘れておりました!」


 思わず声を上げて、素早く灰色の石盤を開く。

 それは今回の公式イベント専用のページで、基礎情報のページの生命力や魔力ゲージのように、横棒が五本描かれていた。


『なになに~~????』

「えぇっと、今回の大規模戦闘における、評価ゲージの進み具合を確認しようと思っていたことを、すっかり忘れておりまして……」

『かくにん???? だいじ!!!!』

「えぇ。だいじ、です」


 ふよふよと石盤のそばへ近寄って来た、四色の精霊さんたちに説明とうなずきを返し、改めてページを見る。


 上から下へと五本並んだ横棒のゲージの内、一番上のゲージが本日分の評価ゲージなのだろう。

 しかし……まだ二時間分しか戦っていないと言うのに、すでにゲージの半分近くが淡い金色に染まっているのは……はて? どういうことだろう??


 たしか、攻略系のかたがたが全力で一時間戦うという前提で、このゲージ一本分を埋めるには約五時間が必要だと、語り板には書かれていたはず。

 私も全力で戦ったという点においては、相違はないのだけれど、それでもまだ戦った時間は二時間だ。

 一本のゲージを五等分したとして、五分の二を超えることはないはずなのだけれど……。


 と、謎な状況に首をかしげたのち、気づく。

 コレは、もしかしなくても――特効攻撃の殲滅力のおかげでは!?

 ふっと広がった表情が、実に微妙な温度をたたえる微笑みであることは、鏡がなくとも自覚できた。


「特効攻撃……おそるべし、ですねぇ」


 納得と同時に、もはや自然な動作で彼方へと視線を放り投げる。

 とたんにふわっと頭の上へと集合した小さな精霊さんたちが、頭を優しく撫でてくださった。

 本当に、精霊さんたちは私の変化によく気づいてくださる。


 なでなでよしよしとつづく優しさに、たっぷりと癒された後は、出来上がったポーションをカバンへと入れて片づけをすます。

 次いで、せっかく神殿をおとずれたのだから、この機会に他の神々へもお祈りを捧げることにして、技神様へと再度《祈り》を捧げてお祈り部屋から広間へ戻り、順に神々へと祈りを捧げていく。


 久しぶりにじっくりとすごした神殿内は、まさしく浄化されるような、清らかな心地になる場所だと――改めてそう、しみじみと感じた。




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― 新着の感想 ―
[良い点] 休憩も取りつつ、しっかり追加のポーション作りもしている所が流石ロストシードさんです〜(⁎˃ᴗ˂⁎)更に神殿でのお祈りもされて行くだなんて…なんて敬虔なシードリア✨ そして評価の現状に笑いま…
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