プロローグ
プロローグを後付けで割り込みました。
雄大な自然が広がる山地。
その緑一色の山間に、水際立った純白の城があった。
城の正面には、複数の種族から構成される千人程が群がり、熱気に包まれている。
その者たち全てが、これから行われる神の声を待っていた。
一方、城内には金色に縁取られた赤い玉座に子供が一人、座していた。
女とも男ともいえないあどけなさの残る中性的な顔立ち、黒髪黒目が何処となく和を感じさせる。
広々とした謁見の間には、その子以外誰もいない。
「ハァー」というため息が、謁見の間に響き渡り、憂鬱な空気を醸し出していた。
「ゴッゴッゴッゴッ」という音と共に玉座の正面にある扉から美しいハイエルフが入ってきた。
玉座の前で跪いた彼女は、子供に気遣う様に優しい口調で報告をする。
「ご主人様、準備が整いました」
「わかった」
子供は一言答え、玉座から重い腰をあげてハイエルフに付いて行った。
謁見の間を抜け、中央階段をあがり、城の正面からの様子を伺えるテラスへと向かう。
テラスの中央には演説台があり、その後ろには複数の豪華なイスが用意されている。
既にイスには、その子供の仲間達が座していた。
左からダークハイエルフ 、ハイドワーフ、先程のハイエルフ。
中央の通路を空けて、幼女姿のフェンリル、同じく幼女姿のエンシェントドラゴン、そして幼女姿の『共存の魔王』。
子供が演説台に立つと、全ての者がその子に注目し、静まり返った。
(俺はこれから全国民を説得しなければいけない……、『神殺し』について……)
険しい表情のまま決意を固め、重苦しい空気の中、演説が始まるのであった……。