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残念世界の残念勇者   作者: XT
79/96

ループワールド・勇者ケイン編 79

アリス達は戻ったが、俺は残った。

「ケインさん、時間がありません。再考をお願いします」

エクセレントは、アイリスの殺害を考えろと言ってきた。

「後10日もすると、もう誤魔化しは利かなくなります。アイリスさんの魔力の暴走は、王宮全体に広がるでしょう。その後は加速し、15日後には王都全域が・そして20日後はエー大陸が・・」

俺は、方針すら決まっていない。手がかりさえ見つけられていない。


「ダメだ。方針は変えない。アイリスは守り抜く」

きっと俺の我儘だ。

本来なら勇者として、世界を優先するところだろう。だが、俺にはできない。

「アイリスを見捨てることはない!」

「分かりました。ティナの選んだ貴方を信じましょう。私の家族に成ることで、アイリスさんにも、加護が働くはずです。今の私にできる事は、悔しいですが、これぐらいです」

アイリスに加護を付ける為に、ティナとの婚約の儀を急いだのか?

「できる事は全てやります。協力すると言ったはずですよ」

「必ず謎は解く。そしてループワールドは阻止して見せる」

俺は、何としても世界を救う。アイリスも・・だ!



5日後。

「婿殿、申し訳ありませんわ。なんか体調が思わしくないので、今日はお休みを頂きますわ」

アイリスが床に伏せった。と同時に、王宮内の至る所が凍りだした。

アイリスの魔法の暴走は明らかだった。


「息子よ、何が起こっている?」

「これって魔法の暴走よね?アイリスさんでしょ」

付き合いの浅いパルム達ですら、アイリスの魔法の暴走と分かっていた。だが、真相は言えない。

「ああ、ヴィーナスの後光に当てられたらしい。エクセレントが言っていた。よくあることだと」

俺は、誤魔化しが利く限りは、胡麻化すつもりだった。


ティナとトーレフに個別に聞いた事だ。

アイリスの魔力は多いと言っても、女神程ではない。実際は限りがある。ティナは、自分より少ないと言っていた。

そしてトーレフは、女神一人の力で時間移動など、無理だとも言っていた。アイリスが原因ではない。

確信があるのは、それだけだ。後20日しかない。



「まだ見つからないのか!?カモミールに居るのは確かだ!なんで見つからない!」

エクセレントが大きな声を上げる。リリスとギルバは、いまだ逃走中だ。

「おかしいぞ。必ずカモミールに居るはずだぞ。誰かが囲まって居るかだぞ?」

確かに変だ。大がかりな山狩りで、魔都から王都、エー大陸全体を捜索している。


「ケインさん、申し訳ありません」

エクセレントも責任を感じていた。

「女神の反応を追う『女神捜査機』を使って探していますが、反応がありません」

天界の機械は、信用性が低いからなぁ。

「いやこれは天界公式です。後光に反応すので、女神なら確実に反応します」

それで見つからないとなると、すでに外に?

「それはありません!母の防壁を抜け出れる者など、存在しません」

だよな、なにを見落としているのか?



「ケイン君!大変だ!大変なんだよ!」

あ、ノス。今来たら帰れなくなる。

「それどころじゃないんだ。私のコレクションが、根こそぎ盗まれたんだ」

なんだと!?

「犯人はレイラだ。秘書のレイラが盗んだんだ」

ノスの狼狽ぶりは、当然だ。コレクションのアイテムには、SS級の聖剣などもある。総額にしたら、とんでもない値が付くはずだ。


「レイラだと?あの美人秘書か?」

「美人の秘書は要注意よ。ルパン見てないの?」

パルムとセシルは良く知ってる人だよな?

