三百四十七話 幕間三十六 初の公式イベントが楽しみなエルフたちの世迷言板
※誰かの視点ではなく、世迷言板内のやり取りの記録です。
【シードリアテイル】サービス開始から十四日目。
現実世界では明日へと日付が変わる手前の、とあるエルフたちの世迷言板にて。
[いよいよ、明日の昼から公式イベント開始だなぁ。みなさん準備は進んでますか~?]
[攻略系はみんな順調よ。……ですよ]
[私も、装備を一新しまして、準備は整いつつあります]
[ハイハ~イ! おれもポーションいっぱい買って、準備してます!!]
[えっと、進んでいます! 精霊さんと連携した戦いも、できるようになりました……!]
[僕も、サロンの子たちと一緒に準備を進めているところです]
[おぉ~! 久しぶりに人数集まりましたね。しかも、予想以上にみなさん準備できてる、と]
[まぁ、さすがにもう、明日からはじまるって段階だしね]
[前日ともなると、準備を終えているかたのほうが多いでしょうか]
[それもそうですね~! ちなみに俺も、素材とか買い込んで準備完了してますよ]
[お~~!!]
[流石ですね]
[すごく、楽しみになってきました!]
[素材……盲点でした。食材は新鮮なほうが良いと思い、買っていませんでした。
明日の朝の間に買えると良いのですが……]
[たぶん、あたしたちプレイヤー側が買い占めても、素材がなくなるってことはないと思いますよ]
[職人ギルドとかで売ってる総数は少なくなってるかもしれませんが、さすがに買えると思いますよ~]
[それは良かったです。教えていただき、ありがとうございます]
[いえいえ]
[どういたしまして~!]
[――そう言えば。素材ではありませんが、ポーションは今の段階でも、店頭で売られている数が少なく、困っているかたが多いようですね]
[あ~~、まぁ、ポーションはなぁ……]
[う~ん。それはちょっと、攻略系の中でも買いすぎてる人がいるかも……?]
[たしかに、ポーションはすでに手に入りにくくなっていましたね]
[おれが買った時は、普通だったんですが、今はそんなことになってるんですね!?]
[生産職のかたは、すこしたいへんかもしれませんね……]
[はい。回復系の消耗品は、特に品薄になりやすいとは思いますが、今の段階でこの状態では、イベント開始後は大丈夫なのだろうかと、少々気になっています]
[そこは不安になるよなぁ]
[心配よね]
[うわ、そうか! イベントがはじまったあとが、どうなるか!]
[心配、ですね……]
[私は、イベントがはじまった後は、生産職のかたがたが量産をはじめるのではないか、と予想しています]
[あ、なるほど]
[あ~っと。たぶん、その通りになるとは思います!]
[うん。同感です。量はむしろ増えるとおもう]
[そうですよね]
[あ~!! そうか!!]
[そうなのですね!]
[そう言うことなら、あまり心配する必要はありませんね]
[そうそう。イベント開始後は、むしろ評価対象のものづくりは、活発になるはずですからね~!]
[実際は、一番困るのってたぶん、大規模戦闘そのものだと思いますよ]
[大規模戦闘そのもの、ですか?]
[それはまた、なぜです?]
[メインイベントってのは、それだけで色々たいへんな部分は、出てくるとは思いますね~]
[攻略系から初心者まで、入り混じっての戦闘フィールドになりますから。戦闘そのものも大規模ならたいへんだと思うけど、それぞれの戦いかたで問題が起きる可能性も……ないとは言えない、かな?]
[だなぁ]
[それは、たしかに]
[そう言うことですか……]
[おれ、攻略系のひとの邪魔にならないように戦えるかな?]
[緊張してきました……!]
[だいじょうぶだいじょうぶ。これはあくまでありえるかもって話で、【シードリアテイル】は基本的にもともと平和な環境だから、もめごととかは起きないはずよ]
[まぁ、いざって時はそれこそ、攻略系とか先駆者の人とか、落ち着いて対応できる人たちが動くから、安心して一緒にイベントを楽しもう!]
[戦闘フィールドへ、どのような形で転送されるのかは分かりませんが。可能なら、お知り合いのかたの近くで戦闘をすると良いかもしれませんね]
[それだっ! それが良い!]
[あ、それは名案だと思うわ]
[分かりました。僕もなるべくサロンの子たちと一緒に戦うことにします]
[りょうかいです!!]
[はい! 不安がなくなりました!]
[良かったです]
[それは何よりだな!]
[うん、よかった。せっかくのイベントなんだから、みんなが楽しむのが一番だよ]
[そうそう! 明日はここにいるみんなも、みんなのフレンドさんたちも、たくさん楽しめますよ~に!]
[楽しめますように!]
[たくさん楽しみましょう]
[はい。楽しみます。みなさんもご武運を]
[たのしみまっす!!]
[楽しみます!]
そうして、それぞれが好奇心と決意と未知への高揚、何より明日への期待を抱えたまま、もう少しだけ雑談はつづいていった――。
※明日は、
・十五日目のはじまりのお話
を投稿します。
引き続き、お楽しみください!




