魔王編 ㊵
2日目の登校だ。
下駄箱には、手紙が入っていた。
アイリス達の、イベントクリアの為の手紙だ・・が、送っただけでクリアにならないらしい。俺が返事をする事、YESならポイント2倍だそうだ。
マオの手紙。
「ケイン~先輩~好きです~」
マオは理事長だ。GPは必要ない。
ターナとハウルの手紙。
「あいらぶゆー」
「魔獣王の嫁に成れ」
2人でやり合え。俺を巻き込むな。
アイリスとアリッサからだ。
「パパ!愛してる!放課後、裏山で待ってる!」
「婿殿!愛してますわ!放課後、体育館倉庫で待ってますわ」
ブッキングした。
俺がギルバと遣り合っている間、打ち合せをしてたよな?
「みんな青春だぞ。セレスからは来なかったかだぞ?」
ああ、来てないな?
アイツの事だから、パンツに書いた手紙を、手渡ししようと考えているんだろう。
教室だ。生徒は、1歳から800歳までの8人。
「ケイン・・・私思うぞ。これって過疎した村の分校だぞ」
言いにくいことをサラッと言う。これがアリスだ。
「ケイン、いいかしら?手紙を渡したいんだけど、受け取ってくれる?」
予想通りだ。
「脱ぐから待っててね。焦っちゃダメよ」
エロいおネェさんを、地で出来るのがセレスだ。
セレスは服を脱ぎ捨てる。
「体中に書いてもらったの。私の想いよ、舐める用に読んでね」
想像の斜め上だった、って言うか、耳なし芳一か?
「はいはい。皆さん、席についてください」
ティナ先生だ。
「本日は抜き打ちテストを行います。テストの点数が、そのまま貰えるGPになります」
昨日聞いたが、後で考えたら試験範囲が分からない。充分、抜き打ち効果が出ていた。
「問題は10問です。各10点で、すべて4択。赤点は30点以下です。赤点を取ると、ペナルティーが待っています」
なになに?どうせ変な問題のはずだ。
Q1 女神ティナは眼鏡をかけると、どうなりますか?
1、教師 2、ウルトラセブン 3、メガネっ子 4、変化なし
予想通り。変な問題だが、簡単だ。
Q2 女神ティナはヴィーナス家の何女?
1、長女 2、痔女 3、三女 4、痴女
楽勝だ。が、味のあるひっかけ問題だ。
・
・
・
Q10 女神ティナは加護を掛ける時、00の加護と言います。00に当てはまる言葉は?
1、女神 2、神 3、買い物 4、天
パーフェクトだ。100点満点間違いないな。
「難しかったね~全部~感で書いちゃったよ~」
「1つだけ当確。後は感」
「記憶にはあるのですが、どれも自信ありませんわ」
「幼稚園児には無理だよ」
確かに、試験後の教室での一コマだが、マジで分からなかったのか?
登場人物なら、ちゃんと読んでおけ。
「では結果発表です!第8位!ターナさん、ハウル君、まさかの0点です!」
「うそ?ティナのパンツは何色?は、あたりのはず。ノーパンしかない」
「ハズレです。女神は白以外は付けません!アイリスさんと一緒にしないように」
「ケインは自信あるかだぞ?」
勿論だ。ティナの事なら完璧だ。
「なら私も完璧だぞ。ケインの見て回答にしたぞ。夫婦は一心同体だぞ」
それ?カンニング?
「ターナさんとハウルさんには、罰として、感想文の提出です。【残念世界の残念勇者1~41】を読んで、提出してください」
「もう読んだ。最低」
「私も読んでいる。なんだこれは?」
お前ら退学だ。
「6位、セレスさん40点です。もう少し私をちゃんと見て居ましょう」
「5位、アリッサさん、アイリスさん、60点です。合格です。60GPが進呈されます」
いよいよ俺達だ。
「1位の発表です!ケインさん、アリスさん、マオさん共に満点!『女神ストーカー』の称号と、100GPが送られます」
そんな称号いらない。
「続いては、社会科見学です。ビックイベントなので、イベ完了時に150GPがもらえます。秋のGP放出祭、第1弾です。レベルが21に成ると、ゴールドでお得なアイテムの購入ができるようになります。皆さん頑張ってレベルを上げましょう」
「ケイン、レベル21に成ると、レベルもゴールドで買えるぞ」
「はい。課金者は有利にゲームを進められます」
やはり、ネトゲだ。
「ここが大広間だ。各種催し物や、日曜バザーなどで使う部屋だ」
「違いますわ、玉座の間ですわ。一番神聖な部屋ですわ」
「ここが、プリンセスの部屋だ。タンスにベットなどがある」
「違うぞ。ここは物置だぞ」
社会科見学は王宮見学だった。案内はレナだが、間違いだらけだ。
「ここがケインの部屋だ。エロ本の隠し場所は、ベットの下に3冊。本棚の裏が5冊だ」
後で覚えて居ろ。
「最後に、王宮の秘宝を見てみよう。800年前、ケインが河童を襲う絵だ」
ぐれるぞ。
「本日は此処までです。現地解散します。また明日のログINをお待ちしています。明日のイベントは、GP放出第2弾。体育祭です」
放課後は無く、本日が終了した。
「皆さん、ここからは勇者チームとしてのお話です」
眼鏡を外すとティナは、教師モードから女神モードに変わった。
「あの眼鏡が教師で良いぞ」
「めがねも、めがみも大して変わらない」
まぁ、そ言うな。ティナの拘りだ。
「姉がカモミールを、専属保護指定世界に認定しました」
専属?保護?