「ええ、知ってるわ。確か中途採用で、優秀だから秘書に抜擢した子よね」

「田舎から出てきて、親戚もなく、独り身で苦労していた娘だ」

危ね。身寄りなしかよ。

「信じていたんだよ。優秀だし、よく気が回るし」

「それって、最初から近づいて来たぞ。狙いはアイテムだったぞ」

アリスの意見に賛成だ。世の中、優秀な奴が転がっているほど甘くはない。

「また、私は裏切られた・・・これも、私に力が無いからなのか・・」

力と言うより、信用しすぎだ。基本、人が良いんだな。


「SS級アイテムの問題だから、本来は天界にも協力を求めたいところだが・・・」

「ケイン、盗品の売却なら、私の方で調べるわよ」

ピー・・いや、リンクだ。

「ピーで良いわよ。あなた達の前では、私はピーだから」

ピーとマオも来ていた。


「盗品は闇取引だぞ。分かるかだぞ?」

「ええ、蛇の道は蛇よ。任せて」

なにからなにまで頼りになる鳥だ。

「でもさ~素人が~お金に換えるの大変だよね~」

素人ならな。たぶんプロだ。ノスはアイテムを狙うような奴に覚えは無いのか?

「腐る程いて特定できないよ」

有名なアイテムコレクターだからな。


「なんか、無いかだぞ?場所が特定できるようなアイテムは?」

「!!ある!あるよ!GPSって言うアイテムがあったはずだ」

それ、魔法アイテムじゃない。

「天界から探せば、GPSで何処にあるか分かるはずだよ」

今は移動ができない。ティナに頼んで天界から探してもらおう。


ティナが天界に連絡している。

「はい。今連絡しました。捜査1係が担当します」

捜査一係・・・あいつ来なくていいからな。

「はい。あ!見つけたようです」

仕事早。

「え?本当ですか?間違いないのですね。分かりました。ありがとうございます。はい、ファックスですね。サインをするように言います」

どうせ、婚姻届けだ。サインしないからな。

「困りました。魔界から反応が出たそうです。それもサタン族のエリアからです」

「サタン・・・それは不味いな」

ノス、知ってるのか?

「ああ、サタン族は魔界3大勢力の一つだよ。閻魔と違い、力で世界を我が物にしようとしている一族だ。取り返しに行くとなると、戦争覚悟だ・・・」

力に成りたいが、今はそれどころではない。

ノスは頭を抱えていた。


こんな時にだが、アイテムに詳しいノスに聞いた。

「なぁ、ノス。時間を移動できるアイテムってあるか?」

「ドラえもんかね?」

「いや、真面目な話なんだが」

「時間の移動ね・・1つだけ聞いた事はあるな。SSSランクの伝説級の聖剣だよ。『聖剣 時忘れ』。時を削る力があると言う」

削る・・過去に戻れるのかな?

「いや、剣を振るう事で、時間を削る。つまり、数秒未来に行けるらしい」

SSSランクの聖剣でも、数秒なのか?

「時間移動の理論はあるが、実現不可能と言われている位、膨大なエネルギーを必要とするからね。それがどうかしたのかな?」

俺はノスに、ループワールドの話をした。


「信じられない。星が丸ごと1200年前だなんて・・・」

俺達も同じだよ。でも、事実だ。既に何回も歴史を繰り返している。

「まて!よく考えろ」

パルム?どうした?

