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・5・学習院武官室:密会

「兄さん起きてる?夜鷹もいるよ。」

どうやら寝ていたようだ。

「ああ、ごめん。寝てた。」

「呼びつけといてそれはないんじゃない?兄さん」

「珍しいね、兄さん。的を射たことを言うなんて」

懐かしいやり取りに頬がゆるむ。

「ごめんごめん。木戸内府が来てたんだ。1時くらいまでいたんだよ、あいつ。」

「何しに来たの?あのたぬき」

白夜が木戸を嫌っていることがよく分かる。

「あれが学習院に来るなんて珍しいね。何しに来たの?」

「今日の殿下のことだよ。ちょっと不安定になっててね。」

それだけじゃなかったけどね。

「わお。もしかしてそれを予想して僕らに近衛と鷹司を調べさせたの?すごいね」

白夜がおどけて言う。

「そんなわけないでしょ。もしそうなら近衛派は調べなくていいんだから。ちょっとぐらい考えなよ」

無表情で夜鷹が言った。

「なんでいつもそうなのかなぁ。冗談と本気の違いも区別できないから人間と深く繋がれないんだよ。」

薄笑いを浮かべながら白夜が言うと、鬱陶しそうに夜鷹が言う。

「兄さんの言葉には2つ間違いがある。ひとつ、区別はつけられる。兄さん?にその能力を使うのが面倒なだけ。ふたつ、人間と深く繋がれないじゃなくて。繋がらないんだよ、人間が一番美味しいのは致命傷を負ったその瞬間だよ?深い関係になったらその味を楽しめないからね」

つまらなさそうに白夜が言う。

「いつも同じこと言って飽きない?たまには別の言い訳考えなよ。」

「兄さんは僕をからかう以外の楽しみを見つけたほうがいいと思うよ。僕だって本気で起こることがないわけじゃないからね」

少し険悪な雰囲気になってきた。そろそろ止めないといけないかもしれない。

「それだけ大口叩けるんだったら外でももっと喋れば?外で他人と会う時3日以上あってなかったら一言も喋れないとか、笑えないでしょ」

「兄さんのも目の前に好みの人間がいたらすぐ食べようとする癖もじょうだんじゃすまないよ?」

それを聞いた白夜が剣に手をかけたので流石に止めに入る。

「ふたりとも一回黙って。そして僕からの質問にだけ答えて。わかった?」

「はい、兄様」

「じゃあ早く質問してよ、兄さん」

ふたりがようやく矛を収めたので口を開く。

「じゃあそれぞれ報告を。夜鷹から。」

不満に溢れた顔で白夜がこちらを見てきたが、無視する。

「はい、鷹司派は概ね静かです。一条、鷹司ともに目立つた動きはありません。鷹司南本家が台湾でなにかやっているようですが、恐らく経済活動です。ひどくても脱税のたぐいだと思います。一条北分家は、釜山軽便鉄道敷設に関して小野田重工と癒着しているようでしたが、枢機に関わるような問題は確認できませんでした。」

「わかった。じゃあ白夜」

「近衛派も似たようなもんだよ。ちょっと気になるのは殿下に自派の娘を嫁がせようとしてることくらいかな。このまま宮城に食い込もうと思ってるんだと思う。かなり一体感が強かったけど、近衛家内部で北本家と南本家の主導権争いが起きてる。けどたぶん北本家が勝つよ。」

「鷹司の方は内部抗争はなし?あったらすごく嬉しいんだけど」

「ありません。そもそも派閥としてのまとまりがあまりありません。二月に一度会合は開催しているようですが、それだけのようです。日向の秋吉伯や、安芸の伊集院伯とお会いしましたが、自分の領地のことで手一杯な様子です。」

そうなるとますます近衛派が強くなる。それは避けなければならない。

「白夜。近衛派内部で突けば粛清の理由の出来そうな噂とかなかった?」

「あるにはあるけどちっちゃいよ?男爵クラスの若い奴らが偽りの天皇を殺せ!!って騒いでるくらい。」

丁度いい。80年前に橘家の大粛清でうまい汁をたっぷり吸ったのだから。今度は吸われてもらおう。

「白夜。その噂の真偽はどうでもいいから、そいつらをうまく焚き付けて。やり方も何をさせるかも任せるけど、大粛清の口実になるぐらいのことにしてね。」

ふたりは少し息を呑んだ。けど同様はすぐに消えた。それくらい神経が図太くないとこんな仕事はできないということだ。

「わかった。いつまでにやればいいの?」

「3月までに。それと夜鷹はどうした」

先程からずっと口を固く引き結んでいた夜鷹に声をかける。

「兄様だ喋るなと言われたので。」

薄笑いを浮かべ、夜鷹が言葉を継いだ。

「で、僕は何をすれば?」

「西園寺を調べてくれ。近畿の皇族」とどのくらい繋がっているのか知りたい。一週間で報告してほしい」

「了解、兄さん」

「ではそのように、兄様」

ふたりとも仮面をつけ、口元に笑みを浮かべて窓から出ていった。



いちおうここで完結です。この長さの小説かいたの初めてなので、拙いところ多々あったと思います。最後まで読んでくれたあなたがいたことが、筆者にとってはこれ以上ない喜びです。

第1部としているので、第2部も、書く予定ですが、間に別の話を挟むかもしれないです。張りまくった伏線も回収できるように頑張ります。

ではまた逢う日まで。

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