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残念世界の残念勇者   作者: XT
69/96

ループワールド・勇者ケイン編 69

「ケインさん!!」

ティナ!

「怖かったです。寂しかったです。一杯泣きました」

もう大丈夫だ。エクセレントも解放された。ティナの無実は証明された。

「はい。有難うございます」

俺にしがみつく様に抱き着くティナ。

もう、大丈夫だ。俺は強く抱きしめた。


「よくやった。えらい」

「女神が3人いると、眩しくてたまらん」

助かったよ。ターナ達にも感謝だ。

「アリス達が早くティナに会いたがっている。すまんがいったん戻る」

俺とティナは、カモミールへと戻る。



「クロエ!状況は?」

エクセレントの怒鳴り声だ。

「どうだ?リリスの確保はまだか?」

アリスに尋ねた。

「それがだぞ、あいつ等も強かだぞ。女神のオフィスにはいないぞ。今、アジトがあるかを調べている最中だぞ」

逃げられると厄介だ。

「ティナ、何か知らないか?リリスが隠れ家を持っているような話は、聞いてないか?」

「はい。天界駅の近くに、部屋を借りています。一度パーティーに呼ばれたことが有ります。天界ビルの7階です」

「天界駅か。3ブロック先だな。クロエ!聞いたか?部隊を準備しろ!天界ビルだ。なに?間に合わないだと?リリスたちが逃げてしまう!私のチームで突入する!天界ビルの見取り図を用意しろ!援護してくれ!」

ジャックバウワーみたいだ。

「24だぞ」

「ケインさん、リリスの部屋に突入します。朗報を待っていてください」

頑張れよジャック。


「婿殿、とりあえず一件落着ですわ」

「今回は~厳しかったね~」

そうだな。大女神自ら陣頭指揮だ。エクセレントなら大丈夫だろう。

  『ゲート反応!ゲート反応!』

ゲート反応だと?

「すみません、誤作動です。今機器を取り外しています」

そうか、ちょっと驚いたが、誤作動ならOKだ。


俺は少し気を抜いていた。

ここで気が付いておくべきだった。


「ケイン、ノスフェラトゥから電話だぞ」

あ!出る出る。お礼を言わないと。

「ケインです。色々ありがとうございました」

「解決したみたいだね。良かったよ。でもよく私が「脳内会話の指輪」を持っていると分かったね」

「感です。貴方ほどのコレクターなら、持っているはずだと」

「流石はケイン君だ。読みの深さと、大胆な行動には感服するよ。

それでだね、今度じっくり話がしたいんだが、時間をもらえないかな?」

「分かりました。調整してご連絡差し上げます」

「よろしく頼むよ。パルム達も大事な話があると言っていたよ。何時かは分からないが、聞いてやって欲しい」

「パルムが?大体わかりますが、聞きます」

「では、お疲れ様。連絡待ってるよ」

ノスフェラトゥの話は、俺を誘う事だ。だが、パルムたちも・・だよな?

重複するだけの気がするが。


「ケインさん、姉からです。逃げられたようです。合わす顔が無いから来ないそうです」

リリスにもエクセレントにも逃げられた。


「私たちはこれから、リリスとギルバの逮捕のため、天界に戻ります。またお会いできる日を、楽しみにしています」

楽しみにはしていない。もう会い事はないだろう。

「いつ会えますか?」

だから、会う気はないって。

「明日の夜なら空いています。実家の家族は旅行でいません」

勝手にフラグ立てるな。

「強引だぞ。ケインは私の旦那だぞ。会いたいときは私を通すぞ」

マネージャーさん?

