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【PV・文字数 100万越え!】マイペースエルフのシードリアテイル遊楽記  作者: 明星ユウ
一章 はじまりの地は楽しい誘惑に満ちている
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百二話 幕間七 いつか話しかけてみたいな

※主人公とは別のプレイヤーの視点です。

(幕間一のプレイヤーさんです)

※ふわっと飯テロ風味です!



 



 戦闘が得意なプレイヤーの人たちが、たくさん次の街にいってしまった、三日目。

 すっかり人の減ったエルフの里で、のんびりすごすことにした。


『しーどりあ~! あっちにおいしいのあるよ~!』

「はーい!」


 綺麗な緑色に光る、緑の下級精霊さんと一緒に、森の中でリヴアップルを収穫するのは、とってもたのしい!

 緑の精霊さんは、土の精霊さんの親戚さん? みたいな存在だって、クインさんの書庫にあった本で読んだ。

 この子とは、ぐうぜん森の中で見つけた小さな花畑でであってから、ずっと一緒にいてあそぶ友達になれた。

 今のところ、わたし以外に緑の下級精霊さんと仲良しなプレイヤーは見てないけど、ちょっとまだ今はいないだけで、これからふえていくんじゃないかなって、思う。

 たぶんきっと、そうなるよねって思ってる。

 わたしひとりだけが、緑の精霊さんと仲良しだなんて、もったいないから。


「仲良しになる方法、教えてもらえてよかったなぁ」

『なかよし? なかよし!』

「うん! 仲良しだね!」


 わたしのつぶやきに、すぐに反応してくれるこの子は、ほんとうにかわいい!

 この子と仲良くなれたのは、あの綺麗で優しいお兄さんのおかげ。

【シードリアテイル】はじまりの日、エルフの世迷言板でお兄さんが精霊さんたちと仲良くなる方法を教えてくれなかったら、この子と友達になれてなかった。

 それに、きっと今みたいにたくさんのエルフのプレイヤーが、精霊さんたちと一緒に遊ぶことも、できてなかっただろうなって思う。

 お兄さんは本当にすごいなぁって思いながら、リヴアップルを取って、カバンに入れていく。

 これが終わったら、次は……食堂で、ご飯でも食べてみようかな?


 美味しそうな香りにさそわれて、入ってみた食堂は、とってもあたたかな雰囲気で、なんだかほっとした。

 かわいらしい緑の中級精霊さんに接客をされて座ったのは、窓側のボックス席。

 明るい光にかざして読んだメニュー本の中には、気になる料理がいっぱいあったけど、おすすめメニューを頼んでみる。

 カゼヨミソウとミズキノコの炒めもの……どんな味がするのかな?


『おまたせしました~!』

「あっ、ありがとうございます」


 楽しみにしながら待っていると、笑顔の緑の中級精霊さんが料理をもってきてくれた。

 やわらかな葉っぱと、透明に近い小さな食べ物をまぜて、たぶん塩コショウとかで炒めてるのかな?

 やさしい香りが広がって、ひとくち食べてみるとすっごく美味しくてびっくり!

 五感体験型って、言われているだけはあるなぁ――なんて考えていたら、入り口のほうから緑の中級精霊さんと誰かがお話しする声が聞こえてきた。


『あのあの! 食材をおあずかりしてもいいですか? 料理人にみせて、料理できるかかくにんしてきます!』

「えぇ、ぜひよろしくお願いいたします」


 穏やかでやわらかな、高めの若い男の人の声。

 なんとなく会話の内容が気になって、ちょっとのぞいてみたら……ふわふわって動く、下級精霊さんが三体見えた。

 角度的に、お顔までは見えないけど。

 でも、下級精霊さんを三体も連れているプレイヤーなんて――あの人しかいない!!

 精霊さんたちと仲良くなる方法を、世迷言板で教えてくれた、先駆者さん。すごく綺麗な所作で、わたしに返礼をしてくれた……とっても素敵なあのお兄さんだ!

 グラデーションのかかった金色の長い髪がゆれるのが、ちらっと見えて、あわてて顔をひっこめる。


『おいしいソテーをつくってみせます! って料理人がいってます! お席でおまちいただけますかっ?』

「はい、楽しみに待たせていただきますね」

『はいっ! こちらへどうぞ~!』


 そんなやりとりが聞こえて、またびっくり。

 ――食材を持ち込んで、調理してもらうことができたの!?

 そんなこと、思いつきもしなかった!

 やっぱり、お兄さんは凄い……。


「ソテー、おいしそう……」

『おいしそう!』

「だね!」


 ついついこぼしたつぶやきから、緑の下級精霊さんと一緒に笑い合う。

 そう言えば、たくさんのプレイヤーがもう次の街に行っているのに、お兄さんはまだ行ってないのかな?

 不思議に思って、部屋の奥のほうに歩いて行くお兄さんの背中を少しだけ目で追いかける。

 綺麗な青色の髪留めと、お星さまがうかぶ夜空みたいな耳飾りをつけた姿は、飾りを何もつけていなかった頃より、もっと素敵に見えた。

 顔を机の上に戻して、美味しいご飯を食べながら、お兄さんが食べるソテーもきっと美味しいよねって、想像する。

 それと一緒に、すごく聴きやすいお兄さんの声を思い出して――やっぱりいつか、話しかけてみたいなぁ、なんて。

 そんな風に、思った。




※明日は、

・三日目のつづきのお話

を投稿します。

引き続き、お楽しみください!


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― 新着の感想 ―
[良い点] わぁ〜あの日の食堂にいらしたんですねぇ(´∀`*) やはり他のプレイヤーさんによって語られるロストシードさんは、優美でミステリアスな先駆者さんなんですね✨それぞれの冒険が交わる日が、本当に…
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