表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
4/43

第三話 不老不死になってしまった

現代科学では染色体の端にあるテロメアというものの数が、細胞分裂をする回数に繋がっていて細胞分裂の回数が減ることで老化をしていくそうです。

そして、無限に細胞分裂を行うものが、『がん』だそうです。

不老というのはある意味人類の夢ですが、不老になることは本当にいいことでしょうか?


2018/11/09 内容を修正しました。

 「――ハッ」


 気が付くと、視界がぼやけて目が良く見えない。

 どうやら気絶してしまったと思い、慌てて上半身を起こそうとするが、なぜか左腕が上に上がるだけで起きれない。

 辺りを確認しようとするが、周りが淡い抽象画の様にしか見えず、ぼやけてよくわからない。

 なぜか、どうやってもピントが合わないのだ。


 右手で目を擦ろうと右腕を上げると、左足の小指が動く。


 (何だこれっ?)


 体の感覚が今までと全く違い、動かし方がわからない。

 

 (俺の体のはずだ!どうなっている……)


 落ち着いて、一つ一つ感覚を確認していく。


 (呼吸は出来る……、口もうまく開けない……)


 と、その時、夢だと信じたかった声が響いてきた。


 「起きたわね。おはよう。私のかわいい息子……。無事に成功してよかったわ。」


 「あうぁうあぁ~」


 返事を返そうとするが舌がうまく動かせない。


 「俺に何をした?」と、言いたいが言葉を発せられない。


 「ふふふっ。あなたは新しく私の息子として生まれ変わったのよ。つまり、生まれたての赤ちゃんなの。体がなじむのに数時間はかかるわ。お話しは体が自由に動かせるようになってからね。」


 (息子……? 赤ちゃん……? どういうことだ?)


 聞き返すにも手段がなく、相手が何処にいるかもわからない。


 (目で見ようとしても明るいということだけしかわからないし……、本当に数時間後には動けるのだろうか? 体を動かす感覚が全く掴めないのに……)


 「そういえば、この世界の伝説に合わせて人魚の格好をしていたけど、もう必要ないわね。」


 (――へっ? 人魚の格好をしていた?)

 

 唐突な発言に衝撃を受け、心臓を鷲掴みにされた様に感じる。


 先程までは、人魚の肉を食べて不老不死になったのかもしれないと思っていた。

 しかし、相手は人魚の格好をしていただけで、人魚じゃないと捉えられる。


 (じゃあ俺は何をされたんだ?)

 (俺は何を食ったんだ!?)


 不安に掻き立てられ、もがきながら何とか聞き出そうとする


 「あぅ~~あああううぃぃ~~」


 (ダメだ。伝えることが出来ない……。)


 しかし、俺の反応に気づいた人魚は俺を察してくれた様だ。


 「あぁ、あなたは私と同じ不老不死になったのよ。この世界に不老不死になる似たような伝説があったから、わかりやすいと思って人魚の格好をしていただけ。」


 「あぅううぃあぃいひ~~」

 (じゃあ、おまえは何者だ?)


 やはりもがくことしか出来ない。

 これは相手に伝わらなかった様だ。


 『私と同じ不老不死になった』と、いうことは人魚の肉と変わらない。と、今は納得することにした。

 もがいたところで今更どうしようも無いだろう。

 もがくのをやめて、今わかる情報について考え直すことにした。


 (彼女は不老不死なのか……、そして俺もそうなったと……)


 「因みに、不老不死といっても、寿命が無くなっただけで、頭をやられると死ぬわよ。心臓だとギリギリね。」


 「あうぁいひゃーいふーあぅいいーひ」

 (ギリギリどうなる? 死ぬのか? 助かるのか? 心臓が何処までやられたら駄目なんだ?)


 (あーーーもどかしい!)

 (ん~~~~、また色々と聞きたくなったが仕方ない。体が動くまで待とう。)


 何も見えないが、俺を息子だというそいつが傍にいるのはわかった。

 今後が不安ではあるが、何か今は死なずに生きていられたということで一先ず落ち着いた。


 安心したためか、急激に眠気が襲ってくる。


 (今日はすごく大変な一日だったなぁ……、駄目だ……、睡魔に勝てない…………)


 と、その時、頭に焦った声が響いてきた。


 「えっ? ちょっと待って! 何で今よ!? 息子が出来たばかりなのよ! これから説明していかないと……、ちょっ、やめて、お願いだから、いやっ!!」


 意識が朦朧としている中で、頭の一部が妙な会話だと判断する。

 眠くてしょうがないが、危険が迫っているかもしれないため、視界のピントを必死で合わせ様と努める。


 「今はダメ!本当にお願いだから!!くっ、ごめんね。待ってて必ず戻ってくるから!

それまでお願い待ってて!」


 (何だかちょっとエロイ。絶対見なきゃっ!!)


 すると、一瞬だけピントを合わせることが出来た。

 見えた先には、輪郭のはっきりした半径1mぐらいの黒い球体。

 そして、彼女のものと思われる手がその球体に吸い込まれていった。


 何が起きたのかわからず、呆然とする。

 視界は再びぼやけて、淡い抽象画の様になってしまった。


 (『待ってて』って俺に言ったのか? しかし、あの球体は一体何だったんだ?)


 再び体を動かそうとしてみるが、やはりイメージと全然違う部位が動いてしまう。

 再び睡魔が襲い深い眠りについてしまった。


 その後、いつまで経っても頭に響く声は聞こえなかった……。


3話分まとめて投稿しましたが、異世界へ行くのには後6話分程度はかかりそうです。


至らないところがありましたら、ご指摘ください。

感想、評価をお待ちしております。

よろしくお願いいたします。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