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【PV・文字数 100万越え!】マイペースエルフのシードリアテイル遊楽記  作者: 明星ユウ
三章 はじめての公式イベントを楽しもう
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三百三十九話 それぞれの好奇心

※戦闘描写あり!


 



 朝から昼の時間に移り変わるのにともない、サロンのみなさんとのお話を切り上げてその場を失礼し、大通りへと出ると、ゆったり歩きながら最初の噴水広場に向かう。


 道中、思いうかぶのは、相変わらず公式イベントのこと。

 この後は、ひとまずレベル上げのつづきでもしようかと思っているのだが……その前に、他のフレンドさんたちとも、公式イベントのお話をしてみたいと好奇心がうずいた。


 私のわくわくを感じ取った小さな四色の精霊さんたちが、小さくぽよぽよと肩と頭の上で跳ねる。

 それに微笑みながら、たどり着いた噴水広場の端で、灰色の石盤を開いた。

 フレンド一覧を見やり、お話を聴いてみたいと思っていたお三方がログインしていることを確認して、私を含めた四人でメッセージのやり取りが出来る形で、問いかけを送る。


 [アネモスさん、ウルさん、テトさん、こんにちは。

 先日の冒険では、とても楽しいお時間をいただき、ありがとうございました。

 少々お尋ねしたいのですが、お三方は、明日からはじまる【シードリアテイル】初の公式イベントのことを、ご存知でしょうか?]


 やや間をあけて、メッセージが届いた。


 [大規模戦闘イベントだよね! 楽しみだ!]

 [めっちゃ楽しみ~!!]

 [ロストも参加するんだね]


 お三方からそれぞれ返された文に、口角を上げながら文字を打つ。


 [みなさんご存知でしたか! えぇ、私も大規模戦闘に参加する予定です。

 実は本日、明日の公式イベントについてのお話を、いろいろなかたとしておりまして。

 もしお時間がありましたら、お三方ともお話できればと思っているのですが……いかがでしょうか?]


 少しの緊張と共に送ったメッセージに、まっさきに答えをくださったのは、テトさん。


 [今、ちょうどアネモスとウルと一緒に、トリアの森でレベル上げをしているんだけど、ロストも来るかい? 一緒にレベル上げしながら、話すのはどうかな?]

 [ぜひ! すぐに向かいますね!]


 素敵なおさそいに即答を送ると、テトさんたちからもすぐにメッセージが返って来た。


 [うん、大歓迎だよ。草原と森の境目で待ってるね]

 [承知いたしました!]


 [ロストシードが来てくれるなら、百人力ってやつだね!]

 [やったぜ!]

 [今回もお役に立てるよう、はげみますね!]


 湧き上がる高揚に笑みを深めて石盤を消し、小さな四色の精霊さんたちへとこの後のことをお伝えする。


「みなさん。この後は、以前回復役としてパーティーを組んだお三方と、レベル上げをしながらお話をすることになりました。一緒に楽しみましょうね!」

『うんっ!!!! しーどりあといっしょに、たのしむ~~!!!!』


 楽しげに肩と頭の上で跳ねる可愛らしい姿に笑顔を咲かせ、ワープポルタへと近づき手をかざす。

 蒼き光に導かれ――トリアの街の中央にある噴水広場へと、転送!

 すぐさま優雅さをそこなわないていどに大通りを駆け、石門を抜けてトリアの草原を通りすぎ、森の手前にたたずむお三方の姿を見かけて、走りよった。


「みなさん! お待たせいたしました!」

「ロストシード!」

「よっ!」

「来てくれてありがとう。ボクたちも、ついさっき草原まで戻ってきたところだよ」


 私の声かけに、それぞれあたたかく言葉を返して迎え入れてくださるお三方に、微笑みがうかぶ。

 さっそくとパーティーを組み、トリアの森の中へ入り込むと、ハイアーフォレストウルフを倒してレベルアップを目指していく。


 今回、まっさきに驚いたことは――私以外にも、回復魔法の使い手が誕生していたこと。

 戦闘中、突然舞い落ちた光る木の葉が触れたとたん、アネモスさんとウルさんの少しだけ減っていた生命力ゲージが回復し、驚愕に緑の瞳を見開く。

 反射的に隣に立つテトさんへと視線を向け、浮足立つような高揚のままに問いかけた。


「テトさん! さきほどの魔法は、オリジナルの回復魔法ですか?」

「うん。前回の教訓を活かして、ボクも習得したんだ」

「素晴らしいです!!」

「本当に助かるよ!」

「マジでありがてぇ~!!」


 なんと素晴らしい行動力だろう!

 密やかに感動する私と、感謝を伝えるアネモスさんとウルさんに対し、テトさんは少しだけくすぐったそうに笑う。

 結果、今回はテトさんと私とで、必要に応じて回復魔法をかけつつ戦うことになった。


 アネモスさんとウルさんも、今回は前回以上に剣を使いこなし、いっそう剣技が鋭くなる、新しく習得したらしいスキルを活用しており、以前は苦戦したハイアーフォレストウルフに余裕をもって対峙出来ている。

 テトさんの提案通り、戦闘の合間には会話ができるほどの変化に、改めてお三方の強さを感じた。


 私としては本題であった公式イベントについての話題では、お三方がそれぞれの好奇心を言葉に乗せる。


「オレはやっぱり、どんな魔物と戦えるのかが気になってるんだよな~!!」

「俺は……報酬の内容が気になるかな? どんなスキルや魔法をもらえるのかなって!」

「ボクは、ロストの活躍が楽しみだよ」


 ウルさんはどのような魔物と戦うことになるのか、アネモスさんはどのような報酬を授かることが出来るのか、気になるらしい。

 お二方の気になる点は、私も楽しみにしている部分だ。


 そして、テトさんは私の活躍が気になるようだけれど……はて?

 私は普通にイベントを楽しむだけのつもりなので、活躍と呼べるほどのことができるとは、あまり思っていないのだが。


 思わず、小首をかしげて言外に疑問を示すと、伏し目がちな浅緑の瞳が少しだけ愉快気に細められた。


「うん、たぶん大丈夫。キミはキミ自身が思うより、きっと活躍するだろうから」


 そう紡いだテトさんの声音は軽やかで、何故かアネモスさんとウルさんは深くうなずいていらっしゃる。

 ――いったい、どういう意味なのだろう??

 私だけが疑問を解消できないまま、レベル上げのための戦闘はつづいていった。




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