「では申請書を提出します。申請が通り次第、お迎えに上がります。家族は永遠に旅行中なので、いつでもOKです」

ポッチなんだな。


「ケイン殿。只今でござるよ」

トーレフとマリーが戻って来た。今回の功労者達だ。

「ケイン殿、これでござるが、如何したらよいでござろう?」

USBメモリーを渡された。

「ティナ殿のパソのデーターでござる」

「恥ずかしいのが一杯ですよ」

見たい気もするが、ティナに申し訳ないからな。

「私が処分しておくぞ。私に渡すぞ」

2番目に危ない気がする。1番はターナだが、信用して渡すとするか。

なんだかんだで、今回もハッピーエンドだ。




「ギルバ、追っ手は?」

「今のところないみたい」

森の中でリリスとギルバは、身を潜めていた。

「でもさ、なんでカモミールなの?天界に居た方が安全じゃない?」

「木を隠すなら森の中だ。まさか我々がカモミールに逃げたとは思うまい」

「僕たち木じゃないよ」

リリスたちは、天界ビル7階の隠れ家に居たが、オフィスに仕掛けてあったカメラで、自分たちの身の危険を察知していた。

王宮で鳴ったゲート反応は、誤作動ではなく、リリスたちがゲートを使って、カモミールへと来た時の反応だった。


「大体お前が、ティナのパソコンに、仕込みなどするからバレるんだ」

「いいアイデアだって、部長も言ったじゃない」

「バレなければの話だ」

「そんな都合のいいこと言われてもさ」

2人は文句を言い合いながら、森を進む。


「うわ、なんか踏んじゃったよ」

「気にするな。今の私たちは、これ以上汚れることはない」

「これ、魔獣の糞だよ。臭いよ」

「近寄るな。えんがちょ」

「酷いよ部長。で、この先どうするの?」

「しばらくはカモミールに潜伏する。都合のいい場所がある」

「都合?そんなとこあるの?」

「もうすぐだ」

2人は森を進んでいた。




「俺がお前のパパだ・・いや、違うな。俺がお前の父親だ」

「もう少し柔らかく。重くなると話が途切れるわ」

「そうだな。明るく言うほうがいいか?」

パルムとセシルは、ケインに実の親だと打ち明けるため、練習をしていた。

「パパだぞ。パパの胸に飛び込んで来い」

「変よ。それダメだわ。こんな感じ?坊や、マミーよ。甘えなさい・・ああああななんて言えばいいのかしら」

相当悩んでいる。


「何をやってるのかね?」

「ノス!何時から居た?」

「何見てるのよ!勝手に入ってこないで」

「呼び鈴は押したよ。でも出てこないから、入らせてもらったんだ」

夢中になりすぎて、ノスの訪問に気が付かなかったようだ。


「相手はケイン君だよ。どんな伝え方でも、彼は現実を見ているから、返ってくる返事に変わりはないさ」

「か、か、か、返ってくる返事って、どんなだ?」

「そ、そ、そ、そうよ・・どんな返事なのよ?」

「それは私も分からないけどね。伝え方ではないのは確かだよ」

返事と言う言葉に反応して、息絶え絶えのパルム達。

傭兵としては、永久凍土のような強固でも、親としては、粉雪のような、脆さだった。



ーーーーー魔界ーーーーーー

「若、面白いのを見つけましたぜ」

双頭のトカゲの首を持つ魔族。

「若、これは手に入れるべきでしょう」

左右の首は独立した意識を持っている。

「インスタ?俺は、こんなもの遣らねぇよ」

若と呼ばれた、やはりトカゲの首を持つ男。一般的にはリザードマンと呼ばれる種族。


「これは天空のカギですな。以前勇者が使っておるのを、見たことがございます」

年老いたトカゲ男。トカゲなのに白い顎鬚がある。

「天空?爺、なんだそれは?」

「どこでもドア、と申しましょうか?望むところへ行けると言われる、幻のアイテムでございます」

「どこでもだと?」

「若、これは下界の勇者が持っているようですぜ」

「若、これがあれば、打倒閻魔も、夢ではありませんですぜ」

双頭のトカゲ男も続けた。


「よし、パパ上に聞いて来る」

若と呼ばれているトカゲ男は立ち上がり、奥へと消えていく。


魔界の大種族。トカゲ族だ。

ーーーーーーーーーーーーーーーーー


ーーーーーまた魔界ーーーーーー

「魔王様、天界の「女神解放戦線」と名乗る連中が、情報を買って欲しいと来ております」

黒い布切れに身を包む男は、魔王の前で膝間付く。

「ドーマよ、どんな情報なのだ?」

頭には2本のツノが左右に伸び、4本の手を持ち、背には羽をもつ、大魔王『サタン』だ。

「聖杯と起源の水に関する情報でございます」

ドーマは答える。

「聖杯でありんすか?」

ドーマの左に控えた、花魁の姿の妖艶な女「魔奴」

「くだらねぇ」

右に控えた、着流しに独眼で帯刀した男「ギム」

「それって美味しいのかしら?」

ドーマの後ろに控えた黒い羽を持つ女神「ウリエル」


「良い。その者達から情報を得よ」

大魔王サタンが命を下す。

「かしこまりました。早速」

ドーマが動く。

「めんどくせぇな」

「生かして返す必要はないでありんす」

ギムと魔奴が立ち上がる。

「私は食事をして来るわ」

ウリエルも立ち上がった。

大魔王サタンと四天王。魔界の三大勢力の一つ。サタングループだ。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーー



「ここだ。あの小屋が、私たちの新しいアジトだ」

「ここって、ケインのチームの軍師が居る所じゃない?」

リリスとギルバは、パルスの住む小屋へと来ていた。

「あの軍師はポッチだ。軍師としての価値がケインより低いから、仲間外れに成っている」

「なるほど、奴らは此処へは来ないわけだね」

「そういう事だ。行くぞ」

リリスはパルスの小屋へ入る。


「誰じゃ?レナ・・・・」

パルスは倒れた。

「機械ってさ、扱いが簡単だよね」

神の加護で、パルスの電源を切ったギルバは、足で倒れたパルスをツンツンしながら言う。

「こいつの頭は使える。意識を切り離せ」

「あいあい。私たちのために働いてもらおうね」


リリス達は、カモミールに活動拠点を得た。



う魔族が、インスタに上げた天空の鍵の写真。

女神解放戦線より漏れた情報。

リリス達の暗躍。

平和への道が遠のいていることを、ケインはまだ知らなかった。





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