「1200年前に戻ると言う事は、坊主を捨てる前だ」

「そうよ!坊やを捨てたりしない歴史を作ればいいのよ」

「なるほど。やり直せるという事か?私のアイテムも盗まれないようにすれば良い訳だ。これは最高のセキュリティーだよ」

そうは行かないらしい。俺たちは歴史を繰り返すが、前の周回の記憶はない様だ。

「だぞ。だから、遣ることは同じだぞ。パルム達はケインを捨てるぞ。パンの棚に並べちゃうぞ」

嫌なこと思い出さすな。


「また私たちは坊やを捨てて、この時代まで探し続けるのね・・」

「辛いな。折角こうして巡り合い、共に暮らせるようになったと言うのに・・」

それを阻止するのが俺の役目だ。なんとしても、ループワールドから抜け出す・・・が、まだ手立てがない。


「ケイン、初めて貴方に星の守護者としての意見を言うわ。貴方はチームで戦う勇者じゃないの?1人で戦う勇者なの?」

ピーの意見。いやリンクの意見だ。俺に全部話せ、と言っている。

「ケイン、私たちも力を貸したいぞ。一人で背負うなだぞ」

アリスも、ある程度わかっているようだ。

俺は、間違えていた。俺の力はチームだと言う事すら、忘れていたなんて・・

アイリスの殺害と言う、ショッキングな話でも、みんなに話して、解決策を見い出すべきだ。

俺は、アイリス以外を集めた。そして、アイリスの件を話した。



「ママがループワールドを発動させるのかだぞ?」

「ヴィーナス達が言うにはそうだが、俺はアイリスが発動させているとは思えない。理由は2つだ。

1.アイリス個人の魔力では、時間移動はエネルギーが絶対的に足らないからだ。

2.アイリスが1200年前に戻る理由が無い」


「賛成でござる。1に関しては間違いないでござるよ」

「私もですよ。いくら女王陛下の魔力が膨大でも、時間移動に使うエネルギーに比べれば、耳カスにも満たないですよ」

科学班の意見は、俺の考えを後押しした。


「ママは普通じゃないぞ。容量に限りはあっても、性欲があれば、すぐ魔力は回復するぞ。無限の魔力保有者だぞ」

「はい。アイリス・・いえお義母様は、回復と言う意味では、女神の上を行っています。際限のない性欲保有者です」

否定的意見も出た。


「流石にさ~殺すとかはないよね~」

「ない。絶対ダメ」

「妻が言うなら、無いな」

マオとターナ、ハウルは理論以前の問題としている。


「でもさ、おばぁちゃんがここに居なければ、大丈夫じゃないの?」

「そうです。他の地に移動していただけば」

「遠くに旅立つデス」

アリッサ、アズサ、ナナは代案を出すが、すでにヴィーナスが試して駄目だった。


「今現在、アイリス様を殺害する以外の方法が無い以上、世界を優先するべきです」

「ねぇ様は、鬼です」

「ねぇ様に、血は流れていません」

セイレーンは、戦略からアイリスの殺害を推奨していた。


「私は反対だ」

「私も嫌よ」

「ワシは、どちらでも良いがのぉ」

聖なる物へと進化したレナ、セレス、パルス。

意見は分かれた。なにを持って正解とするかが決まっていない以上、この意見の分断は収まらない。


「ちょっといいかね?」

ノスが意見を言う。

「時間移動は物理法則だよ。エネルギーの問題から答えを探るべきじゃないかな?トーレフ君、大体の必要エネルギーの算出は可能かね?」

流石はノスだ。理論整然と考えている。


「カモミールだけでござるが、1200年前に移動するエネルギーを戦力換算したでござる。8000兆の3700乗+241ウププでござる」

「因みに、カモミールの魔王の総戦力は7800ウププですよ」

思いっきり桁違いだ。

「それほど・・だとするとアイリスさんは関係ない可能性が高いね」

幾らアイリスでも、8000兆の3700乗なんて、魔力はない。

「だぞ‥ママだって無理だぞ」

「はい想像以上です」

アリスとティナが、アイリス原因論から退却した。

「人道的に、世界と人の命を秤にかけるのは、良くない気がしてきました」

セイレーンもだ。


「そのエネルギーを探すんだよ。それが原因だ」

「流石はノスだ。アイテムを盗まれても冷静だ」

「太っ腹よね。それだけ冷静なら大丈夫ね」

思い出させてやるな。意外と空気が読めないパルムとセシルだった。


だが、方針は決まった。膨大なエネルギーを探すんだ。

残された時間は後20日だ。

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