・0・学習院正門:世間話
帝都は雨だった。
「今年もこの季節ですね、少将」
隣に立つ大湊少尉がため息混じりに呟いた。
「毎年毎年この季節には異能暴走事案が最低三件、襲撃事案が最低四件発生します。全ては親から離れた開放感に任せて羽目を外してはしゃぐ餓鬼共のせいです。なぜその尻拭いを我らがせねばならないのですか?」
雨の音でかき消されて聞こえないから良いけれど、周りの憲兵に聞かれたら大問題になる。
「控えろ、少尉。一応あの餓鬼共は貴官よりも高位の餓鬼だ。」
ただし餓鬼は餓鬼なので、大湊少尉に同意したい。だが周りに一般憲兵がいるこの場では口にできないのが口惜しい。
「そうは言っても親がある程度領地で教育を施しておくべきです。連中も我々がその後始末をするのは知っているはずではありませんか。教師に迷惑をかけるのは容認できますが、我々特務旅団は軍人です。それをしっていながら義務を怠る貴族共には反吐が出ます。」
そろそろこれを本格的に教育することにしよう。この調子で学ノ開ノ儀に出られてはたまったものではない。
「少尉、一度警備指令所に戻って世ノ崎少佐に打ち合わせの内容を確認してこい。」
「承知いたしました。どちらで合流いたしましょうか。」
これは会場に近づけないほうが良いかな。
「あと五分ほどで殿下がご到着なされる。その後は合流する機会はない。よって学ノ開ノ儀が終わり交流会の会場への移動時に合流するものとする。それまでは世ノ崎大尉に従い警備任務につくように。以上。復唱不要」
「承知いたしました。分かれます。」
若いのは純粋で使い勝手がいいのはたすかるけど、頑固が多くて困るな
「大湊少尉にも困ったものですね、少将」
「そう思うなら貴官も上官として少しはあれを教育するべきでは?中ノ宮中尉」
「いえ、あくまで上官は少将で、自分は直属の階級上位者であります。よってそれは越権行為に当たります」
どうしてこう、いついかなる時でも軽薄さが抜けないんだ、これは。あと五分で殿下に謁見するというのに。これでは一般憲兵に示しがつかない。それをわかった上でなぜこんな態度を取れるのか。まったくもって理解できない。
「少将閣下、御加減が優れないのですか?声が出せないようですが」
「言いたいことは百も千もある。だが今は口を閉じろ。命令だ」
「なぜですか?将官たるもの常に部下に対しては余裕を持っておくべきではないですか?」
「殿下がいらっしゃる」
そう言って僕が門の先を目で示すと中ノ宮も黙った。
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今後はそっちでもなんか投稿できるといいなぁと思ってます。