「はい。危険な状態の世界を、保護するシステムですが、専属の場合は、特定の機関、または特定のグループが保護を担当します」
「カモミールは危険の塊だぞ。昔から危険な状態だったぞ」
「魔王による危機は、勇者の担当なので、保護認定は出ません。今回は、パルムチームの件で、認定されたと思います」
「で?専属って言うのは?」
「はい。ヴィーナス家が、カモミールの保護を行います。なので、何でもアリです」
「ティナのおねぇさんが守ってくれるの?偉い人だよね?仲良くしないと!」
「大女神二人だよね~安心だね~」
「魔王倒したようなもの」
「あ!魔王はダメです。魔王は勇者さんの担当なので、姉は手が出せません」
「あくまでパルムチームだけ・・と言う事か?」
「はい。担当は私なので、私が窓口になり、無茶な加護やアイテムを使えます」
「ティナ様が無茶な加護って・・どうなりますの?」
「ドジでは済まないぞ。世界が滅ぶぞ」
「大丈夫です。以前は、歴史を封じるために、自分の加護を使っていました。大量の加護を使うことで、他の加護の精度がガタ落ちでしたが、歴史が公開されたため、加護は天界がやってくれます。私の加護の精度は、格段に上がりました」
そう言えば、最近やらかしてないな。
「だぞ。今まで負荷を掛けた状態だったかだぞ?」
「はい。あの空間の保護には、多くの力を使っていました。過剰加護状態なので、たまにミスが出ていました」
・・・あれをたまに・・か。まだヤバい気がするが、以前よりはマシと言う事だな。
「これで、パルムたちと戦う時は、絶大な加護を使えます」
「例えばだぞ?」
「はい。アリスさんの氷属性ですが、最大魔法は『絶対零度』です。姉に言えば、これが使えるようになります。アリッサさんは『絶対熱』です」
「凄いスキルですわ。幻級のスキルですわ」
「パパ!ママ!私、頂点を極めそうだよ!」
「だぞ・・・私が絶対零度だぞ?」
「俺にも幻級がもらえるかな?なんか、勇者らしいのが欲しいと思っていたんだ」
「はい。早速お願いしてみます」
幻級のスキルか?レベルはマイナスだが、幻級なら・・だよな。
翌日
「何でここに居る?」
「なんで、こんなことをしておる?」
「失われた学園生活の補填だ」
「お主たちには、やることが他にあるじゃろう!」
体育祭当日、俺たちの前に現れたのは、ヒロミ爺さんだ。
「体育祭には人数が少ないぞ。応援を呼んだぞ」
昨日、天空のカギを貸せと言うから渡したが、まさかこいつを呼んでくるとは。
「ケインさん、楽しいイベントにお招き、ありがとうございます」
アヤメさん。
「学校ですか?私も昔を思い出しました」
冬彦さん?だったか?山彦さんだったかな?
「どうだぞ?ヒロミ爺さんも参加するだぞ。私たちの学校は、午前中だけだぞ。体育祭は50分間だけなんだぞ。開会式、閉会式と1種目しかできないぞ」
授業時間と変わらない体育祭だ。
「馬鹿を言うな!わしはこんな茶番に付き合うほど、暇ではないわ!」
「あら、おじい様、お元気な所を見たいですわ」
「そうだよ!おじいちゃん!参加しようよ!」
「大歓迎」
「いやいや、わしは・・・」
「私が良いことして、差し上げるわよ」
セレスの色気で、ジジイ陥落。
「ヒロミ爺さんでも勝てる競技にするぞ。借り物競争だぞ」
「よし、俺が出よう」
「私も出よう。魔獣代表だ」
参加は、俺とハウル、爺の3人だ。
「私たちだと、何が何処にあるか分かるぞ。ヒロミ爺さんは不利だぞ。借り物の代わりにクイズを書くぞ。クイズの答えが分かったら、私に言いに来るぞ。正解を先に答えた人の勝ちだぞ」
「では、私は女神として、厳正に不正が無いかチェックします」
先生の仕事はどうした?
「私がスターターだ‼合図と共にスタートだ!1秒に命を懸けるのだ!」
みんな、まじめだ。
「おじいさん!頑張ってね!応援してるよ!」
「ヒロミ様、頑張るのですわ!」
「勝ったら、ご褒美よ」
「負けるなだぞ!じじい!」
「勝て爺」
「頑張れだよね~」
応援は爺に集中した。爺は、鼻息荒く張りきっていた。
「よしスタートだ!」
まずは20m先の、机の上にある封筒だ!
「勇者覚悟!」
!?ハウルの蹴りだと!
