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くりすますの日

 昼起きるとサンタはいない。

 昨日はクリスマスイブ。サンタが来たはずだった。

 昼に起きてもサンタがいないのは当然と言えば当然なのだが、それでも寂しい。

「サンタに会えると思ったんだがな……」

 会おうと思って夜更かししたが夜半ごろ唐突に眠くなってきて意識が落ちたのだ。

「あーあ……」

 こんな大人の下にサンタはやってこないとわかってはいるが、一人暮らしが寂しすぎて、イブにサンタがやってきて俺と会話でもしてくれないかなんてさらに寂しいことを考えてしまうことぐらい許してほしい。

 あわよくばその後サンタが一緒に暮らしてくれるとかそういうことまで考えてうどんを多めに買っておいたのにがっかりだ。

 枕元にプレゼントがないのを確認してから起き上がる。

 本当はもっと寝ていたかったが今日は食料が尽きる日なので買い物に行かなければならない。

 ベッドから下りて、遅すぎる朝食の準備をして、テーブルに座って。

「……ん?」

 違和感。ベッドの下に何かある。

「ベッドの下には新聞紙しか入れてなかったはずだけど……」

 もそ、とそれが動く。

「う……動いた」

 猫か?

 もそもそ、と動いて、ベッドの下から出てくるそれ。

「う、うわー!」

「うわーじゃありませんよ」

「喋った!」

「そりゃあ喋りますよ」

「お前は何だ!?」

 メタリックなボディ、丸っこいフォルムに赤と緑のカラーリング。

「僕はくりすますです」

「く、クリスマス?」

「友達がいない君のためにサンタさんが僕を置いていってくれたんですよ」

「なんと……」

「驚いたでしょ」

「驚いたけどお前はいつまでうちにいるんだ?」

 二日三日程度なら断ろう。人慣れ……人じゃないけど、二人に慣れてしまったら元に戻るのが寂しすぎるからだ。

「ずっといますよ」

「ずっと!?」

「あなたが望む限り」

「えっそんなえっ」

「僕はくりすます、あなたの望みの結晶ですからね」

 謎の概念を出されたところで俺のお腹が鳴る。

 そういえば朝ご飯がまだだった。

「くりすますはうどんは食べられるのか?」

「食べられますよ、高性能なので」

「それはよかった、じゃあお前の分も作るな」

 うどんを作って二人で食べた。

 おいしかった。

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