百四十六話 幕間十五 きれいなちょうちょさんとおにいさん
※主人公とは別のプレイヤーの視点です。
(幕間十一のプレイヤーさんです)
※軽い戦闘描写あり!
【シードリアテイル】をはじめてあそんだ日の、つぎの日。
きょうは、レベルを上げるために、いっぱい魔物さんとたたかうの!
きのうは里のなかでいっぱい歩いて、走って、体のうごかしかたがわかった。
そのあと、木が一本もない広い土の場所にいた、かっこいいエルフのおねえさんから、魔法をおしえてもらって。
スライムさんともたたかってみて、ちょっとたいへんだったけど、かてたのはうれしかった!
でも、けがするのはいやだから、はやくいやす魔法をおぼえたくて、神殿でいっぱいお祈りをしてたら、オリジナル魔法をもらえたの。
だからきょうは、ちょっとこわいけど、いろんな魔物さんとたたかうって、きめた。
きのうおかいものをしたときにかった、手につけるきらきらのかざりをさわって、はずれないのをかくにんしたら……しゅっぱつ!
「えっと、ウルフさんと、たたかいにいきます」
『は~い!』
かわいいおへんじをしてくれる、きょうお友達になった水色のせいれいさんが、頭にのってくれた。
おおきな木がいっぱいある森のなかで、がんばってたくさんのウルフさんとたたかう。
魔法をいっぱいうって、あてて、ウルフさんからもこうげきされて、いやしの魔法をつかって……。
やっぱり、たたかうのはにがてかもっておもったけど、水色のせいれいさんがおうえんしてくれたから、がんばれた。
「ちょっと、きゅうけい、ですっ」
『きゅうけい~!』
「はい……!」
はふ、って息をして、ウルフさんたちのいるところから、はんたいの森のなかにあるいていって、きゅうけい!
いっぱいたたかってたら、夜になってて、ちょっとびっくり。
まっくらな森のなかは、ちょっとこわいけど、《夜目》っていうスキルがあるから、木がどこにあるのかは見える。
しらないところだなぁっておもって、きょろきょろ見てたら、とおいところでつめたい音がした。
「氷の、音?」
『こおり?』
「うん。あっち、だと思います」
『あっち~!』
ずっとずっととおくにある、氷の国の動画できいた、つめたい音。
ちょっときになって、水色のせいれいさんといっしょに、氷の音がしたところまで歩いていってみる。
おおきな木がたくさんになってきて、夜がもっとくらくなったみたい。
つめたい音がきこえなくなったけど、たぶんこっちであってると、思う。
なにかないかなって、きょろきょろまわりを見てみる。
「あっ」
ちいさな声が出て、あわてて手を口にあてた。
前にあった、おおきな木と木の、あいだ。
そこから、虹色のきらきらが見えた!
なんだろうって、じっと見たら、とってもきれいなちょうちょさんだったみたい。
かわいいせいれいさんたちの声がきこえて、緑色の服もみえた。
ちかくに、人もいる……?
木のうしろにかくれて、ちょっとだけのぞいて……お顔がみえて、びっくり!
――きのうの、やさしいおにいさんだ!
金色なのに白色になる、きれいなながい髪、緑色のやさしい目。
ぽかぽかのお日さまみたいにやさしい、ころんだわたしに手をかしてくれた、あのおにいさん。
うん、みまちがったりしない。
おにいさんは、とってもきれいな虹色のちょうちょさんが飛んでるのを、たのしそうにみてる。
ちょうちょさんもきれいだけど、きらきらのちかくにいるおにいさんも、すっごくきれい!
でも、じっと見てるのは、しつれいになるよね……。
うん、べつの場所にいこう。
おにいさんがちょうちょさんといる場所と、はんたいの場所にぱっとかるい体で走り出して――おおきなくまさんが寝てるのが見えて、びっくり!
そろりそろりってはなれて、もう一回走って里までかえった。
おにいさんはだいじょうぶかなって、かえってきてから心配になったけど、きっとおにいさんならだいじょうぶだよね。
「おにいさんと、虹色のちょうちょさん……とってもきれい、でした!」
『きれいだった~!』
「はいっ!」
虹色のちょうちょさんを、せいれいさんたちといっしょに見てたおにいさんは――やっぱり、ちょうちょさんに負けないくらい、きれいだったな。
※明日は、
・六日目のつづきのお話
を投稿します。
引き続き、お楽しみください!