「敵は貴様だけだ。ご老人は私の敵ではない。先に貴様をつぶす!」
借り物競争で、つぶすとかないだろう!
「狩り者競争だ!狩った者の勝ちだ!」
馬鹿だ!この筋肉馬鹿が!
「実況のティナです。スタート直後に、ハウルさんがケインさんに挑みました。これは大きなビハインドです。足止めされました。軽快に机に向かうヒロミおじい様。今、封筒を手にしました!」
「おじい様、素敵ですわ!最初に封筒を手にしましたわ」
「頑張れ爺」
「頑張るのよ~いい事が待ってるわよ~」
「おじいちゃん頑張れ!」
くそ!女子応援団の後押しで、爺が燃えていやがる。
「フフフ、わしとて若いころは、快速のヒロミちゃんと呼ばれたものよ。この封筒の中身のクイズに答えられれば、わしの勝ちじゃ!あの子とムフフじゃ!」
「ヒロミおじい様、封筒から紙を取り出しました。開きました!・・・・笑みが浮かんでます!これは答えが分かったようです」
「答えが分かったら私の所に来るぞ。ハグで迎えるぞ」
「アリスちゃん~~~~~今行くよ~」
爺がアリスの所に向かった。俺達はまだ、戦闘の最中だ。
「ハグして~ハグして~」
「良し来るだぞ!ハグだぞ!」
アリスと抱き合いやがった!
「答えを言うぞ。爺さんの勝ちだぞ」
「おお!魔王の倒し方はな、たたか・・・」
「おじいさんダメです!」
アヤメさんの声が早かったか。
「チッ!だぞ。惜しかったぞ」
「お。お主ら・・まさか・・最初から・・」
「ああ、アリスがお前の応援をするはずないだろう。俺たちの狙いは、魔王の倒した方を、言わせることだ」
「あぶねぇ・・・危なく同胞との約束を・・恐ろしい連中じゃ」
「同胞?約束?」
「惜しかったですねケインさん。危なく引っかかるところでした」
「長老の弱点を突く、いい策です。惜しかったのは、アヤメさんをフリーにした事ですね」
アヤメさんと海彦さんは、怒っていない。
「まぁ、こんな手を打つほど、お主らも必至と言う訳だな」
ああ、実は切羽詰まってる。糸口が無いからな。
「私たちは、未来のために命を捧げました。この世界が西の都のような美しい世界に成ると信じて・・・ですが、もう私たちには、時間がありません」
!?どいう事なんだ?
「わしらの足元を見るがいい」
足元?・・・!?陰が無い!
「私たちは思念体です。800年前に命を失い、思念として存在してきました。マリーのような、純粋な思念体ではない私たちは、間もなく昇華します」
昇華?消えてなくなるのか?
「いいえ、魂が本来の場所に還るだけです。しかし、この世界の行く末を見守れないことは、未練でしかありません」
「この世界に、子孫が居るかだぞ?」
アリス?そうか!そうだったのか!!
「よくわかりましたね、アリスさん」
「そんなに必死に守りたいものは、子孫だぞ」
「西の都での生活の中、私たちは人類との子を残せました。血は、代を重ねるごとに、薄くなってしまいましたが、私たちの居た証として、この世界に永遠に残ります」
「我々の子孫が生きる世界は、美しく、慈愛に満ちあふれた世界。私たちの願いは、この世界の理を、2つ変えました」
2つ?魔獣落ち以外にもか?俺の考えていた4つ目の呪いがあるのか?
「ケインさん、汚れた水は、綺麗な水と汚い水に分かれました。やがて汚い水は浄化され、長い時を経て、再び水は一つに交わります。綺麗な澄んだ水として、生まれ変わります」
???
「あなた達に、時間が無いわけではありません。時間が無いのは私たちです」
???
「この世界を正常なる世界にする最後のピース、それが魔王を排除することじゃ。そしてそれは、お主の役目でもある」
爺さん・・言ってること、全然分かりません!
「仕方ないのぉ。最後のヒントじゃ。大サービスじゃ!耳の穴かっぽじって、よく聞け勇者よ!魔王はお主じゃ」
それだけ?そんなことは知っているぞ。
「ケインさん、もう一度よく考えてください。魔王の貴方は?を」
「お願いします。我々の無念は、ケインさんの手で晴らしてください」
・・・・。
「ティナ様。時間もない事なので、魔王はわしらが呼び出しましょう」
呼び出せるのか?
「はい。お願いします」
「魔王はな、魔王軍の装置で、日時を決めて呼び出していただけじゃ。魔王は、常に魔王空間におる」
魔王空間ってなんだ!?
「わしらは、それを呼び出せる。11月11日。11時11分に、王都の海岸に呼び出してやる。後は、お主次第じゃ」
サラ族は帰って行った。
魔王の倒し方は、わからないままだ。4つ目の呪いの正体が見えない限り、答えには辿り付けそうにない。
「ケイン、11月11日って、後2週間だぞ」
ああ、時間も無くなって来たな。
そろそろ本腰入れないと・・だな。
魔王出現まで、後15日。




