ループワールド・勇者ケイン編 91
1月3日。明日から忙しくなる。各自が明日に備える。
ターナ&ハウル INアトラン
「ルーンよ、昨日の女神感謝祭は、無事終わったか?」
「ハウル様、滞りなく執り行いました。民からは喜びの声を貰っています」
「よくやった。褒美に喰いかけの饅頭をやる」
ターナの歯形のついた、この饅頭・・カモミールの感謝祭で配られたものだ。
「光栄至極です。女神ルーン、家宝に致します」
手なずけていた。
「明日から少しの間、妻と俺はアトランを離れる」
「お出かけでしょうか?」
「レレレのレ。そう。もし戻らない時は、アトランは頼む。私に代わって民を導け」
ターナ達も気が付いていた。この戦いは、防衛戦にあらず。
たぶん厳しい戦いに成ると言う事に。
セレス&マオ IN先代ケインの墓。
「ケイン、2代目は立派に頑張っているわ。今は貴方の望んでいた平和よ。明日からの戦いが済めば、もっと平和になるわ」
セレスは墓に手を合わせ、持って来た包みを開く。
「これね、あなたの好きだった私のおっぱい。仲間に新しいのを作ってもらったから、今まで使ってたのは置いていくわ。私だと思って大事にしてね」
墓前に、おっぱいパーツを備える。
「いい話なんだよね~これってさ~」
「そうね・・たぶん泣ける話よ」
冷ややかな目のマオとピーが後ろに居た。
レナ&パルス INパルスの家
「レナよ。これも仕舞おう」
「ねぇさん、これはねぇさんが一番大事にしていた、限定版、口に出せないタイトルのコピー本ではないか」
パルスは、大事な腐敗本を、頑丈な箱にしまう。
「わしらが居なくなっても、誰かがこれを見つけて、わしらの遺志を継いでくれると信じておる」
「ねぇさん・・・」
パルスは先読み機能で、自分たちの危機を感じ取っていた。
「今年も夏のコミケには行こう」
レナの励ましに、パルスは力強く微笑む。
アズサ&ナナ IN魔都 会議室。
「みんな、聞いてください。私とナナは明日から暫く魔都を離れます」
「そうデス。帰らないかもしれませんデス」
魔都の幹部たちが、ざわめく。
「明日からの戦いは、勇者チームとしての大事な戦いです。命を惜しんでいる戦いではありません!
私は魔都の王として、勇者チームの一員として、命を懸けて、チームに貢献してきます」
「でも、物を大事にするのが魔都のルールデス。命も大事にしますデス」
幹部達から拍手が巻き起こる。
「私たちが戻らない時は、これを私の墓に立ててください」
アズサが渡した物・・・王都のレストランのメニューだった。
カラーメニューには、立派な料理の写真が沢山載っていた。
パルム&セシル
「セシル、坊主は口には出さないが、今回はヤバいと考えている気配がある」
「ええ、私も感じているわ。坊や達、全員からね」
セシルはパルムのおむつを替えていた。
「俺たちは不死だ。いざと言うときは、盾に成って坊主を守る」
「分かっているわ。たとえ、この身が燃え尽きても、私たちは再生する。坊やは守り切るわ。パルム、次は授乳プレイよ」
「ああ、行くぞ!吸い尽くしてやる!」
それなりに、真剣な様子だった。赤ちゃんプレイと、ケイン死守に。
セイレーン&支援機
「ねぇ様、そろそろそのプレイは止めた方がいいです」
「ねぇ様、再生回数が1億回を超えました」
ケインとの偽Hデータを再生し、快楽に溺れまくっているセイレーン。
「良いのです。私は海の覇王です。溺れることを恐れはしません」
上手い事を言ってごまかした。
「ケインさんとの思い出・・・ポリゴンのケインさん。このカクカクした動きが、たまりません!」
「マスター、時間が無くて、3Dで作れなかったと見ました」
「マスター、それでも姉にはバレないと、読んでいました」
アリスがセイレーンに仕込んだ、ケインとの仮想Hデータ。
時間が無くて、画面の荒いポリゴン表示だった。
でもセイレーンは現実で、ケインとHをしたと、信じていた。
トーレフ&マリー&ノスフェラトゥ
「アリス殿からの注文で、大忙しでござるよ。食事の暇も無いでござる」
「科学者は、そんなもんですよ。文句を言う時間は、作業に使いますよ」
2人は忙しそうに動いていた。
「しかし、こんなに大量の注文。これはいったい何に使うのかね?」
納品を担当するノスは、大量の段ボール箱を見て言う。
「アリス殿は、物量作戦を考えているようでござる」
「チビレーンを大量にと、言われたですよ。後は自立式移動型自爆システムも、沢山作っておくように注文が来ていますよ」
手早く手を動かしながら、2人は汗をかき、動いていた。
「チビレーンと自爆機?私には彼女の考えることが読めないのだが・・。
後から、大型のコンテナが、100ほど届く手配に成っているから、サインを頼んだよ」
聞いた2人は、まだ来るのか・・と言う顔でうなずいた。
アイリス&アリッサ IN王宮
「ダメですわ!もっと早く!溜めを作ると隙が出来ますわ!」
「分かったよおばぁちゃん!動きの中で、流れるように魔法を発動させるんだね」
特訓中だった。
「そうですわ!絶対高温は、溜めの必要なスキル。アリスが素早く絶対零度を撃てるのは、この特訓があったからですわ。貴女も、アリスのように、瞬時に絶対高温が使えるようになるのですわ」
アイリスの厳しい指示が飛ぶ。
「モグラ叩きしながら魔法使うのって難しいね」
「高得点を出さないとダメですわ。両方を同時に、かつ完璧にこなすのですわ!」
楽しそうだった。
ドワーフ&ポセイドン
「アリスから作戦を聞いたわ」
「俺も聞いた。恐ろしいことを考える娘だな」
海岸の浜で寝そべるポセイドン。その横にお座りしたドワーフ。
勿論、カメとウサギの格好でだ。
「出来れば使いたくないと言っていたわ」
「最終手段だ。切り札は持っておくべきだがな‥。まさかあれを使うとは」
絵的には、駆けっこを終わって、仲直りしたカメとウサギだった。
ヴィーナス&エクセレント&ビューティー
「ケインさん達、上手くやれるのかな?」
「大丈夫だ。ケインさんなら、必ず守り切ってくれる」
「ええ、あの方なら」
3人は、のんびりお茶を楽しんでいた。
「エクセレント、羽はどうしました?」
「ご安心ください。羽は全て、カモミールの王宮に隠してあります。1枚はアリッサに預け、後は絶対にバレない場所に隠しました」
「ねぇさんの絶対は、危ないのかな」
意外としっかり者のビューティーだ。
今まで唯一、ポカをやらかしていない。
「鍵の方は?大丈夫ですか?」
「勿論、鍵は私が、ここ・・あれ?しまった!着ていた服に入れ忘れて、洗濯業者に出してしまいました!連絡してきます!」
「ケインさんも大変かな」
「羽をカモミールに隠したのは、正解ですわね。恐らくケインさん達なら気が付いて、隠し直してくれていますわ」
よく分かっているヴィーナスだった。
アリス&ケイン&ティナ
「アリスさん、今晩ケインさんをお借りしたいのですが」
「ダメだぞ。今晩だけは、私が妻を主張するぞ」
「なら、今からお借りします」
「それもダメだぞ。ケインの攻撃には回数制限があるぞ。回数を重ねると、攻撃力が弱くなるぞ」
「そんな!それでは私の姫始めが」
「今回の件が片付いたら、好きなだけ貸し出すぞ。1週間、7泊8日レンタルOKだぞ。遅延料は取るぞ」
何の奪い合いだ。
俺とアリスは、サタンの策を考えていた。
どうやって黒い羽を?だ。
だが、どう考えても、奴らが城から出ることなく、羽を奪うのには無理がある。
そこに来たのがティナだ。
俺の貸し出し交渉に来たが、アリスに拒否された。
「ケインさん、大丈夫ですよね?私・・なんか不安で」
ティナも気が付いているか。いつもは鈍い女神だが、さすがに今回は・・。
「セレーンさんとも寝たと聞きました!セイレーンさんはスタイルも良いし、気立ても良い方です」
そっちの不安なのね。
「ケイン、はっきり言ってやるぞ。5年は長いぞ。安心させてやるぞ」
今?ここで?奥さんの前で?
「お願いします!」
女神に祈られた。
「私は気にしなくていいぞ。甘い言葉を掛けてやるぞ」
お、おう。
「ティナ、約束したんだ。俺を信じて待っていてくれ。必ず5年後には結婚する」
アリスの前だと、さすがに言いにくいから、必要最小限だ。
「はい、信じています。式は、洋式ですか仏式ですか?」
女神が仏式ってありなのか?
「式は私たちも挙げてないぞ。ケインはそういうのは好きじゃないぞ」
確かに。俺は固いのが苦手だからな。でも結婚式は、女の子の夢舞台だ。アリスも夢見ているに違いない・・・。男として苦手だからで済ませてはいけないな。
「なら、初めての共同作業は、ベットの中でやりましょう。ケイン挿入です!」
なんだその、ケイン挿入って。ケーキ刀入な。
「上手いこと言いました」
それが初めてなら、結婚前に俺レンタルしてなにするの?
それぞれの時間が過ぎていく。
準備を済ませ、俺たちは明日を待つ。
ーーー閻魔邸ーーー
「閻魔様!閻魔様!これが門に」
閻魔の手下が、部屋で書類にサインする閻魔の元へ来た。
「それは?手紙?」
閻魔は受け取ると、中を見る。
「ぐぅ!」
険しい顔つきになり、一度は言葉を飲み込んだ。
が・・・。覚悟を決めた顔に成る。
『全軍出撃準備にかかれ!目標カモミール。勇者の首を取る!』
平和な時は、終わりを告げた。




